ジャンパー膝(膝蓋腱炎 patellar tendonitis)

ジャンパーソンって知ってる?

・・・いえ。

ジャンパー膝(patellar tendonitis)とは

そうか、ジェネレーションギャップやな。ワシが子供の頃の特撮ロボや。(ジャンパーソン@Wiki

懐かしいで。なんでジャンパーソンが出てきたかって?

それは今日、話す内容がジャンパーズニーやからや!

ジャンパー膝の概要

ってな訳で、今日はジャンパー膝について話していくわ。これは膝蓋腱炎と大腿四頭筋腱炎を含むパターンもあるで。

  1. ジャンプやダッシュなどの動作をするスポーツに多い
  2. 圧倒的に10代の若者に多い
  3. 大腿四頭筋の柔軟性低下とオーバーユースが主な原因(オスグッド・シュラッター病と同じ)
  4. これにより大腿四頭筋腱や膝蓋腱が炎症を起こす事で痛みがでる

膝の屈伸動作で痛みを感じんねん。進行すると痛みが増強して日常生活にまで支障を来す事もあるで。

ジャンパーズニーと命名されてるけど、ジャンプを伴わない運動でも起きる事もあるで。

痛みを感じる箇所には主に3点あって、大腿四頭筋腱と膝蓋骨の付着部、膝蓋骨と膝蓋腱の付着部、膝蓋腱の遠位部や。1番多いのが膝蓋骨と膝蓋腱付着部やな。ここの痛みが6割以上とも言われとる。

膝蓋骨付近の解剖

次に解剖や。骨軟部疾患は基本的に解剖を知ってる事がベースにあるからな。

今回のジャンパー膝については、大腿四頭筋腱と膝蓋骨、膝蓋腱は必須やで。

下記の図で今一度確認しておいてくれや。

膝の解剖

ジャンパー膝の原因

膝蓋腱炎の主な原因は概要の所で話した通り、成長期特有の大腿四頭筋の柔軟性低下とオーバーユースや。

走る、蹴る、ジャンプするなどのスポーツは、膝の屈伸運動を伴う事が多いのは知っての通りなんやけど、成長期に伴う膝周囲の不安定さに加えて、繰り返しの過度な負担が原因となって、腱が損傷し炎症を起こした状態が膝蓋腱炎や。

準備体操で充分にストレッチせんと運動を始めてしまうのも柔軟性不足になって、原因の1つになったりするで。

ジャンパー膝の臨床症状

臨床症状は膝蓋骨付近の痛みやな。他には、膝が曲げられない、熱感なんかがあるで。いずれも炎症による症状や。

初期症状としては、走ったりジャンプした時に膝蓋骨下に痛みを感じる事や。同部位に圧痛を認める事もある。

これが進行すると、熱感や腫脹が起きて炎症症状が起きてるのが分かるようになるで。

またジャンパー膝には重症度分類があって、軽度から最重症の4段階に分類されてんねん。

【Roelsらによる重症度分類】

  1. 軽症 スポーツ中に痛みを感じるが、運動は支障は無いレベル
  2. 中等度 スポーツ中、後に痛みがあるが、運動は支障は無いレベル
  3. 重症 スポーツ中に限らず、常に痛みがありスポーツ活動に支障が出るレベル
  4. 最重症 膝蓋靱帯の部分、または完全断裂で日常生活に支障が出るレベル、手術の対象

軽症の内に発見して治療を開始すれば、その後の回復期間も短いねんけど、進行してからの治療開始やと長期になる場合もあったり、日常生活に支障が起きる場合は手術対象にもなったりすんねんで。

ジャンパー膝の治療法

治療法は重症度分類によって違ってくるけど、基本的には保存療法や。投薬や運動制限したりサポーターを捲いたりしたりするで。

日常生活にまで支障が出る最重症例やと、部分断裂や完全断裂にまでなっている場合もあるから、縫合手術を行うこともあるな。

また大腿四頭筋の柔軟性訓練のようなリハビリも有効や。

その一方で、一部では難治性の膝蓋腱炎になる人もおるで。この場合は投薬やストレッチしても症状が改善せんくなんねん。

画像所見

ジャンパー膝の画像所見

次にジャンパー膝の画像所見についてや。MRIが有効やで。

【MRI画像所見】 膝蓋腱や大腿四頭筋腱にT2-FSで高信号(炎症所見)やT2スター系で腱(炎症部位)の肥厚や高信号

ちなみに画像所見は臨床所見や疼痛レベルと必ずしもマッチするって訳でも無いらしいな。つまり画像所見はあるけど症状が無いっていう場合もあるって事や。

他にはUSなんかも用いられたりするで。

実際の症例

10代 陸上選手

実際の画像を見ていこか。10代後半の女性で陸上をやってる学生さんや。膝蓋靱帯の起始部で腫脹や信号上昇が確認出来るやろ。脂肪抑制画像やと膝蓋下脂肪組織に浮腫もあるのが分かるな。これらからジャンパー膝として診断出来る症例や。

膝蓋靱帯炎
20代 膝痛精査

次は大腿四頭筋腱炎の症例や。ジャンパー膝は膝蓋腱炎を指す事が多いんやけど、大腿四頭筋腱も含む場合もあるで。

該当の部位に信号上昇を認めるで。

鑑別診断のポイント

Sinding-Larsen-Johansson病

ジャンパー膝と同じような部位の痛みにsingind-larsen-johansson病があるで。

  • 10代中盤くらいまでの男児に多く、膝蓋骨下端の痛みがある
  • ジャンパー膝やオスグッド・シュラッター病と比較すると頻度は少ない
  • 安静保存で軽快する事が多い
  • 原因は部活動などのオーバーユースと大腿四頭筋の柔軟性低下など
10代 膝痛精査

実際の症例や。この例はSindig-Larsen-Johansson病に加えてオスグッド・シュラッター病の慢性期像も認めるで。サッカー部らしいけど、かなりの部活動量やという事が分かるな。

鑑別疾患

他には、同じような臨床症状で鑑別を要するのに、次のようなものがあるわ。ジャンパー膝が重症化すると靱帯断裂にまでなったりするで。重症度分類やと最重症にあたるな。

  • オスグッド・シュラッター病
  • 膝蓋腱損傷
  • 半月板損傷
  • 骨挫傷

まとめ

ってな訳で、今日はジャンパー膝についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。

成長期による大腿四頭筋腱の不安定さに加え、スポーツによるオーバーユースが原因

基本的に安静保存療法で回復するが、一部難治性に進行するものもある

MRIが有効で、膝蓋腱の肥厚を炎症像を認める

ジャンパー膝になる人は部活動をやっている人が多いから、試合が近かったりすると、どうしても我慢してしまうねんな。

それが回復が遅れる原因にもなったりするんや。気持ちは分からんでもないがな。

先生は何か部活動をやってたんですか?

ワシか?ワシは雀麻部やったで。バリバリの不健康児やってん。

まぁ、そのおかげで今も連んでるメンツがおるんやけどな。しかも、麻雀って結構、頭使うんやで?

自分も興味があったら1回やってみーや。ハマるかもしれんで?

ほな、精進しいやー!