うーん、単純写真が読めるようになる気がしない・・・
それ、メッチャ分かるで。実はワシも苦手やねん。
もくじ
大腿骨内顆特発性骨壊死(spontaneus osteonecrosis of the medial femoral condyle)とは
大腿骨内顆特発性骨壊死の概要
まぁ、とはいっても整形系は単純写真は必須やからな。技師はんもある程度は読めるようになっておいた方がええのは確かや。
さて、今日の内容は大腿骨内顆特発性骨壊死について話していこか。と、その前に、まずは大腿骨顆部骨壊死から話した方がええかな。
というのも、大腿骨顆部骨壊死の原因でこれといったものが認めないのを特発性骨壊死と呼んでるからな。つまり大腿骨顆部骨壊死の中に特発性骨壊死があるってイメージや。
大腿骨顆部骨壊死における特発性と2次性
大腿骨顆部骨壊死は、大腿骨顆部の局所的な軟骨下骨の骨壊死認める比較的稀な疾患と言われとる。何らかの原因で血流低下が起きて、大腿骨組織が壊死した状態やねん。
原因が不明なのを特発性(一次性)、膠原病やステロイド使用など原因が特定されるものを二次性と呼んでて、中年(60代以降)女性に多くて、安静時(夜間)でも強い疼痛が特徴的や。
好発部位は大腿骨内顆の荷重面とも言われてて、大腿骨外顆や脛骨近位部にも見られる事があるで。
半月板断裂を併発する事も多くて、進行すると変形性膝関節症も合併する事もあるんや。
特発性は、骨粗鬆症が背景にあって、肥満による荷重等で半月板が損傷/断裂、加えて軟骨下脆弱性骨折が起きる。その結果、大腿遠位部に血流障害が起きて、突発性壊死になる。そして進行すると変形性膝関節症に。こんな経過を辿るのかもしれん。
発症時期からStage1~4に分類(腰野分類)されてて、この腰野分類については後述するわ。
以下に簡単に概要を述べるで。
- 原因
- 大腿骨顆部骨壊死のうちの原因が不明なもの
- 軟骨下脆弱性骨折が起因とも言われているが、正確な原因は不明
- 内容
- 50歳以上の中年女性に多い
- 比較的急性発症で安静時にも強い疼痛が特徴的
- 好発部位は大腿骨内顆の荷重面
- 半月板断裂を併発している事も多い
膝付近の解剖
次に大腿骨遠位から下腿骨近位、つまり膝周辺の解剖についてや。今更詳しく話すまでもないやろ。この辺りはサラッとにしとくで。

大腿骨内顆特発性骨壊死の原因と臨床症状、治療法
原因
原因についてやけど病名に特発性ついている事からも分かるように、明確な原因は分かってへんねん。
ただ60代以降の女性に多いという事から、加齢による骨密度低下という節もあるんやけど、確証までには至ってへん。
危険因子については、膠原病、ステロイド投与、アルコール、喫煙なんかがあるとも言われてるわ。これらが原因の場合は二次性に分類されるな。
症状
臨床症状は、疼痛がメインやな。歩行時よりも安静時に膝痛を感じる人も多いみたいやで。
急激に発症して、夜間痛があるのが特徴的やと言われとる。進行すると歩行困難になる事もある一方で、軽微な時は症状があらへん事もしばしばとの事や。
治療法
治療法は保存療法と外科的療法があって、ステージや年齢によって治療法が変わってくるで。
腰野分類でのStage1や2のような、初期で壊死範囲が小さい場合は投薬などの保存療法が選択される事が多いな。それと並行してリハビリや運動療法も行うんや。
一方で進行してStage3以上になった場合で、骨壊死が広範囲の状態になってまうと、自然治癒は難しくて外科的治療になる事もあるとの事や。その時は人工関節を入れる事が多いらしいな。ただ外科的手術も患者の年齢や活動状況によって変わるから一概には言えへんで。
画像所見
大腿骨内顆特発性骨壊死の画像所見
次に画像所見についてやで。
単純写真やと骨透亮像を認めるで。ただ初期やと単純写真では難しことも多いねん。せやから確実に診断するにはMRIまで撮影した方がベターや。MRIを撮影する事で、骨壊死の時期や半月板損傷まで診断出来るから有益な情報は多いで。
主な画像所見については、下記を参考にな。
- 単純写真では骨透亮像を認める(CTでも同様)
- T1、T2で低信号になる事が多い(時期によって変化する)
- 関節面は扁平化、もしくは骨や軟骨の欠損像
- 関節軟骨や軟骨下骨の亀裂や欠損は液体貯留によりT2で高信号になる
腰野分類
大腿骨内顆特発性骨壊死は、症状や進行度に合わせてStage1~4に分類されるで。各々の画像所見については以下の通りや。
- Stage1(発症期):単純Xpでは変化が無い、MRIで低信号域(T1、T2)、脂肪抑制で高信号域として描出される
- Stage2(吸収器):単純写真で骨壊死部が確認できる、MRIの所見はStage1と同様
- Stage3(完成期):単純写真で骨硬化像と壊死部の底部に石灰板が出現、MRIではT2で底~高信号が混在する、脂肪抑制は高信号
- Stage4(変性期):石灰板が消失し、関節裂隙狭小化と骨棘形成が認められる、MRIでも変形性膝関節症の所見が見られる
実際の症例
次は大腿骨内顆の荷重面に骨壊死(慢性期)を認める症例や。関節軟骨の欠損部位はT2系で高信号になってるで。

次の症例は70代女性で膝痛の精査や。大腿骨内側に骨髄浮腫を認める事が出来ると思うで。

ちなみに脆弱性骨折がある場合は、骨折線の周りに骨髄浮腫を認めて、これが起因と言う説もあるらしいで。
下の症例は脆弱性骨折を伴っている例や。


鑑別診断のポイント
虚血性骨壊死 離断性骨軟骨炎
次に鑑別診断についてや。同じような画像所見を呈する疾患として虚血性骨壊死や、離断性骨軟骨炎なんかがあるで。大腿骨特発性骨壊死は中年以上、離断性骨軟骨炎は若年層に多いのが特徴やな。
比較表を作ったがあったから掲載しておくわ。
好発年齢 | 症状 | 好発部位 | 画像所見 | 他 | |
---|---|---|---|---|---|
大腿骨特発性骨壊死 | 中年以上の女性 | 腫脹 急性の疼痛 | 大腿骨内顆荷重部 | T1、T2で低信号 関節面の欠損 | 脆弱性骨折、半月板損傷を合併する事も多い |
虚血性骨壊死 | 特に無し | 疼痛(無症状の事もある) | 骨端~骨幹端 | 地図状形態 T2で低信号と高信号のDuble line signなど | ステロイド、アルコールが原因になる事もある |
離断性骨軟骨炎 | 若年層 | 疼痛(無症状の事もある) | 大腿骨内顆非荷重部 | T1、T2で低信号 関節軟骨の亀裂や欠損など | スポーツなどでの繰り返す外傷が原因とも言われている |
これらは大腿骨顆部の圧壊や離断との鑑別が必要やで。ステロイド治療中やったり年齢だったり、画像所見以外で参考になる情報も多いからよく確認する事やな。
後は場所的に半月板損傷も鑑別にあがる事もあるで。
まとめ
今日は大腿骨突発性骨壊死についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。
中年以上の女性に多く、安静時でも疼痛があるのが特徴
大腿骨内顆の荷重面が好発部位だが、他の部位にも発生する
T1、T2で関節面の欠損を認め低信号になる(壊死時期による)
こんな感じやな。さすがに膝痛の患者さん全例にMRI撮影する必要は現実的に難しいと思うけど、安静時痛や夜間痛を伴う場合はMRIまで撮影しておいた方がええかなとは思うで。
MRI画像だと分かりやすいんですが、単純写真だとなかなか指摘出来ないんです。
単純写真って難しくないですか?
せやな。でも上で話した通り、整形領域やと単純写真はほぼ必須やねん。せやから簡単にでも(せめて骨折くらいは)見れるようにしておくとええで。その為には症例をひらすら経験する事や。この絶対数が少ないと、いざ所見に遭遇しても指摘できへんねん。
まるで自分に言ってるような感じがしてきたわ。
ってな訳で今日のレクチャーはこれくらいにしよかな。
ほな、精進しいやー!