【概要】
- 著者:M・スコット・ペック(著)、森 英明(訳)
- 発売日:2011年8月
- ページ数:478ページ
本の目次
はじめに―取り扱いに注意第1章 悪魔と取引した男
第2章 悪の心理学を求めて
第3章 身近に見られる人間の悪
第4章 悲しい人間
第5章 集団の悪について
第6章 危険と希望
【結論(1番の訴求ポイント)】
世の中には色んな人がいる
自分の価値観を他人にも押し付ける人。言い換えると自分が見ている世界が相手も同じものを見ていると思ってしまっている人。
このような人はどこにでもいる。心当たりがある人も多いだろう。
特に客商売をしていると頻繁に遭遇する。お客様は神様だという言葉を勘違いして、あたかも客の方が立場が上だと思ってしまう人だ。
時給1,000円ちょっとのコンビニ店員に、接客態度が悪いとガチギレしているオッサン。これくらいは無料でサービスしろと無理な要求をしてくるオッサン、ひと昔前にバズった衣料品店の店員に土下座させてしまう人などなど。
コンビニは接客サービスを売りにはしていない。あくまで利便性を売っている。勘違いしているのは自分なのに、それに気が付かかずキレ散らかしている。もうアホの極みである。見ていて痛々しい。
本書はこのように自分の世界が確立していて、相手も同じものを見ている人達のケーススタディを中心に記載されている。洋書特有の読みづらさはあるが、ケース毎で精神科である筆者の見解や治療過程も記載されている。
書かれた年代が少し古いので、今の価値観と合わないケースもあるが、人の精神面に興味がある人は一読してみるのもアリだと思う。
【ポイント】
共感能力の欠如
本書に出てくるケーススタディに一貫して共通している事がある。
それは共感能力の欠如だ。
自分の考えが相手も望んでいると信じて疑わない。だから押し付ける。ただ押し付けられた方は、たまったもんじゃない。当然反発もする事もある。だが当の本人は何故反発してくるのかが分からない。客観的に見ると、明らかに価値観の押し付け(尊厳の踏みにじり)なのだが、それに気が付かない。むしろ良い事とさえ思っている。
こんな人たちのケースが記載されている。今でいうサイコパスに該当するのもあるだろう。
サイコパスは次のような特徴を持った人たちの事を指す。
「良心や共感性の著しい欠如」、「表面的な魅力」、「平然とした嘘と対人操作」を主な特徴とする人格の特性
精神医学的には「反社会性パーソナリティ障害」に分類され、罪悪感なく冷徹に人を操作し、衝動的に行動する傾向があるとされている。読んでみると分かるが、まさにこんな人たちが出てくるのだ。
邪悪な人
本書が書かれた当時はサイコパスという認識が一般的じゃなかったのかもしれない。
本書ではこのような人たちを邪悪な人と呼んでいる。
邪悪な人の特徴は、自分の邪悪を認める事を拒否する事にあるとしている。自分自身の罪悪感に耐える事を絶対的に拒否し、他人をスケープゴートにする。言い換えると自己嫌悪の欠如、自分自身に対する不快感の欠如であり、筆者は悪性のナルシムズと読んでいた。
こう記載してみると、サイコパスにそのまま当てはまるのが分かる。
という事は、サイコパスは今も昔も一定数いて、それが表面化してきたかどうかなのだと分かる。
あなたの近くにもサイコパスはいる
サイコパスは人口の1~5%の割合で存在すると言われている。
もちろん程度の大小はあるが、以外と身近に存在している。小学校、中学校のクラスが30人くらいだとすると、その中に1人はサイコパスがいる計算だ。
サイコパスと聞くと、連続殺人鬼のようなケースを思い浮かべるかもしれない。だがそこまでのケースは実際には一握りだ。
しかも実際のサイコパスは狡猾で、目立たないようにしているので、一見すると見分けがつかない。むしろ良い人のようにさえ見える。
これはサイコパス自身が共感能力の欠如を自覚していて、このケースではこのように振る舞えばいいと学習しているからでもある。実際にあなたが信頼している上司がいるかもしれない。でもその人がサイコパスという可能性だって十分にありえるのだ。
本書は、そんな人達(患者)と精神科医(著者)の治療の経過と考察を記載したものであるが、精読すると時間がかかるので最初は斜め読みでも良いと思う。
その中で実際に興味が湧いた項目をじっくり読んでみてはどうだろうか?