先生、質問いいですか?
ええで。でも、なんで先生はモテるのかってのだけは無しやで。ワシでも分からんねん。意味不明でモテてまうねん。
骨挫傷って骨折に分類されるんですか?
ええ質問や。Good Questionすぎるから、今のスルーは無かった事にしたる。
これは一般の患者さんに説明する時に苦労するヤツや。完全骨折、不完全骨折までになってれば画像上も分かりやすいんやけど、その手前の状態って言っても中々イメージが涌かんねんな。海綿骨梁の微細骨折ですよって言っても分からんから、骨の打撲ですよって言う事があるんやけど、それやと1週間くらいで治るって思う人も結構おって、難しいねん。
ちなみにちょうど今日のレクチャーは骨挫傷にしようと思うてたところや。
もくじ
骨挫傷(bone bruise)とは
骨挫傷の概要
てな訳で今日は骨挫傷や。
これは日頃のMRI検査でもよく目にするヤツやな。ちなみに骨挫傷っていうのはMRI検査が登場してから知られるようになってんで。
というのも単純写真やCT検査やと分からへんねん。でも今の骨挫傷という症状は昔からあったはずやから、MRI登場以前は検査しても「骨折はありませんね。痛みの原因となるものは特に見当たらないので湿布で様子見ましょう。」的な事が多かったのかもしれんな。
骨挫傷の病態は何らかの外力、スポーツ外傷や交通外傷なんかやけど、これらが骨に加わる事で微細骨折をした状態やと言われてんねん。微細骨折やから、単純写真やCTではまず分からんくて、MRIを撮影して初めて判明するんや。MRIで見ているのは、骨髄浮腫や出血を伴う骨梁の微細骨折やで。
骨挫傷は海綿骨梁の微細骨折なんやけど、完全骨折、不全骨折までやあらへんから骨折というかは人によって意見が分かれる所やな。以下が骨挫傷の簡単なまとめや。
原因 | 内容 | |
---|---|---|
骨挫傷 | スポーツや交通事故などの外傷 直接打撲と骨同士の衝突によるものがある | 不全骨折までは至っていない骨梁の微細骨折 疼痛、腫脹がある 単純写真やCTでは確認出来ない MRI検査が普及してから出てきた概念 安静待機により1~3ヶ月で回復する |
骨の解剖
ここで簡単に骨についての解剖を話しておくで。下の図を見てもらえればおおよそのイメージは掴めると思う。骨挫傷は海綿骨にダメージを受けた状態の事を指すねん。皮質骨や骨膜までダメージが及ぶと不全骨折や完全骨折になるで。
骨挫傷の原因と臨床症状
原因はスポーツや交通事故なんかで関節同士や骨同士がぶつかる事で発生すんねん。つまり何か大きな外力によるって事やな。
臨床症状は疼痛がメインや。圧痛なんかを認めるで。
治療法は基本的に保存療法や。つまり安静待機って事やな。ここで無理してスポーツしてまうと悪化して治療期間が延長してまう事が多いで。
実際、部活動をやってる子で試合が近いっていう理由で医者の指示を無視して練習してしまった子がおんねん。本人的には痛みはそれほどでもなかったんやろな。案の定、痛みが強なってきて再度MRIを撮影したら見事に悪化しててん。結果的に試合も出れなかったな。
治療期間は症状や程度にもよるんやけど、1ヶ月から3ヶ月くらいの事が多いな。数ヶ月でも部活動やってる子にはキツイ期間やけどな。
画像所見
骨挫傷の画像所見
骨挫傷は単純写真やCTやと分からへんで。MRIを撮影して初めて分かんねん。MRIのシーケンス別の所見は以下の通りや。骨折と同じような所見やな。当たり前言っちゃ当たり前なんやけど。
画像所見 | |
---|---|
骨挫傷 | T1強調で低信号 T2強調で等~低信号 脂肪抑制で高信号 |
あれこれ言うより実際に画像を見てもらった方が早いかもしれんな。
実際の症例
これは10代の学生さんでスポーツをやっててん。ほんで膝痛がどうにも取れんって事で受診して検査した症例や。
MRI画像やと大腿骨遠位部に高信号を認めるやろ。他のシーケンスでも所見があるからこの部分に骨挫傷があると考えられるんやけど、単純写真やと指摘が難しいのが分かると思うで。
この症例は10代の女性や。交通事故で左足関節の疼痛が著明で検査となった例や。距骨を中心に挫傷を認める事が出来ると思うで。
この症例は20代男性でスポーツ時に相手とぶつかってからの疼痛が持続してて、MRIで検査となった例や。
膝蓋骨に挫傷を認める事が出来ると思うで。
ちなみに骨挫傷は他の症状の合併症状の時もあんねん。ACL断裂時のkissing contusionやPCL脛骨付着部の剥離骨折時のdashboad injuryなんかがあって、このへんは有名やから覚えておくんやで。
鑑別診断のポイント
炎症など
次に鑑別診断についてやな。これについてはT2脂肪抑制で骨に高信号を呈するものが鑑別にあがってくるで。
具体的には炎症なんかやねんけど、画像上だけやと難しい場合もあるから患者エピソードや臨床情報も確認する事が必要やで。
若い人、スポーツ外傷、または交通事故などのエネルギー外傷、このあたりのエピソードがあると診断の参考になるな。もちろんエピソード確認は別に骨挫傷だけやなくて他の疾患や病変でも基本なんやけどな。
他には骨折に伴う挫傷も認める事があるで。
まとめ
今回は骨挫傷についてレクチャーしたで。ポイントは3つ。
骨梁の微細骨折で単純写真やCTでは分からない
脂肪抑制画像で著明な高信号
ACL断裂など他の症状の診断の副次的所見となる事もある
こんな感じや。骨挫傷は日頃検査してるとよく見かける所見やからこそkissing contusionやdashboard injuryなど他の怪我の参考になる場合も多くあるで。
後は小さい挫傷の時は、周囲の靱帯損傷や液体貯留に紛れて難しい事があるから、良く見るんやで。
ほな、精進しいやー!