診断:(右)足底腱膜炎疑い っと・・・
なぁ、この仕事やってると左右が混乱する時あらへん?
左右が混乱?
ほら、例えばCT画像上の右側って視覚情報やと左やん?
たまに迷うねん。ワシだけか?
もくじ
足底筋膜炎(plantar fasciitis)とは
足底筋膜炎の概要
まぁええか、今日は足底筋膜炎や。足底腱膜炎とも言ったりするな。
正確には腱膜に炎症が起きるのを腱膜炎、筋膜に炎症が起きるのを筋膜炎としてんねんけど、両者は同じような意味で扱われる事も多いで。
罹患者数は結構多くて、成人で足痛の主な原因が足底筋膜炎というデータもあるで。スポーツなどの慢性的な負荷が原因の1つとして考えられてるで。
ちなみに女性の方が多いねんて。
- 踵の痛みの原因として最多
- 女性に多く、男性の2倍
- 40~50代に好発するが、スポーツをやっている若者にも発生する
- 主な原因はスポーツや肥満など繰り返す踵付近への強い負荷
- 10人に1人が発症するとも言われているくらい高頻度の疾患
- 機械的損傷、変性、リウマチなどの原因でも発生する事がある
- 約9割が保存的治療で1年以内に改善する
- 一部、難治性足底筋膜炎に移行し、この場合は歩行困難な状態にもなったりする
難治性足底筋膜炎
足底筋膜炎は適切な治療をせんと、難治性足底筋膜炎になる事があるんや。難治性足底筋膜炎は、強固な疼痛が半年以上続く状態を指すねん。
通常、初期の足底筋膜炎は足の裏を押すと痛かったり運動後に一過性の痛みがある程度なんやけど、難治性足底筋膜炎になると普通に歩くだけでも痛みが出てくるんやで。
足底筋膜の解剖
次に解剖や。足底筋膜と腱膜は正確にいうと違うんや。似てるようで違うものやで。
まず筋肉の周りにあるのが筋膜や。ほんで筋肉と骨を繋いでいるのが腱や。このあたりはイメージしやすいな。
一方で腱膜は、この腱自体が全体に広がったものを指すねん。足底腱膜は踵骨後下部から扇状に中足骨頭~近位趾骨に付着してるで。
つまり、皮膚、足底腱膜、筋肉の順に構成されているってイメージが近いで。


足底筋膜炎の原因と臨床症状
原因
原因はスポーツだったり加齢だったり肥満だったり、偏平足や外反母趾だったりや。
つまり足底筋膜に継続的に負荷がかかる事が原因の一つやと言われとる。
足底筋膜炎発症のメカニズム
通常、着地の時には踵から着地する人がほとんどやと思う。この着地の時に踵への衝撃を吸収するのがいわゆる土踏まず(アーチ構造)なんや。
足底腱膜は、このアーチ構造をサポートする役割を持ってんねんけど、このアーチ構造が低かったり(偏平足)、逆に高かったり、肥満だったりすると足底腱膜への負荷が大きくなって、段々と柔軟性が低下してくんねん。
また歩き出す時に足趾を持ち上げるやん? その時に足底腱膜が前方に引っ張られる事で負荷がかかる事も柔軟性低下の原因の1つになるんや。
上記から、足(踵)に繰り返し負荷がかかるスポーツ(走ったりジャンプしたりする陸上競技など)にも多いと言われとる。
柔軟性が低下する事で、負荷を流しきれなくなり、小さな損傷が起きる事で炎症になるんや。
症状
主な臨床症状は踵付近の痛みがメインや。歩行時や運動時に起きる事が多いで。
治療法
治療法としては保療法が基本で、リハビリ(ストレッチ)、投薬、装具治療があるとの事や。インソール(中敷き)を使う場合もあるで。これらは、該当部位への負担を軽減させるのが目的や。
リハビリは腓腹筋やヒラメ筋(ふくらはぎ)の柔軟性の向上を目的にしてる事が多いで。腓腹筋は長母指屈筋なんかを通じて足底筋膜へと繋がっているから、ここの柔軟性を上げて負荷を軽減させるという意味があんねん。
他には体外衝撃波治療や外科的治療もあるらしいねんけど、体外衝撃波治療は保存療法を6ヶ月実施しても効果が無かった場合(難治性足底腱膜炎)が保険適応で、外科的治療にまでなるのは稀との事や。
画像所見
足底筋膜炎の画像所見
次に画像所見についてやな。
単純写真やとなかなか分からん事が多いで。踵骨に骨棘を認める事もあるんやけど、これは非特異的な所見や。
その中でMRIが1番有用や。MRI所見としては次の通りになるで。
- 足底筋膜の肥厚
- 皮下組織や踵骨付近筋膜(腱膜)の浮腫性変化(脂肪抑制画像で高信号)
- 造影効果を認める事もある
実際の症例
50代男性で症状は歩行時の右足底の痛みや。
足底筋膜と踵骨の付着部に脂肪抑制画像で高信号、造影で軽度濃染される部分が確認出来ると思うで。

40代女性で同じように足底部分の痛み精査や。
2つとも脂肪抑制の画像なんやけど、足底筋膜の肥厚と皮下組織の浮腫が確認出来ると思うで。

鑑別診断のポイント
踵の痛みを伴う疾患
鑑別診断についてやけど、踵の痛みによる鑑別診断としては次のようなものがあるわ。
- アキレス腱関係(腱炎、断裂など)
- 踵骨の病変(疲労骨折、骨挫傷、骨髄炎など)
- 神経絞扼症候群
これらは画像診断で鑑別が可能な事が多いで。しっかりと除外診断をすんねんで。
アキレス腱断裂や骨髄炎については、下記でも話しているから参考にしてみてや。
まとめ
今回は足底筋膜炎についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。
踵への繰り返す負荷が原因で、加齢やスポーツが原因に多い
踵痛の原因で最も多い
画像上、足底筋膜が肥厚して周囲に浮腫性変化を伴う
こんな感じや。靴のサイズが合ってなかったりしても起きる可能性があんねんて。
他にはヒールなんかでつま先立ちが状態化してる場合も原因の一つになるとの事や。
分かりました。ヒールは履かないように注意していきます!
なんか間違えてるけど、まぁええか。
ちなみにヒール関係の病変はモートン病があるで。合わせて確認しといてな。
ほな、精進しいやー!