後脛骨筋腱断裂(tear of posterior tibial tendon)と前距腓靱帯(anterior talofibular ligament:ATFL)損傷

どや?それなりに画像を読めるようになってきたんちゃうん?

少しは異常所見には気がつけるようになってきたとは思ってますが・・・

後脛骨筋腱断裂(tear of posterior tibial tendon)とは

モタモタしてるとAIに追い抜かれてしまうで。

この間、胸部単純XpをAIが読影するソフトを見たけど、もうここまで来てんねやと思ったからな。

はよ、頑張りや!

後脛骨筋腱断裂の概要

さて、今日は後脛骨筋腱断裂(損傷)についてレクチャーしてくで。

あまり聞き慣れない部位かもしれんが、実は足関節における腱断裂(損傷)でアキレス腱に次いで頻度が高いねん。

後脛骨筋腱に何らかの原因で損傷が起きる事で、中年以降の女性に多く、解剖学的な理由から扁平足を伴う事が多いんや。

偏平足になる理由は、後脛骨筋腱は停止部が舟状骨付近に繋がってる関係で、断裂を起こすと足底のアーチが無くなるためやねん。

内側から舟状骨を引っ張る力が無くなって、足底が外反(ペタッと地面に接する)するようなイメージやな。

後脛骨筋腱の解剖

次に解剖や。下の図を見てよく覚えておくように。舟状骨付近に付着してるで。

結構太い筋腱やろ?

後脛骨筋腱
矢印の部分が後脛骨筋腱

後脛骨筋腱の原因と臨床症状

原因

後脛骨筋腱損傷の原因やけど、肥満、加齢、外傷なんかやで。

つまりは後頚筋腱に負担がかかる事が原因や。

負担がかかる事で損傷や断裂、炎症なんかが起きたりすんねんで。

臨床症状

臨床症状は疼痛や腫脹や。進行すると歩行困難になって、断裂してるとつま先立ちが出来ひんで。

治療法

治療法は保存的療法と外科的療法や。断裂までになってると外科的療法の適応になるとの事や。

画像所見

後脛骨筋腱断裂の画像所見

次に画像所見やな。腱の損傷や断裂やから、それに応じた画像所見になるで。

MRI上で腱の腫大や不連続や断裂、腱内部の高信号なんかが代表的な画像所見や。

ちなみにMRIが1番分かりやすくてCTや単純写真では分からへん。

実際の症例

10代の男の子で遊具で遊んでて負傷した例や。後脛骨筋腱の周囲に浮腫性変化を認める事ができると思うで。

損傷の他に舟状骨にも骨挫傷を認めるな。

足MRI-後脛骨筋腱損傷
左からプロトン強調、T2脂肪抑制の冠状断像
T2脂肪抑制の矢状断、横断像

鑑別診断のポイント

前距腓靱帯損傷

同じような部位の靱帯断裂(損傷)に前距腓靱帯(ATFL)があるで。

せっかくやからこっちも話しておくと、これは捻挫などの内反負荷で発生すんねん。

つまりスポーツをやっている学生なんかに多いで。

ATFL損傷疑いのMRI検査は結構な頻度で見るからこれを機に覚えておくとええで。

概要、解剖、画像を載せておくから1度目を通しておくようにな。これも結構な頻度の検査目的になるやつやで。

概要(後脛骨筋腱損傷との違い)
後脛骨筋腱断裂後脛骨筋腱断裂はアキレス腱断裂に次いで頻度が高い
中年以上の女性に多く外傷の既往がないケースがほとんど
痛みと圧痛がある 扁平足を伴う事が多い
前距腓靱帯断裂外側側副靱帯は前距腓靱帯(anterior talofibular ligament:ATFL)、後距腓靱帯(posterior talofibular ligament:PTFL)、踵腓靱帯(calcaneofibular ligament:CFL)から成り、捻挫などの内反負荷でATFLの損傷が高頻度である
CFL断裂は更に高負荷時に起こり、ほとんどでATFL断裂も伴う
痛みと圧痛がある
原因

原因としては、前距腓靱帯断裂の原因は圧倒的にスポーツ外傷やな。

サッカーやバスケなんかに多くて、足首を捻る(内反)する事で前距腓靱帯にダメージがいくねん。

臨床症状

臨床症状はこっちも疼痛と腫脹や。外顆付近に痛みが出るで。

治療法

治療法は保存療法と外科的療法や。程度に応じてテーピングやギプス固定で対応し、断裂してる場合は外科的治療の適応にもなるらしいで。

前距腓靱帯

実際の症例

次は前距腓靱帯損傷の症例や。

20代の女性でスポーツ中に足首を捻って負傷してん。ATFL周囲に浮腫を伴ってて、断裂に近い損傷をしてるのが見てとれると思うで。こう見るとATFLは横断像が見やすいな。

いずれの症例にも言える事やけど、損傷や断裂がある場合はMRIで靱帯や腱の狭細化や走向不整、欠損像が確認出来るで。

足関節MRI-前距腓靱帯損傷
左からT2脂肪抑制、プロトン強調の冠状断像、T2脂肪抑制の横断像

まとめ

今日は後脛骨筋腱断裂について話したで。途中で前距腓靱帯断裂も加わってしもたけどな。ポイントは各々1つ+αや。

後脛骨筋腱断裂(損傷)は腱断裂の中でアキレス腱に次いで多い

前距腓靱帯は内反負荷で最も損傷しやすく、単独損傷が多い(ATFL>CFL>PTFLの順に頻度が変わる)

各々の解剖を熟知しておく

こんな感じやな。解剖を知ってへんと何も出来ひんで。

ちなみにワシも学生の頃、ATFL+CFL断裂をやった事があんねん。スケート場でフィギュアスケートの真似事してジャンプの着地に失敗してもうてな。その時は笑って誤魔化してたけど実は足首ジンジンや。しかも実際は1センチもジャンプしてなかったらしいで。

赤面の過去や。

まぁ、そんな事はどうでもええか。

ほな、精進しいやー!