【臨床症状】70代 男性 アルコール依存症 数日前から呂律が回らない BP 166/74
【問題】画像所見と診断名は?
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- 左内包後脚から視床付近に出血を認める
- 脳実質の圧排や脳室穿破、水頭症の所見は認めない
- 血圧が高く、高血圧性脳出血の好発部位と一致する事から、高血圧性脳出血と診断
- その他、大脳白質に広範な慢性虚血性変化、右外包に陳旧性の脳出血
- 出血が少ない事と、基本的に視床出血は水頭症のドレナージ以外はオペ対象外のために保存的に加療された
- 参考までに経時的な変化を掲載する
【脳出血】
・脳実質内の出血の原因には非高血圧性と高血圧性がある
・非高血圧性脳出血の原因には、血管奇形(もやもや病、AVM)、腫瘍、静脈洞血栓症などがある
・高血圧性の原因は、高血圧や加齢によって動脈硬化を起こし、動脈瘤を形成/破裂する事
・動脈瘤が基幹動脈にでき破裂した場合はくも膜下出血に、穿通枝にでき破裂した場合は実質内出血となる事が多い
・高血圧性脳出血の方が頻度が高く、40代以降に徐々に増加する
・高血圧性脳出血の好発部位は次の通り
- 被殻(40%)
- 視床(35%)
- 脳幹(特に橋で5~10%)
- 小脳(特に歯状核周囲で5~10%)
- 皮質下出血(5~10%)
・若年者や高血圧性脳出血の好発部位以外に出血を認めた場合は、非高血圧性脳出血を疑う
・治療法は以下のようになっている
参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版
- 被殻出血:出血量が31ml以上、高度圧迫所見がある場合に手術が考慮される
- 皮質下出血:脳j表から1cm以下の場合に手術が考慮される
- 小脳出血:最大径が3cm以上、神経学的所見が憎悪している場合に手術が考慮される
- 視床出血:基本的に手術適応なしだが、脳室穿破による水頭症があればドレナージを行う
- 脳幹部出血:基本的に手術適応外で、血種が脳室穿破していればドレナージを行うこともある
- 部位に関係なく出血量が10ml以下や、神経学的所見が軽微な場合は保存的加療