急性肝炎(acute hepatitis)

技師A:先生、造影後に気分不良の患者さんがいます。対応お願いします!

今行くで。ルートは確保したまんまで念のためアドレナリンも用意しておいてや。あと今のバイタルどんなもん?
よしよし、ちょっと補液で様子みよか。△△さーん、大丈夫ですかー?
・・・・よし、安定してきたな。もう大丈夫や。念のためもう少し様子を見ておいてや。ほな、よろしく!

医者っぽいとこもあるんですね。

おお、若造か。っぽいやなくて、ホンマもんの医者や。なに疑ってんねん。医師免許見せたろか?

・・・しかし、こればっかりはしゃーないな。どんだけ事前にチェックしても一定の確率で副作用反応は起きてまうしな。

せやけど、今はまだ良くなった方やで。ワシが医者になりたての頃は今よりもっと頻繁に発生しとったんやで。

それこそ毎日のように起きとったわ。その頃と比べると今はどんなに楽になったかっちゅー話しやけど、なんにでもアレルギーがある人がいるように、これをゼロにする事は難しいんやろな。

急性肝炎(acute hepatitis)とは

急性肝炎の概要

さて、気を取り直して今日は急性肝炎の話をしていこか。

急性肝炎やけど、これは色んな原因で肝臓が炎症を起こして肝機能が低下している状態の事や。肝臓は代謝、解毒、胆汁生成なんかの機能があって、どれも重要な機能や。これらの機能が低下すると色々と体調に不都合が出てくんねん。せやから急性肝炎は放っておくとええ事あらへんねや。これは急性肝炎だけの話やないけどな。

他の急性腹症

ちなみに他の急性腹症についてはこちから見てみてーや。

急性肝炎の原因

原因はウィルスやアルコール、薬剤性なんかがあるで。その中でもウィルス性が最も多くてA型、B型、C型、D型、E型の5種類があんねん。

A型とE型は急性肝炎、B型とC型は急性、慢性両方の原因ウィルスになるで。D型はB型に罹患している時のみ重複するウィルスや。

ちなみに感染経路はA/E型は経口感染、B/C/Dは体液、血液感染やで。

基本的には経過は良好で半年以内に治癒するんやけど、数%の割合で重症化するケースもあるで。重症化する事を劇症肝炎と呼んでるわ。この劇症肝炎は急性肝不全と合わせて予後がメッチャ悪いで。

また肝炎ウィルスの罹患割合はA型>B型>C型の順や。A型が50%程度、B型が30%程度、C型は10%くらいや。

肝炎ウィルスマーカーが陰性で原因が特定出来ひん場合は肝生検が行われる事もあるで。

肝臓解剖

臨床症状と治療法

臨床情報

主な臨床症状は、黄疸や食欲不振、嘔吐、発熱や全身倦怠感やな。初期は症状があらへん事も多いで。黄疸が出る頃には進行している事が多いな。だいたい1~2ヶ月の潜伏期を経て発症する事が知られてんねん。

治療法

治療法は基本的に安静待機や。安静にしてればC型肝炎以外は基本的に良くなる事が多いねん。C型肝炎の場合は慢性型に移行する事もあるからインターフェロン治療を行う事もあるで。激症肝炎になると入院治療になって最悪の場合は肝移植が必要になる事もあるで。ちなみに今はA型、B型については予防ワクチンもあるらしいな。

画像所見

急性肝炎の画像所見

次に画像所見についてや。他の急性腹症と比較して、急性肝炎は特異的な画像所見は無いねん。これから述べるのは傾向の話や。これらの組み合わせと臨床症状で急性肝炎を診断すんねんで。

まず肝腫大やCTでの低吸収値化、後はperiportal collerと呼ばれる門脈周囲の低吸収域を認める事があるで。これは細胞浸潤や浮腫を反映しとると言われとるな。他には腹水や胆嚢壁肥厚(漿膜下浮腫)、動脈相でのびまん性の不均一濃染などがあるわ。

ちなみにPeriportal collerには急性肝炎の他に、急性胆嚢炎や胆管炎、右心不全なんかがで認める事があるで。MRIを撮影するとT2強調像でより分かりやすく見えるで。特徴的な所見やな。

劇症肝炎は肝萎縮と肝中心部に細胞壊死を反映してか単純CTで地図状の低吸収域を認めるで。最終的には馬鈴薯肝と呼ばれる肝表面が凸凹した形になるわ。

画像所見のまとめや。

  • 特異的な所見はない
  • 肝腫大、低吸収値、periportal coller、動脈相での不均一濃染
  • 激症肝炎は単純CTで地図状の低吸収域を認める

実際の症例

さて、実際の画像を見ていこか。

80代女性でGOT218、GPT524、γ-GTP524と肝機能障害の精査や。若干の肝腫大とperiportal collerを認めるで。

腹部MRI periportal coller

50代男性で肝機能障害精査や。肝腫大とperiportal collerを認めるで。肝内胆管拡張との違いは全周性かどうかや。全周性ならperiportal collerやで。

腹部CT periportal coller

鑑別診断のポイント

胆管拡張とperiportal coller

鑑別診断やけど、胆管炎や胆嚢炎との鑑別を要する事が多いな。胆管拡張とperiportal collerを間違えへんようにな。繰り返すけど、全周性かどうかが鑑別ポイントやで。

あとは胆嚢壁の浮腫性肥厚は胆嚢壁の漿膜下が均一な低吸収を呈し、胆嚢腫大や周囲の炎症を伴わない点が急性胆嚢炎との鑑別ポイントや。

まとめ

今日は急性肝炎についてレクチャーしたで。ポイントは2つや。

急性肝炎には特異的な画像所見は無く、複数の所見を組み合わせて診断する

その中でもperiportal collerは比較的特異的な所見。だが急性肝炎だけじゃなく、他の疾患でも認める事も多々ある

こんな感じやな。1つ1つ自分の知識を増やしていくんやで。ほんで、増やした知識を日頃の検査で活かして知恵にするんや。そこまでなって始めて自分のものとなったと言う事が出来るで。

あれっ、また呼び出しや。造影剤の急変かな。ってな訳で今日はここまでや。

ほな、精進しいやー!