OKサインって出来るか?
ん?こうですか?
もくじ
手根管症候群(carpal tunnel syndrome)とは
手根管症候群の概要
・・・ちっ。
さて、今日は手根管症候群について話してくで。
手根管症候群はどんな病気かというと、正中神経が手根管で絞扼されて障害が起きる事で指先に痺れや痛みが出てきてる状態や。
妊娠や出産期、更年期の女性に多いのが特徴と言われてる。
絞扼される原因としては、腫瘤性病変だったり炎症性なんかやな。実は手根管症候群の診断は臨床所見だけで出来るのがほとんどなんやで。
症状が進行すると、OKサインが作れなくなったりすんねん。
せやから画像診断の役割はそれほど多くないとも言われてるな。
以下に簡単な概要を載せておくで。
手根管症候群の概要 |
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・正中神経が絞扼される事で起きる ・突発性で妊娠出産期、更年期の中年女性に多い ・臨床症状は指先の痺れや明け方の痛み ・原因は腫瘤性や炎症性があるが、原因不明の事も多い ・ティネル徴候やファレンテストなどで臨床症状で診断が可能な事が多い ・主な原因としては外傷や炎症性疾患、腫瘤性病変などがある |
手根管の解剖
次に手根管の解剖や。この症例は基本的に正中神経が障害される事で起きるから、この正中神経がどこを走ってるかを知っておくのが重要やで。
手根管は手根骨と横手根靱帯で囲まれてるトンネルみたいなもんで、その中に正中神経と複数の腱(滑膜性の腱鞘)が走ってんねん。
手根管症候群の原因
手根管症候群の原因は次のような事があると言われとる。腱鞘炎なんかの非特異的な症状で起きる事もあるで。
- 手首の骨折や脱臼
- 炎症性疾患:腱鞘炎や関節リウマチなど
- 正中神経に出来た腫瘍性病変:神経鞘腫、線維腫、過誤腫など
- 手根管内の腫瘤性病変:ガングリオン、血管腫、脂肪腫など
- 代謝性疾患:アミロイドーシス、糖尿病、先端肥大症など
- その他:虫様筋肥大、筋肉奇形、正中動脈遺残など糖尿病など
手根管症候群の臨床症状
臨床症状は、示指や中指での痺れや。進行すると母指、薬指の半分を含めた3本半に痺れや痛みが出現してくるで。これは正中神経の支配領域に関係してるで。進行すると細かな作業やOKサインが作れなくなってきたりするで。
ティネル徴候テスト ファレンテスト
実は手根管症候群は臨床のテストで診断できる場合が多いねん。その中でもティネル徴候テストやファレンテストが有名やな。
ティネル徴候テストは手首に打腱器で叩くと指先に痺れが起きる事、ファレンテストは両手首の手の甲を合わせるようにして直角に曲げて1分間以内に痺れが起きるかどうかや。合掌するのと逆バージョンやな。
手根管症候群の治療方法
治療法としては、保存的療法と外科的療法の2つがあるで。
保存的療法は投薬や注射なんかや。それでも改善せん時や腫瘤性病変が原因の場合は外科的治療の対象になるで。
画像所見
手根管症候群の画像所見
次に画像所見についてや。
まぁこれも単純写真やと難しくて、MRIが分かりやすいで。正中神経はT1強調、T2強調共に中等度の信号強度や。この正中神経中心に原因が何かを確認していくんやで。
画像所見としては次のようなものがあるんやけど、疑陽性も高いから注意が必要や。
画像所見 | |
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手根管症候群 | 正中神経近位部の腫大 正中神経遠位部の扁平化 横手根靱帯(屈筋支帯)の膨張 正中神経のT2強調での高信号化 横手根靱帯の深層の脂肪層の消失 横手根靱帯の腱鞘 深部滑液包炎 母指球筋の脱神経 |
実際の症例
50代 女性 右手の痺れ
次に実際の画像や。これは50代女性で誘因なく右手の痺れが出現してMRI検査を実施した例や。横手根靱帯の膨張と正中神経の高信号を認める事が出来ると思うで。
10代 女性
次の症例は10代の女の子の症例や。手根管に高信号を認めて手根管症候群が疑われるで。
40代 女性 左手の痺れ
次の症例は40代女性で左手の痺れで精査となった例や。同様に手根管に高信号を認めるで。ただこの症状は疑陽性も多いのが難点や。正中神経が高信号やからと言って、それが手根管症候群とは限らんで。臨床症状との対比を必ず確認するようにな。
鑑別診断のポイント
キーンベック病 TFCC損傷
次に鑑別診断やな。場所的にキーンベック病やTFCC損傷と間違えやすい事もあんねんけど、臨床所見や画像所見は違うからしっかり確認すれば判断に迷う事は少ないと思うで。なんにせよ、所見を見たら鑑別疾患の選択肢に上がるように知識を溜めておく事が重要や。
後はヘルニアが原因で指先の痺れが出る場合もあるから、こっちもチェックしておいてくれや。
まとめ
今日は手根管症候群についてレクチャーしたで。ポイントは2つや。
中年女性に多く腫瘤や炎症で正中神経が絞扼される事で発生
MRIでT2系での正中神経の高信号は特異的なものではなく疑陽性が多いので注意する
こんな感じや。手根管症候群は臨床で診断が可能やから、あまり検査に回ってくる事は少ないかもしれん。ただし手術後の再発チェックなんかはあるかもしれんから内容を知っておくのは重要やで。
後は思いがけなく発見する事もあるやろしな。
日頃からの鍛錬が重要やで。
「ローマは一日にしてならず」ですね。
その通りや!
ってな訳で、いったん締めとこか。
ほな、精進しいやー!