肩甲上神経絞扼症候群(suprascapular nerve entrapment syndrome)

改めてこう見てみると、病気や怪我っていっぱいあんねんな。

確かにそうですね。とても全部は覚えきれませんね。

今日は肩甲上神経絞扼症候群について話そうかと思ってて、この怪我の事を調べてたんやけど、肩症状を呈するヤツだけでもぎょーさんあるのな。

肩甲上神経絞扼症候群(suprascapular nerve entrapment syndrome)とは

肩甲上神経絞扼症候群の概要

さて冒頭で言った通り、今日は神経絞扼症候群についてや。

別名バレーボールショルダーとも言われてるヤツや。実はバレーだけやなく、テニスやバトミントンみたいに上肢を回転させる競技に多いねん。せやからスポーツをやってる若い人に多いで。

神経絞扼っちゅーのは、神経に何らかの原因によって圧排が加わって絞扼されてしまってる状態や。簡単に言うと神経が何かに圧迫されてる状態やな。

その中で肩甲上神経絞扼症候群は、肩甲骨の肩甲切痕や棘窩切痕部分で神経が絞扼されてる状態の事を言うねん。

原因としては肩関節の酷使や外傷や嚢胞、腫瘍なんかがあるで。下記で確認してみてな。

参考までに主な原因の1つの傍関節唇嚢胞についても記載しとくで。

  • 肩甲上神経絞扼症候群
    • 肩甲上神経が外傷や嚢胞、腫瘍などによって絞扼されている状態
    • 進行すると棘上筋や棘下筋の麻痺や萎縮が出る
    • 肩甲上切痕と肩甲棘関節窩切痕の2箇所が絞扼部位
  • 傍関節唇嚢胞
    • 関節唇近傍に発生する嚢胞
    • 関節唇断裂を介して関節腔と交通を有する事が多い
    • 関節唇損傷がある場合は穿刺吸引しても再発する事がある

肩甲上神経の解剖

次に解剖や。骨や筋肉については知ってても、神経まで知ってるのは少数かもしれん。

これを機に下の図を見て覚えておいてもらえたらええで。

肩の解剖
肩解剖

肩神経絞扼症候群の原因と臨床症状

原因

この症状の原因は、筋力の低下(酷使)があるで。バレーのスパイクのようなオーバーハンドスポーツで特に顕著やな。酷使する事で筋肉の柔軟性が低下して損傷する事で、その近傍にある神経にも障害が起きんねん。

他に姿勢の悪さや肩甲骨の可動性の悪さなんかがあると言われてる。姿勢を良くして、適度に筋トレしろって事やな。

もちろん腫瘍性病変による絞扼の場合もあるで。

症状

臨床症状は、腕や肩の疼痛、痺れなんかや。神経が障害されるから、神経障害がメインやな。

絞扼部分から先の神経支配部位に障害や症状が出るで。

治療法

治療法については、保存療法(ブロック注射など)がまず実施されるで。それと並行して、筋萎縮を防ぐEMSっちゅー電気治療とリハビリを行うとの事や。どうにもならん時は外科的治療も行われる事もあるらしいな。

画像所見

肩神経絞扼症候群の画像所見

画像診断については、MRIやUSが有効や。

USでは神経障害の有無を、MRIやと神経障害に加えて、その原因も見る事が出来んねん。

筋損傷していれば、損傷部位が脂肪抑制で高信号になるし、ガングリオンが原因ならT2WIで高信号、T1WIで低信号の腫瘤影として描出されるで。

ちなみに傍関節唇嚢胞なら、T2強調や脂肪抑制で高信号の腫瘤が確認出来るで。嚢胞と同じ信号パターンやな。

実際の症例

次に実際の画像を見ていこか。

次の症例は50代男性で肩の痛みで受診した例や。傍関節唇嚢胞が原因で肩甲上神経絞扼症候群と診断されてるで。

後方関節唇が損傷してて、その部分に連続する嚢胞があるやろ。これが傍関節唇嚢胞やで。嚢胞成分は単房性やなく多房性の場合もあんねん。嚢胞やから造影しても濃染はせんからな。

肩MRI-神経絞扼症候群

次も40代の症例や。交通事故の精査で来院してんんけど、普段から肩を使う仕事もしてたって話しやで。

肩甲骨関節窩の背側の関節唇の断裂とガングリオンを認めると思う。ガングリオンは肩甲棘の下部に連続してて、ガングリオンの圧排による肩甲上神経麻痺疑いとの画像診断となってるで。

肩MRI-神経絞扼症候群
左上からT2強調、T1強調、T2脂肪抑制、下段左からT2強調横断像、T2脂肪抑制横断像、T2脂肪抑制矢状断像

鑑別診断のポイント

他の神経絞扼症候群

鑑別診断やけど、まぁこれは特徴的な所見やし鑑別ってほどのものもあらへんからしっかりと覚えておけばええと思うで。中には症状の原因が頚椎のヘルニアやアルコール性障害なんかの事もあるから、そこだけ注意かな。

患者エピソードをよく確認しておく事が必要や。

ちなみに、神経絞扼症候群は肩だけでなく肘や手、その他の部位にも起きるで。主に次の通りや。

部位種類
肩関節肩甲上神経絞扼症候群、腋窩間隙症候群
胸部胸郭出口症候群
肘関節肘部管症候群、前/後骨間神経症候群
手関節手根管症候群、尺骨神経管症候群(ギヨン管症候群)
膝関節総腓骨神経絞扼障害
足関節足根管症候群

下肢の痺れなんかの原因にはヘルニアや狭窄症なんかがあるで。

まとめ

今日は主に肩甲上神経絞扼症候群と傍関節唇嚢胞をレクチャーしたで。ポイントは3つや。

肩甲上神経絞扼症候群は、肩甲上切痕と肩甲棘関節窩切痕部分での絞扼が原因

傍関節唇嚢胞によるものが多く、多房性の嚢胞の場合もある

肩だけでなく他の部位にも発生する

こんな感じや。今回はさらっとやな。でも逆にスッキリしてて覚える事も限られてるやろ。

今回の所見はたまに見る事があったんですが、病名までは知りませんでした。
いつも嚢胞があるってだけで終わらせてました。まだまだ知らない事が沢山あります。

HAHAHA! その通りや。 ワシも痛感しとるわ。
ってな訳で、ほな、精進しいやー!

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