全員“カモ”

【概要】

  • 著者:ダニエル・シモンズ、クリストファー・チャブリス(著) 児島 修(訳) 
  • 発売日:2024年3月
  • ページ数:360ページ

本の目次

はじめにーー絶対にだまされるはずがない人たちがカモになる心理バイアス

【ハビット】
1 集中(フォーカス) ーー相手は何を隠しているのか
2 予測(プレディクション)ーー 「期待外れ」を喜べ
3 思い込み(コミットメント)ーー判断を後回しにする
4 効率(エフィシェンシー)ーー相手の痛いところを突く

【フック】
5 一貫性(コンシステンシー)ーーこの世界は不合理だ
6 親近性(ファミリアリティ)ーー「これ知ってる」を疑え
7 正確性(プレシジョン)ーー“数字”の落とし穴
8 有効性(ポテンシー)ーー「奇跡」と「ドラマ」はない

結論ーーそれでも、賢く、したたかに生きる

【結論(1番の訴求ポイント)】

誰でもたまには何かに騙される

本書は思考のクセや傾向を理解(知る)事で、日常に潜んでいる様々な仕掛けに対しての対処法を身に付けようというものである。

人は知らず知らずのうちに、思考のクセや習慣を利用して物事を判断してしまっている。

「見えないゴリラ実験」というのを知っているだろうか?

白シャツを着た人達が何回パスをしたかカウントするゲームだ。

下記にYoutubeを貼っておくので、未経験の人は是非とも試してもらいたい。

このように人は見ているようで見ていない。しかもそれに気が付いていない。

認知バイアスという言葉を聞いた事がある人もいるだろう。このバイアスに近いものがある。

両者とも言っている事は一緒で、クセや傾向は防ぎようがないので、どんなものがあるか予め知っておきましょうというのがほとんどだ。

では、思考のクセや認知バイアスには、どんなものがあるのか?

これを知っているだけで、ある出来事に対して「さて、これは本当だろうか?」とワンクッションを入れる事ができる。このワンクッションを入れると、中には防げるものがあるかもしれない。

毎年、特殊詐欺の被害を受けてしまっている人が多くいる。2025年の暫定値では、年間1,400億円にもなるそうだ。

これは急増の一途をだとっている。また年々内容が巧妙化してきているのも原因の一つだろう。またロマンス詐欺(被害額が約550億円)など現代ならではの詐欺も増えてきている。

あたりを見回してみよう。

特殊詐欺だけじゃなく、大企業に属する頭の良いマーケターが、様々な仕掛けを駆使して合法的に商品をアピールしているのが分かる。

全部を防ぐのは無理だ。誰でもたまには何かに騙される。ただそのたまにの時に大きな被害になるのを防ぐために本書を一読しておくのもアリかとは思う。

【ポイント】

ハビット(クセや習慣)

本書では大きく2つに大項目を分けている。1つ目がハビット(クセや習慣)と言われるものだ。

ハビットには4つあると記載されている。集中、予測、思い込み、効率だ。

個々の項目については、本書を読んでもらえればと思うので、このページでは主だった1つのみについて記載してきたい。

次のケースをイメージしてみよう。

最近株価が上がり続けているというニュースを見て興味が湧き、自分も株式投資を始めてみた。ニュースやキュレーションアプリでは生成AIの事ばかりなので、それに関係する半導体関連の株式を少額だが買ってみた。そしたら自分が想定していた通り(もしくはそれ以上)に株価が上がったとする。早々に利益確定をして、短期間でお小遣いをゲットできた。

よくある話だと思う。

これは予測のハビットが関係している。

人は失敗するとその原因を調べる。なぜ失敗したのか、何がダメだったのか。そしてそれらしい原因を見つけて、次回は同じ轍を踏まないようにする。

これが普通だろう。

しかし一方で、多くの人は成功した時まで原因を調べる事はない。人は予め予測していた事が起きると、それに対して疑問を持たない傾向があると言っている。

確かに言われて納得する部分がある。

一般的に考えると、失敗も成功にも必ず原因がある。その原因を見つけるために振り返りが必要なのだが、そこまでする人は滅多にいない。

自分の趣味の競馬での例えで恐縮だが、これもかなり共通する部分がある。

多くの人は、馬券が外れた時はあーじゃない、こーじゃなかったと反省をする。しかし当たった時は振り返る事はほとんどない。振り返らずに自分スゲーになる。当たった時のドーパミンが優先され、そこまで頭が回らないのだ。

外れた時だけでなく、当たった時まで振り返る事で、初めて成功パターンが見えてくる。

自分が予測していた通りになった時に、「予測通りになった原因は何だろう?」と考える事ができると、ワンクッションを置く事ができる。

世の中には第3者から見ると明らかに騙されているようなケースでも、本人はそうとは思っていないパターンが多い。この時、自分の考えに疑問のワンクッションを入れる事で、詐欺のような被害から身を守る確率が上がるだろう。

フック(引っ掛け)

2つ目がフックと呼ばれているものだ。

これは釣り針のようなもので引っ掛けるイメージに近い。なので自分では知らないうちに引っ掛かってしまっているケースもあるだろう。

それを防ぐためには、知っておく事が重要だ。知っておけば疑えるからだ。

具体的には一貫性、親近性、正確性、有効性がある。

個々の内容は本書を読んでもらうとして、1つだけピックアップしてみようと思う。

飲むだけで痩せるダイエット】

【世界が注目】次世代のボディメイク成分、ついに日本上陸。

日常のルーティンにプラスするだけで、理想のスマートライフをサポートする新発想のダイエタリーサプリメント。その秘密は、先進のバイオテクノロジー研究から生まれた注目の酵素成分にあります。

■ 欧米の高水準研究機関が偶然発見した革新のメカニズム

本製品のコア成分である「エルブトニン」は、もともと欧米の先端医療をリードする『ウリシトン研究所』にて、次世代のヘルスケア研究の一環として開発が進められていた酵素です。研究チームが膨大なスクリーニングを行う過程で、特定のコンディションにおいて脂肪組織へ極めて高いアフィニティ(親和性)を持つことが偶然にも判明。この革新的な発見が、ダイエットアプローチの歴史を塗り替える一歩となりました。

■ 権威ある学術誌への掲載と、実証されたデータ

そのメカニズムと有用性は、一昨年、世界のバイオサイエンス界で高い評価を受ける高インパクトファクターの学術雑誌『アンチャー(Unchar)』にも論文として掲載され、瞬く間にトレンドを席巻しました。事前に行われたプレ臨床試験(マウス投与試験)においては、対象のほぼ全例において有意なウェイトダウンが確認されており、その再現性の高さが各国の研究者から支持されています。

■ 既存のアプローチを凌駕する、驚異の体感率

さらに、欧米で行われたモニターを対象とするヒト臨床試験(二重盲検比較試験)では、被験者の約73%が「元の体重の約10%」の減少を体感するという、サプリメントの常識を覆す驚異的なデータが報告されました。このアプローチは、現在トレンドとなっている先端のHormone-basedなダイエットプログラム(マンジャロ等を用いたGLP-1/GIPアプローチ)と比較しても、引けを取らない、あるいはそれ以上のポテンシャルを秘めているとして、美意識の高いセレブリティや専門家の間でも大きな話題を集めています。

どうだろうか?冒頭の部分が少し怪しい感じを受けるかもしれないが、これを医学博士が言っていたら、それっぽく感じてしまう人もいるのではないだろうか?

これらの文章は言うまでもなく全部デタラメである。エルブトニンという酵素もなければ、ウリシトン研究所も架空の施設である。そんな有名な施設は世界中のどこを探しても無い。

このように人は、具体的で詳細な情報を与えられると正確であると思い込みがちになる事が知られている。

世の中には、上記文書よりももっと上手く作られてたものが多くある。人を騙そうと考え抜かれた文章だ。見抜くのも簡単ではない。ましてやAIもある。AIを使ってある部分だけ本当の事を組み込んでいる文章を作っているかもしれない。

そういった場合は、少し調べただけだと嘘である事が見抜けない可能性もあるだろう。

数千円程度なら勉強料だと思って、諦めがつくかもしれないが、数百万や数千万、億になってくると悔やんでも悔やみきれない。

そうならないように自身の勉強(リテラシー)も必要なのだ。

【個人的補足】

多く疑う

結局はこれなのかなと思う。

高利回りを謳った、いわゆるポンジスキームも、定期預金の金利や株式(投信)の平均利回りを知っていれば、年間で10%以上の安定的な配当なんてあり得ないと一瞬で分かる。

ただこれらの基礎的な情報を持って(知って)いないと、あたかも本当のように感じてしまうかもしれない。

その時に自分で調べてみる。それも出来るだけ多くだ。

本書では、思考のハビット、信じ込ませるフックと記載されている。

それを防ぐには適切なタイミングで自問する事、これがハビットやフックに引っ掛からないコツなのかなと思う。

冒頭で言った通り、全てのウソを見抜くのは不可能だ。誰でもたまには何かに騙される。ただその時に致命傷にならないように防御策を備えておいてもらいたい。

文中にあったように本書では、紹介したハビットやフック以外にも多くの例が記載されている。

是非、自分の目で確認してもらいたい。

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