急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)

せーかいーにひーとーつだーけーのはーなー♪

不協和音という言葉がぴったりですね。

おお、若造か! そんなに褒めんなや。照れるやん、べた褒めしても何にも出てけーへんで。
ってか、不協和音ってなに?

急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)とは

急性呼吸窮迫症候群の概要

誉め言葉ちゃうんかい!
日本語って難しいわー。

さて、気を取り直して、今日は急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)について話していくで。

ARDSは、肺胞領域の非特異的炎症に伴う透過性更新型肺水腫となっとる。

要は、先行する基礎疾患や外傷がきっかけで急性発症した呼吸器不全、低酸素血症の事や。

基礎疾患や外傷が炎症性細胞を活性化して、肺胞にダメージを与えんねん。サイトカインストームとも呼ばれてるヤツや。

その結果、血液中の成分が肺胞内に移動する事で肺水腫になって低酸素血症になんねん。

肺水腫原因

ARDSの原因疾患の分類

原因疾患分類としては肺自体を障害させる直接肺損傷とそれ以外の間接肺損傷があるで。

直接肺損傷は肺炎と誤嚥、間接肺損傷は敗血症、これら3つが3大基礎病態や。

他には感染症や吸引傷害、胸部外傷などがあるな。

ARDSのエグイところは急性期、亜急性期、慢性期と経過を辿んねんけど、この亜急性期から慢性期にかけて肺の線維化がメチャ進むねん。

一度ネットで検索して、その経過を見ておいた方がええで。とても同一人物とは思えへんケースもあるで。

記憶に新しいところやと、初期のCovid-19肺炎もこの経過を辿る事が多かったな。

敗血症とは

参考までに敗血症の定義や。

敗血症は、

「感染症や感染症を疑う状態において臓器不全が進行する病態であり、感染に対する調節不全の宿主応答によって引き起こされる生命を脅かす臓器不全」

となってるで。

簡単に言うと、感染症が原因での多臓器不全の状態って事やな。

ARDSの定義

ARDSの定義は以下の通りや。これはベルリン定義として知られてるで。

  • 明らかな誘因や呼吸器症状の出現から、1週間以内に発症している
  • 低酸血症が認められる
  • 画像診断で両肺に異常陰影を認める
  • 心不全や輸液負荷が原因とは考えられない呼吸器不全を呈する

また重症度分類やと、Mild(軽症)、Moderate(中等度)、Severe(重度)の3つに分類されてるで。

これは血中酸素化障害によって分類されてんねん。

・軽 症  200mmHg<PaO₂/FIO₂≦300mmHg(PEEP/CPAP≧₅ cmH₂O)
・中等症  100 mmHg<PaO₂/FIO₂≦200 mmHg(PEEP≧₅ cmH₂O)
・重 度  PaO₂/FIO₂≦100 mmHg(PEEP≧₅ cmH₂O)

臨床症状

臨床症状は初期は息切れから始まって、進行するに従ってチアノーゼ、多臓器不全になるで。

通常は原因となる病気や怪我から2日以内に発症すんねんけど、中には数日後に出てくる事もあるとの事や。

治療法

現時点で確立された治療法は無くて予後は悪いで。

ただ迅速に適切に治療をすれば治る確率も上がるという話もある。

そのためには、まず呼吸管理をして原因(基礎)疾患の治療を行う事が先決や。

画像所見

急性呼吸窮迫症候群の画像所見

続いて画像所見についてや。所見は急性期~慢性期で違ってくるで。以下に纏めたから確認しておいてや。

急性期(滲出期):~7日両肺のびまん性のすりガラス陰影
亜急性期(増殖期):8~21日すりガラス陰影内部に網状影、肺の器質化や線維化によって細気管支拡張
慢性期(線維化期):22日~気管支拡張、粗大な網状影と嚢胞状変化
※なお肺領域ごとに病期が混在している事が多い

急性期はすりガラス陰影やから他の疾患と鑑別が難しい事も多いで。両側びまん性のすりガラス陰影を見たら、ARDSの可能性は頭の片隅に入れておく事が必要やな。

他には、急速に進行する呼吸器症状や胸水、両肺浸潤影、心不全や過剰輸液では説明出来ない呼吸不全、この辺りがあったらARDSの可能性ありやで。

実際の症例

実際の画像を見ていこか。亜急性期の症例や。左肺優位ですりガラス陰影内部に網状影、気管支拡張を認めると思うで。

胸部CT-ARDS
Case courtesy of Sajoscha A. Sorrentino, Radiopaedia.org

鑑別診断のポイント

鑑別診断の種類

鑑別診断やけど、急性発症のびまん性浸潤影を呈する疾患との鑑別が重要や。

具体的には心原性肺水腫、慢性関節性肺炎、急性間質性肺炎、びまん性肺胞出血、感染性肺炎、薬剤性肺障害、急性好酸球性肺炎などや。

その中で一番重要なのが、心原性肺水腫の除外や。

根本的に治療法が違うからな。心拡大や右優位の胸水、Kerley line、Cuffing sign、小葉間隔壁肥厚や気管支血管周囲側の腫大が間質性肺水腫(心原性肺水腫)の所見なんやけど、あまり伴わへん事もあるから注意やで。

またARDSは心不全も合併する事があるから、これも知っておくとええで。

ちなみに、Kerley lineは小葉間隔壁の浮腫性肥厚で、肺門から上外側に延びる比較的長い線状影をA line、下肺野外側で水平に走る短い線をB lineと言うねん。

X-p上で見られるで。Cuffing signは気管支周囲間質の浮腫性肥厚で、これもX-pやCTで見られる所見やで。

こっちで解説してるから覗いてみてや。

まとめ

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のポイントや。ポイントは2つ。

ARDSは3大基礎病態(肺炎、誤嚥、敗血症)があり、急性発症した呼吸器不全

急速に進行する呼吸器症状や胸水、両肺浸潤影、心不全や過剰輸液では説明出来ない呼吸不全があるとARDSの可能性を疑う

こんな感じや。心原性肺水腫との鑑別は臨床経過も参考にするんや。

ARDSと心不全は合併する事があるから鑑別が難しい事があるんやけど、牽引性気管支拡張の有無なんかは鑑別材料の1つやな。

ここ数年はCovid-19の件もあって、急性期の施設やなくてもARDSの画像を見る事が増えたかもしれん。何かの参考になればええな。

今日はこのへんで終わりにするで。

もーともと とーくべつなー なんばーわーん!♪

ほな、精進しいやー!

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