そう言えば、先生って関西出身じゃないんですよね?
そうやで。住んだ事もあらへん。ニワカもいいところや。
標準語でも話せるんですか?
もくじ
椎間板ヘルニア(disk herniation)とは
椎間板ヘルニアの概要
OKや!では、今日は標準語でレクチャーしてこか。
さて、今日の議題は椎間板ヘルニアについてです。
これは日常の診療や検査でよく遭遇するし大体の事は知っていると思うので、今回は復習や確認の意味合いが強いかもしれませんね。
まずはヘルニアというのはどういった状態なのかを概要を含め確認していきましょう。
【椎間板ヘルニア】
- 髄核が線維輪を超えて、脊柱管内に突出している状態
- 神経根を圧迫している
- 椎間板(線維輪+髄核)の突出程度が全周に対して25%(1/4)までをヘルニア、それ以上は膨隆と呼ぶ
- L4/5、L5/S1に多く胸椎に少ない
具体的なイメージ図は下記の通りになります。正常例と比較すると分かりやすいですね。
ヘルニアの分類
ヘルニアにはいくつかの分類方法があります。
髄核がどのように突出しているかによるもので、形態による分類と部位による分類の2つです。表と図を用意したので確認してみて下さい。
図の方がイメージが湧きやすいかもしれません。
分類内容 | |
---|---|
形態による分類 | 突出(protrusion):突出したヘルニアの最大径がヘルニア基部経を超えない状態 脱出(extrution):突出したヘルニアの最大径が基部よりも長い状態 遊離(sequestration):ヘルニアが分離し、元の椎間板との連続性が無くなった状態 |
部位による分類 | 正中型(central type) 傍正中型(paracentral type) 椎間孔型(foraminal type) 外側型(far lateral type) |
部位別だと傍正中型が7割強、正中型が2割強です。つまりこの2つがほとんどを占めます。
また、ヘルニアの位置はどの神経根圧迫を圧迫しているかに関係してきます。次の図で確認してみましょう。
これはL3-4レベルの椎間板の画像ですが、ヘルニアの位置によって圧迫される神経根が違うのが分かると思います。
傍正中型や椎間孔型はL4神経根を、外側型はL3神経根を圧迫する事が多いです。つまりどの神経根がどこを走っているかが重要になります。
椎体と神経根の関係性
参考までに頸椎と腰椎では椎体と神経根の関係性が違います。
腰椎では上記のように、L3-4レベルでは椎間孔付近にはL3神経根が走っていますが、これが頸椎ではC3-4レベルでは椎間孔付近にはC4神経根が走っています。
これは頸椎は椎体が7つなのに対して神経根が8つあるためです。
ボケっとしていると間違える事があるので、注意しましょう。
特殊なヘルニア
他によく見るヘルニアとして、シュモール結節というのがあります。シュモールの特徴は次のようなものがありますので、合わせて覚えておいてください。
- 椎間板が椎体内の上下に突出した状態
- スポーツなどの機械的刺激によるもの
- 急性期には浮腫性変化を認める
- 椎体の一部が分離した状態を椎体隅角解離(linbus vertebra)と呼ぶ
デルマトーム(神経の支配領域)
参考までに各神経の支配領域(デルマトーム)を載せておくので、臨床所見と画像所見を対比させてみるとより分かりやすいと思います。
例えば下腿後面の痺れなどがあれば、腰椎下位の神経根を良く観察するなどしてみてください。
椎体の解剖
次に椎体の解剖を見ていきましょう。
頚椎と腰椎でやや違う部分もありますが、ある程度は共通なので下のイメージ図で確認しておいて下さい。
椎間板ヘルニアの原因
次に椎間板ヘルニアの原因についてです。
主な原因として、姿勢、加齢、遺伝的要因などがあります。
多くは加齢による椎間板の変性や姿勢による荷重が原因で発症する事が多いようです。
また喫煙との関連もあると言われています。
椎間板ヘルニアの臨床症状
臨床症状は痺れや痛みが主な症状になります。
痛みについては、ヘルニアによって脱出した髄核が周囲と炎症を起こす事が原因という事が最近分かってきました。
この炎症を伴っていないヘルニアは、例え大きく脱出していても痛みが生じない事が多いようです。(ただし痺れなどの症状は出ます。)
痺れは脱出した髄核が神経を圧迫することで起こります。進行すると排尿障害が起きる事もあります。
椎間板ヘルニアの治療方法
治療方法は保存療法と外科的療法があります。
ヘルニアは自然に治る場合があるので、まずは保存療法として投薬治療やブロック注射で対処しつつリハビリなどの理学療法を行う事が多いようです。
それでも改善されない場合は、椎間板切除術や摘出術が実施される事があります。
画像所見
椎間板ヘルニアの画像所見
さて画像所見についてですが、すでに実際の画像を確認している人も多いかもしれません。
所見の概要を載せた後に画像メインで話していきましょう。
【主な画像所見】
- 単純写真の側面像ではヘルニアの有無は分からない
- CTでも同様
- MRIが有効でヘルニアの有無や圧迫程度の確認が可能
- MRIでは椎間板の膨隆や突出(脱出)によって神経根の圧迫の有無が確認できる
- 脱出した髄核はT1WIで髄液と等信号、T2WIでやや高信号を呈する
- 遊離型では髄膜腫や神経鞘腫、硬膜外血腫との鑑別が問題になる事がある
実際の症例
40代 男性 左下肢の痺れと腰痛
続いて実際の症例です。画像を見てみると、L4-5の椎間板ヘルニアがあり、横断像でL5-S2くらいまでの神経根圧迫が確認出来ると思います。後方にも突出しているので、傍正中型の脱出タイプですね。
神経根の圧迫状況と臨床症状が一致します。
下肢の痺れ
この方も同様ですね。L5-S1に後方型ヘルニアを認めてS1神経根を圧迫しているのが分かるかと思います。
50代 女性 頚部痛と上肢の痺れ
こちらは頚椎の症例で50代女性、頚部痛と上肢の痺れで精査となった例です。C2-3に正中型の突出ヘルニアを認めますね。
自然消退を来すヘルニア
ちなみに先ほど少し触れましたが、ヘルニアは自然消退を来す事があります。自然消退するヘルニアには以下のような特徴がある事が報告されています。
- 脱出型、もしくは分離型
- 後縦靱帯を超えるのも
- 6mm超の大きさがあるもの
- T2WIで高信号を示すもの
- 辺縁に増強効果を認めるもの
原因は蛋白分解酵素の活性化や血管新生などとも言われています。
原因は別としても自然消退する事があるというのは覚えておくと良いでしょう。たまに無治療でヘルニアが無くなった症例に遭遇しますが、これを知っておくと慌てずに済むと思います。
鑑別診断のポイント
腫瘍性ヘルニアや脊柱管狭窄症
鑑別疾患についてですが、画像所見からは腫瘍性ヘルニア、線維性瘢痕など、臨床所見からは脊柱管狭窄症などがありますね。時には造影検査なども織り交ぜながら、しっかりと撮影された画像を見る事で鑑別する事が出来ると思います。
まとめ
今日は椎間板ヘルニアについてレクチャーしました。ポイントは2つです。
ヘルニアは腰椎下位に好発し胸椎は稀
横断像にてヘルニアの種類やどの神経根を圧迫しているのかを確認する
所見自体はそれほど難しくないのと、よく遭遇するので実際に経験する機会は多いと思います。
デルマトームを参考に圧迫神経根を推察しながら検査してみましょう。
以上ですが、何か質問はありますか?
違和感がMAXで内容があまり入ってこなかったです。
なんという事でしょう。せっかくのレクチャーしたのに。
・・・ただ正直、どんな感じで話せばいいのか自分でも分からないのです。キャラも変わってると思いますし。
次回からは通常に戻らさせていただきますね。では、今日はこれで終わりにしましょう。
精進して下さい!