イギリスの医療制度って知ってる?
ゆりかごから墓場までってやつですか?
せや。イギリスはNHS(National Health Service)っていう国民保険サービスがあるんやけど、税金で運営されてて基本的に無料やねん。
でも予約が取れるのが数ヶ月後なんて事も多くて、普通のイギリス人はめったな事で病院に行かへんらしいで。
この辺は日本との違いやな。
もくじ
Segond骨折(Segond Fracure)とは
Segond骨折の概要
今日はSegond骨折についてレクチャーしてくで。
Segond骨折っちゅーのはあまり聞き慣れない疾患名かもしれんな。フランスのPaul SegondというDrが報告した事からこの名前が付いてんねん。
Segond骨折は前外側靱帯(Anterolateral Ligament:ALL)の剥離骨折と考えられとる。
膝を捻った時なんかの腸脛靱帯の牽引が原因で起んねん。せやから必然的に部活動なんかのスポーツ外傷が多いで。
なんでSegond骨折を取り上げたかというと、この骨折がある時は75%以上でACL断裂、半月板損傷を66~75%の割合で認めるという報告があんねん。せやから特にACL断裂の重要な所見なんやで。
ちなみにSegond骨折はLateral capsular signとも呼ばれる事があるで。
- ALLの脛骨付着部の剥離骨折
- Segond骨折がある場合は75%以上でACL断裂、66~75%で半月板損傷も伴う
- なお逆のACL断裂を認めた時にSegond骨折も認める割合は10%以下
- 原因は外傷やスポーツなど様々で膝を捻った時に発生する事が多く小児や成長期に多い
前外側靱帯(Anterolateral Ligament:ALL)の解剖
次に解剖や。今回の前外側靱帯(Anterolateral Ligament:ALL)は比較的最近発見された靱帯なんや。
ALLはLCL(外側側副靱帯)付着部付近から腓骨骨頭とGardy結節の真ん中に存在してると言われてんねん。大腿骨付着部についてはLCL(外側腹側靱帯)と同じとするものや、LCLの前方や後方から発生するとするなど色んな報告もあんねんで。
実際、MRIでも抽出する事が結構難しいねん。


Segond骨折の原因と臨床症状
原因
原因としては、スポーツや高エネルギー外傷によるものがほとんどや。ACL断裂の副次的所見なところもあるで。つまりACL断裂の原因がそのままSegond骨折の原因にもなりえるって事や。
症状
臨床症状は膝外側の疼痛やな。ACL断裂もしてる事が多いから膝全体の痛みや腫脹として出てくる事も多いで。
治療法
治療法は、Segond骨折単独の場合は保存療法が多いんやけど、基本的にACL損傷や断裂を伴ってるから、その治療を優先させる事が多いな。
画像所見
Segond骨折の画像所見
次に画像所見についてや。単純写真やと正面像で脛骨外顆側面に沿った形で剥離骨折の骨片を認めるで。Segond骨折だけなら単純写真でも十分診断可能や。
もちろんCTやMRIでも診断可能やけど、特にMRIでは周囲の骨や軟部組織の浮腫性変化を捉えたり、ACL損傷(断裂)の確認も重要やで。
実際の症例
スポーツ外傷で精査となった10代の症例やで。
単純写真で脛骨外顆側面に骨片を認める事が出来ると思う。MRIやと同部位に骨片とSegond骨折に伴う浮腫性変化を確認出来るな。


ちなみにこの症例はACL断裂を示唆するkissing contusionも認めてんねん。

鑑別診断のポイント
Gerdy結節部の剥離骨折
単純写真でSegond骨折と同じような所見を認めるものにGerdy結節の剥離骨折があるで。
Segond骨折はALLの脛骨付近の剥離骨折やけど、Gerdy結節剥離骨折は、腸脛靱帯付着部で起きてんねん。これは腸脛靱帯はGerdy結節で付着してるからやで。場所的に単純写真だけやと判別が難しい事が多いからMRIが有効なのは覚えておくとええで。

高原骨折
後は骨折繋がりで高原骨折というのもあんねん。
これは脛骨近位端骨折の別名で、脛骨の関節面の骨折や。プラトー骨折とも呼ばれてるな。
高原骨折は軸方向の圧迫負荷を伴った内外反力による骨折で、内側骨折と比較して外側骨折の方が多いと言われてんねん。簡単に言うと、垂直方向に力が加わって骨折した状態の事や。

Segond骨折とはあまり関係があらへんかもしれんけど、同じような部位の骨折として、簡単に挙げさせてもらったわ。
痛みの場所的には外側半月板損傷と紛らわしい事もあるから注意やで。
まとめ
今日はSegond骨折についてレクチャーしたで。ポイントは2つ。
単純写真で脛骨外顆に骨片を認める
Segond骨折があると高確率でACL断裂や半月板損傷がある
以上や。膝はスポーツ外傷などでは高頻度の検査やから、こういった症例を知っておくのも必要やで。
ただMRIの予約が混んでて簡単に撮影できひん施設もあると思う。そういう時は今回のような単純写真の画像所見を知っておくとええと思うな。
全ての施設がMRIを持ってるって訳じゃないですもんね。
日本やと、イギリスのように診察だけで数か月待ちってことはあらへんと思うけど、MRIの検査待ちがそれくらいってのは結構聞くしな。
ちなみにイギリスでの救急の場合は、別にA&E(救急病院)ってのがあったり、自腹でプライベート病院を受診するらしいで。救急なのに数か月先ですとか、手遅れになってまうからな。その辺はちゃんとしてんねんな。
これらと比べて日本の医療制度は整いすぎてる感は否めへん。保険料を納めてれば国内どこに行っても一定レベルの医療は受けられる国民皆保険があるからこそなんやけど、医療は有限や。無限やあらへん。
せやから軽症の場合は自分で治す的な事もこれからは必要なんちゃうんかなって。
ちょっと話しが逸れたな。そろそろ終わりにしよか。
ほな、精進しいやー!