もくじ
【概要】
- 著者:石田 淳
- 発売日:2015年1月
- ページ数:176ページ
本の目次
Prologue 行動科学で「教える技術」とは?―師匠との出会い1 「教える」とはどういうことか?―中途社員乙葉の場合
2 どう伝えればいいのか?―外国人アルバイトアルの場合
3 ほめることが人を成長させる―新人アルバイト小森の場合
4 継続するために―宇留川店が地区ナンバーワンの売り上げに!
Epilogue 教える技術は最高のワザ―私には「教える技術」がある!
【結論(1番の訴求ポイント)】
部下が育たないのは能力が低いからではなく、正しく教えてないから
「今年の新人はイマイチだ」、「バイト君が思うように動いてくれない」
今も全国各地でこのような言葉が出ているだろうと思われる。
かくいう自施設でも、以前はこのような言葉が5月くらいから聞こえ始めていた。
確かに能力が低い人もいる。しかも昨今の人手不足もあり、求人に応募がなく選べる立場じゃない場合もあるかもしれない。
しかしそれはどうしうようもない事である。嘆いて変わるのであれば、いくらでも嘆けばいい。
でも現実は残酷で、滅多な事では変わらない。
与えられた状況でどうやっていくか、これが重要だ。
部下の育成が相手の能力じゃなく、教える側の能力で変わってくるとしたら?正しい教え方を知らないだけだとしたら?
もちろん全部が全部該当する訳じゃないだろう。
その中で何割かでも変わってくれるとしたら、それはやる価値があるように思える。
本書では、行動科学に基づいた形での部下育成(教え方)をマンガ形式で教えてくれる。
さっそく中身を見ていこう。
【ポイント】
教える技術は相手の行動に着目する
ひと昔前まで部下への教え方はこんな感じじゃなかっただろうか?
「基本的な事は教えるが、後は見て盗め。それで分からない事があったら質問してくるように。」
これで育った時代はもう過ぎた。今は通じない。
だが厄介なのが、今の管理職はこのやり方で育ってきたギリギリの年代という事だ。
人は自分が教えられた方法で部下にも教える。これは世の中の常である。代表的なのが親子だろう。人は親になった時に無意識に自分が育てられた方法で育ててしまう。
現代では教える技術をマスターする事が必要だ。これは技術なので誰でもマスターできる。
教える技術のポイントは以下の通りだ。
「部下のやる気や根性じゃなく、行動に着目して指導や育成を行う」
やる気や根性に頼らないというのがミソだろう。
物事の結果は、人の行動の積み重ねによって成り立っている。つまり行動を正しい方向に変えていく事で、望むような結果が出てくるようになるのだ。
間違った行動を取っていれば、それを正すように指導する。適正な行動を取っていれば、それを継続するように調整する。
人は性格や個性などを否定されると、人格否定されたように感じる。
これは育成で絶対にやってはいけない事でタブーとされているが、実際はやっている人も多い。
行動に着目しよう。正しい行動が取れているかどうか。
このような積み重ねが必要だ。
決して人格否定はしてはならない。
教える事
教える事は相手から望ましい行動を引き出す行為である。
その為に必要な事がいくつかあるのでピックアップしていく。
- 教える内容を知識と技術に分ける
- 相手の行動に着目/観察し、間違っているか正しいかを判断する
知識とは聞かれたら答えられる事、技術とはやろうとすれば出来る事だ。
この2つを分ける必要がある。知っているのと実際に出来るのは違うからだ。チェックシートなんかを使うのもいいだろう。実際に本書ではチェックシートの活用を進めている。
また正しくない行動が見られたら修正していく必要がある。この時に使えるのがMORSの法則だ。言葉自体は忘れてしまってもいい。内容だけ覚えておこう。
M:計測できる、O:観察できる、R:信頼できる、S:明確である
これら4つを満たす行動を設定しよう。
これらのうち、どれかが欠けると行動に対して客観的な評価ができなくなる。客観的な評価が出来ないと、正しい判断ができない。
「出勤したら担当部署の人、全員と挨拶をするように」
「出勤しらら担当部署の全員と目を見て、おはようございますと挨拶をする。この時相手から返事がある事。」
こんな感じだ。
前者は、本人は挨拶したと思っていても、相手は聞こえていないかもしれない。聞こえていなければ、極端に言うと挨拶していないのと一緒だ。
後者は、文言から相手のリアクションの有無の確認まで具体的に記載している。これなら計測や観察も可能だろう。
ポイントは具体的に。だ。
指示内容に抽象的な事は入れないようにしよう。
抽象的な言葉は解釈に幅が出てしまうので、あまり良くはない。
相手の「分かりました」を簡単に信用しない
これも世の中の常だが、部下(後輩)は指導役から指示を受けた後に定型文のように「分かりました」と言う。
ただこれは本当に分かっている場合と、流れで言っている場合があるので注意が必要だ。
この「分かりました」を信用してしまうと、後々、「あの時、分かったって言ったよね・・・?」という事にもなり得る。
というか、このパターンは結構ある。
新人に頚椎レントゲンを教えていて、相手が分かったと言ったので、正面撮影時の管球の角度を何度にするのかを聞いてみたら答えられなかった。
MRI検査で病名によっては追加撮影をしなければならないケースもある。
都度教えて、相手も分かりました、と言っていたので、試しに何のシーケンスを追加するか聞いてみたら全然違う答えが返ってきた。。。
自分の施設を振りかえってみよう。同じような事は毎年起きているはずだ。
これを防ぐためには、相手が分かったと言ったら、実際に確認してみるのが良いと記載されている。
指示内容に対して、具体的な質問を2~3個聞いてみる。
これで答えられたら、本当に分かっている証拠だ。一方で分かっていないと、正解が返ってこない。
いくつかキーワードを選定しておいて、相手の回答の中に、このキーワードがいくつ入っているか等を計測してみるのも有効だろう。
相手の「分かりました」を簡単に信用せずに、具体的に確認する事を進める。
【個人的補足】
部下は認められたがっている
自分が厳しく育てられた人ほど、部下に対して褒める事をしない傾向がある。
簡単には褒めてもらえない環境で育ってきたので、それを部下に求めるのも分からなくはない。
ただ時代は変わった。
今の部下は例え結果が伴っていなくても、プロセスを認めて欲しがっている。
今は結果が伴っていないかもしれない。だが正しい行動を積んでいれば、いずれ望むような結果が出てくる。
この正しい行動をした時に認める、褒める事をすれば、一種の成功体験になり継続する意思も湧いてくる。
結果が伴っていないのは自分でも分かっている。そんな中で上司からプロセスを評価された。これがきっかけで将来的にエースに育ってくれるかもしれない。
もちろん仕事は結果ありきだ。ただ短絡的な結果だけでなく、中長期的に見て小さな成功体験を積ませるのも重要な事だと思う。
本書は他にも、教え方についていくつも例が記載してある。一読して自分に合いそうなものから試してみると良い。
行動を起こさないと何も変わらないが、小さな変化が将来的に大きな変化になる事も多くあるのだから。