【臨床症状】60代 転倒受傷
【問題】画像所見と診断名は?
※T2WI、T1WIの順に表示されます
➡ 横断像
※脂肪抑制、T2*の順に表示されます
▶答えはこちら
- 以下の所見を認める
- T2WIにて棘上筋腱付着部に高信号を認め、棘上筋腱の完全断裂が疑われる
- 棘下筋に脂肪抑制画像で高信号を認め筋挫傷疑い
- 前方~前方下部の関節唇の断裂を認め、GLAD疑い
- 上腕骨大結節の背側に脂肪抑制画像で陥凹と高信号を認め、前方脱臼によるHill saches lesion疑い
- 他、烏口突起下部に液体貯留あり、腋窩嚢の背側に脂肪抑制画像で高信号あり腋窩嚢拘縮疑い
【肩関節脱臼】
・肩関節は大きな可動性を有する一方で、脱臼を来しやすい関節の一つ
・前方脱臼、後方脱臼、垂直脱臼に大別され、前方脱臼が9割以上を占める
・原因は交通外傷やスポーツ外傷など
・手を外転や外旋した状態で後方へ引っ張られる事で脱臼する
・脱臼を繰り返す反復性肩関節脱臼に移行する場合もあり、この移行頻度は若年者ほど高く、20歳以下では再脱臼率が半数近くにもなる
・一方で30代以降は10%程度とも言われている
・初回脱臼時の肩関節前方の支持組織の破綻(前方不安定症)が反復性に移行する原因の一つと考えられている
骨軟部疾患の画像診断 第2版 より引用改変
【Hill Saches lesion】
・上腕骨頭の後外側面の陥没骨折
・脱臼の際に、関節窩の前縁と衝突するために起きる
・画像では骨頭後面の陥凹を認めるのと、MRIでは浮腫性変化も認める事がある
・Bankart lesionと共に、前方脱臼における重要な所見の一つ
骨軟部疾患の画像診断 第2版 より引用改変
・GLAD(glenoid labral articular disruption):肩甲骨関節窩の前下関節唇と関節軟骨との剥離損傷した状態