ボンジュール!ハボン!
ってか、フランスの医療制度って知ってる?
J’en sais rien(いえ、全く。)
実は日本と近いらしいねんで。
日本でいう国民皆保険的なものもフランスにあんねんて。ワシもちょっと意外やったわ。
てか、フランス語、喋れんのかい!
メルシーボク!
もくじ
Baker嚢胞(Baker cyst)とは
Baker嚢胞の概要
おっと、時間が無くなるな。そろそろ本題のレクチャーにうつるで。
今日はBaker嚢胞(Baker嚢腫、ベーカー嚢胞)や。このBaker嚢胞は膝の検査をしていると結構な頻度で見つかるで。
Baker嚢胞の正体は腓腹筋内側頭と半膜様筋腱の間の滑液包に液体貯留したものと言われとる。変形性膝関節症や半月板断裂、リウマチなどが原因で関節内圧が上昇して、関節液がこの部位に押し出される事で発生するで。
中年に多く発生するんやけど、小児にも見つかる事があるで。時に破裂したりすると、疼痛の原因にもなんねん。
症状によっては、外科的手術で切除する事もあるわ。
概要についてまとめておくからチェックしておいてな。
- 腓腹筋内側頭と半膜様筋腱の間の滑液包に液体貯留したもの
- 膝窩嚢胞(popliteal cyst)と呼ぶ事もある
- 変性性膝関節症や半月板断裂、リウマチなどが原因になる
- 多くは中年以降だが若年者にも発生することもある
- 基本的に無症状だが、時に痛みを伴う
- 増大すると血管を圧迫し血栓性膝窩静脈炎を引き起こす事がある
- 時に破裂しDVT(深部静脈血栓症)と鑑別が必要になる事がある
膝の解剖
膝の解剖や。膝の周囲にはいくつかの滑液包があって、関節包、滑膜、その中に関節液が満たされてんねんで。
おおまかな解剖については以下のイメージの通りや。

半膜様筋と腓腹筋内側頭の位置関係は下記の通りやで。

Baker嚢胞の原因と臨床症状
原因
Baker嚢胞は滑液包に何らかの要因で炎症が生じて、そこに関節液が多量に貯留し、それが膨らむ事で嚢胞になるんや。
炎症の原因やけど、関節リウマチや痛風なんかやで。他には、加齢や酷使によっても発生する可能性があるとの事や。
症状
臨床症状は腫脹や違和感なんかやと言われてる。嚢胞が大きくなると痛みを伴う事があるらしいな。
ただ小さいうちは基本的に無症状やから、別目的で検査して偶然発見される事も少なくないで。
治療法
治療法は穿刺して吸引する事が多いな。小さければ経過観察になる事もあるらしいで。
画像所見
Baker嚢胞の画像所見
次に画像所見についてや。
単純写真やと分からへんからCTやMRI、USなんかで診断すんねん。CTやとLDA(low density area)として指摘出来る事があるけど、MRIが1番や。
嚢胞やから基本的にT2系では高信号なんやけど、内部に出血してるパターンもあってその時はT1系で多少高信号になるで。
もう一つ特徴的なのが、腓腹筋内側頭と半膜様筋腱の間に横断像で嚢胞の先がコンマ状になる所見があんねん。これは特異的な所見やから覚えておいた方がええヤツやで。
- 基本的に嚢胞成分なのでT2強調で高信号を示す
- 出血、隔壁を伴う場合は不均一になる場合もあり、出血の場合はT1強調で高信号になる
- 横断像で嚢胞がコンマ状に腓腹筋内側頭と半膜様筋腱に入り込む所見が特徴的
実際の症例
60代女性で膝の疼痛精査の画像や。この症例でコンマ状の先端を覚えるんやで。


こっちは別症例や。同様にコンマ状の所見を認める事が出来ると思うで。ちょっと分かりづらいけどな。

鑑別診断のポイント
DVT(深部静脈血栓症)
次に鑑別診断のポイントやで。概要のところと記載したけど、Baker嚢胞が破裂すると腫脹と痛みを伴い、臨床的にDVT(深部静脈血栓症)と鑑別が必要な事があんねん。
まぁその時でもMRIを撮影すればほぼ鑑別は出来んねんけどな。一応鑑別疾患としてあげとくわ。これも覚えておくんやで。
ちなみに深部静脈血栓(DVT)は肺塞栓症(PE)とも関連が深いで。DVTの血栓が肺動脈に飛ぶ事で発症すんねん。
まとめ
今日はBaker嚢胞についてレクチャーしたで。ポイントは2つや。
腓腹筋内側頭と半膜様筋腱の間の滑液包に液体貯留した状態
嚢胞状の信号強度と、横断像で特徴的なコンマ状の画像所見
膝の後ろに嚢胞成分を認めた時にこれらが該当すれば診断は容易やと思うで。Baker嚢胞は比較的よく目にする所見やからな。もし知らんかったら、これを機に覚えとき。
ちなみにフランスの医療制度やけど・・・
基本的に自己負担は3割程度で、重症な疾患やと自己負担は無いらしいねん。でも日本との違いは、かかりつけ医制度があって、そこを経由せんと自己負担が7割になるらしいんや。そこで症状のトリアージが行われてるって事やな。うまく出来てるで。
ちなみに平均寿命は82歳らしいで。
ほな、精進しいやー!