外側上顆炎(lateral epicondylitis)

先生がレクチャーで1番気を付けている事は何ですか?

SDT一択や。

スーパー大嫌いなともだち?

アホ!それ、もう友達やあらへんやん。

show,don’t tell、「話すな、見せろ」って意味や。

人間って実は話てる内容は聞いてるつもりでもそれほど入っきてへんねん。実は聞くより視覚情報の方が記憶に残りやすいっていうデータもあんねん。せやから出来るだけ図をメインにしてやるようにしてるんや。

これは元々小説なんかでの表現方法やねんけど、それをワシなりに多少アレンジしたって感じかな。

パクってもええで。1回50円な。

外側上顆炎(lateral epicondylitis)とは

外側上顆炎の概要

今日は外側上顆炎についてやっていくで。

外側上顆炎は別名テニス肘とも呼ばれてて、総伸筋腱起始部(上腕側)の変性や断裂の事やねん。

なんでテニス肘って言われてるかって?

それは中年以降のテニス愛好家に多いからなんや。でも実際はテニス愛好家以外にも発生してんねんで。

手首や前腕をよく使う仕事や作業を行ってる人に発生する可能性があんねん。好発年齢は50~60代や。

臨床的にはThomsenテスト、Chairテスト、中指伸展テストで肘外側から前腕にかけての疼痛を認めたら診断されるで。

概要をまとめておくわ。

概要
外側上顆炎総伸筋腱起始部の変性や断裂の総称
中年以降のテニス愛好家に多いが、それ以外でも発症する
臨床症状は肘の痛みで次の3つが陽性ならテニス肘と診断される
Thomsenテスト:肘を伸ばしたまま手首軽く固定してもらいながら前後に動かす
Chairテスト:肘を伸ばしたまま椅子を持ち上げてもらう
中指伸展テスト:肘を伸ばしたまま中指を軽く固定してもらい伸ばしてみる
外側上顆炎テスト

肘の解剖

肘の解剖についてはこんな感じや。外側側副靱帯と近いから間違わんようにな。

肘の解剖

ちなにみ外側側副靱帯はここから飛べるから、興味があれば読んでみてーな。

外側上顆炎の原因と臨床症状

外側上顆炎の原因は肘への負荷や。これはテニスなんかのスポーツだけやなくて、日常動作や肘をよく使う仕事なんかでも発症する可能性がある事を示してんねん。加えて加齢なんかも原因の1つとしてあげる事もあるな。

臨床症状は肘の外側付近の痛みや。何かを捻る動作の時や肘を伸ばした状態で物を持ち上げる時に疼痛があったら外側上顆炎(テニス肘)の可能瀬尾が高いで。

治療法としては、保存療法と外科的療法があるで。保存療法は投薬治療や安静にする事、痛みが治まったらリハビリなんかを行う事や。それでも改善せん場合は外科的療法になって損傷した腱膜を切除する事で対処すんねん。

画像所見

外側上顆炎の画像所見

画像所見や。単純写真やと基本的に分からへん。画像診断にはMRIが有効や。MRIの画像所見は次の通りやで。

画像所見
外側上顆炎単純写真では診断が困難
MRIでは総伸筋腱(特に短橈側手根伸筋腱)の腫大と信号上昇があり特にT2強調や脂肪抑制が有効
腱の菲薄化や外側上顆で骨髄浮腫を認める事もある
進行すると外側側副靱帯複合体(外側橈骨側副靱帯、外側尺骨側副靱帯)の損傷を伴う
無症状でも上記のような所見を呈する事がある 

実際の症例

次に実際の画像やな。

40代女性の画像や。特に原因となるようなエピソードはなくて、誘因なく疼痛が発症した例や。総伸筋腱起始部の信号上昇が確認できると思うで。近くに側副靱帯があるからそれと間違わんように注意やで。

肘MRI-外側上顆炎
肘MRI-外側上顆炎2

こっちは50代、女性の症例や。他院で右肘外側上顆炎疑いの診断で紹介されてん。MRI検査(T2脂肪抑制)で総伸筋腱起始部に信号上昇を認めるで。

肘MRI-外側上顆炎3
上段左からT2強調、T1強調、下段がT2脂肪抑制

鑑別診断のポイント

後骨間神経絞扼 外側滑膜ひだ

鑑別診断についてや。上の側副靱帯損傷以外にも後骨間神経絞扼、外側滑膜ひだなんかがあるで。

後骨間神経絞扼については、ガングリオンなどの要因で神経が絞扼される事が原因で信号上昇を認めんねん。

滑膜ひだは、橈骨側と上腕骨の間に入り込む隔壁様構造で正常変異の1つと考えられてんねんけど、炎症や軟骨変性を伴って痛みの原因になる事があるで。

ちなみに、内側上顆炎もあんねん。これは屈筋腱の上顆付着部の損傷で別名ゴルフ肘とも呼ばれてるで。頻度としては外側の方が多いで。

まとめ

今日は外側上顆炎についてレクチャーしたで。ポイントは2つ。

中年以降のテニス愛好家に多くテニス肘とも呼ばれるが、テニス以外の肘を使う事で発症する事も多い

総伸筋腱起始部の変性、損傷、断裂が原因

側副靱帯と間違えないようにする

こんなところやで。

ちなみに画像って便利なんやで。総伸筋腱はどこかって話でも、言葉や文字情報で説明するのと画像で見せるのやと、後者の方が圧倒的に分かりやすいからな。しかも文字情報やと本当に伝わってるのか微妙な時もあるしな。意外と言語化って難しいねん。他人に伝わって始めて言語化になるからな。

その点、絵なら1発や。あれこれ説明せんでも簡単に分かるしな。

これがワシが出来るだけ絵を使ってる理由でもあんねん。さて、今日はこれくらいにしよか。

ほな、精進しいやー!