脳膿瘍(brain abscess)

なぁ、イジリとイジメの違いって分かるか?

うーん、難しい質問ですね・・・本人が嫌がっているかどうかとか?

なんかな、内容よりは誰に言われるかの方が重要かなとも思うんよ。相手への信頼関係的があるかどうか的な?

おっと、こんなん見つけたで。文科省のいじめの定義。

いじめに関する施策 文部科学省

簡単にいうと、ある行為によって心身の苦痛を感じる状態って事やな。つまりは、イジリかイジメかはやった方が決めるんじゃなくて、受けた方が決めるって事か。

基本的にイジリが上手い人は、基本的に誰も不快にさせずに笑いを取るからな。人によっては踏み込んでいい領域が違ってて、そこの見極が出来て始めて上手くいくねん。

こんなん普通の人が簡単に使えるヤツとちゃうからな。あれは話しのプロの人が使ってるから面白く感じるだけなんやで。

脳膿瘍(brain abscess)とは

脳膿瘍の概要

今日は脳膿瘍についてレクチャーしていくで。

脳膿瘍は、細菌などの感染が原因で起きる病気や。本来、脳内には細菌はおらへんのが普通やねんけど、何らかの理由で脳内に細菌感染が起きてもうた状態やねん。脳炎などから進行して壊死を起こして内部に膿が溜まった状態の事を言うで。

病理経時的に、早期脳炎期(~5日)、後期脳炎期(~14日)、早期被膜形成期(14日以降)、後期被膜形成期(~数ヶ月)という経過を辿るねん。通常、早期被膜形成期以降の事を脳膿瘍と呼ぶで。

被膜が出来てからの状態を呼ぶんですね。それ以前は脳炎とか髄膜炎とかの病名になるのでしょうか?

その通りや。脳膿瘍の原因としては副鼻腔炎や髄膜炎からの直接浸潤、シャントなどからの血行性感染などや。原因菌は連鎖球菌や黄色ブドウ球菌など多くあるんやけど、特定が困難な場合も多いんや。

臨床症状は頭痛や発熱、悪心、痙攣、意識障害なんかがあるけど、特異的な症状ってのはあらへん。一応、発熱、頭痛、巣症状が古典的3徴と言われてるけど、全て該当するのは全体の20%程度らしいで。後は脳室に穿破すると予後が悪いと言われてるな。

巣症状とは、大脳半球の一部が障害される事で生じる症状の事や。

以下が脳膿瘍についての概要や。

特徴
脳膿瘍細菌感染が原因で感染経路は直接浸潤や血行浸潤などがある
原因菌の特定は難しい場合が多い
感染から14日以降の早期被膜形成期以降を膿瘍脳と呼ぶ
発熱、頭痛、巣症状が古典的3徴だが全て該当するのは全体の20%程度
脳室穿破すると予後不良

こう見ると、細菌感染後の死骸などが膿として溜まっていくって事は、どこの誰とも分からんヤツが勝手に入ってきて死骸を巻き散らかしてrのと一緒やん。純真無垢な脳みそに何してんねん!って話やな。

画像所見

脳膿瘍の画像所見

脳膿瘍の画像所見や。

これは特徴的やから3つの点だけ押さえておけばええで。まず、DWIで著明な高信号な事(ADCは低下)、そして皮膜がT2で低信号な事、3つめが造影でリング状の濃染(リングエンハンスメント:ring enhancement)を示す事の3点や。

他にはSWIで同心円状の辺縁の低信号と高信号があるで。SWIの所見はdual rim signとも呼ばれてるわ。

各シーケンスの所見も纏めておいたで。

T2WIT1WIDWISWICE
脳膿瘍被膜が軽度低信号被膜が軽度高信号高信号dual rim sign被膜が造影される事でリング状の造影効果

被膜の所見がポイントやで。Dual rim signなんかはかなり特徴的やから1度確認しておくとええで。こういう事を知っておくと、追加撮影をしたり出来るしな。

参考までに各フェーズでのおおよその所見も纏めといたわ。

CTT2WIT1WIDWICE
脳炎早期等~軽度低吸収軽度高信号軽度低信号異常なし 
脳炎後期軽度低吸収高信号低信号  
被膜形成器 皮膜:低信号皮膜:軽度高信号高信号ring enhancement

実際の症例

さて、実際の画像や。

膿瘍の部分が拡散強調画像で高信号になってるのが分かると思うで。T2系で周囲に浮腫を反映して高信号、リング状の造影効果も認めるな。

頭部MRI-脳膿瘍
上段左からDWI、ADC、T2WI、下段左からT1WI、FLAIR、CE

別の症例や。右頭頂葉に膿瘍を認めるで。

頭部MRI-脳膿瘍2
上段左からDWI、T2WI、下段左からT1WI、FLAIR

鑑別診断のポイント

リング状の造影を示す疾患との鑑別

鑑別診断としては、リング状の造影効果をする疾患が対象や。一覧があって、これらの頭文字を取って、「MAGIC DR」って呼ばれたりすんで。桑さんDR-MAGICや!

  • M:Metastasis(転移性脳腫瘍)
  • A:Abscess(脳膿瘍)
  • G:Glioblastoma(膠芽腫)
  • I:Infarct(亜急性期脳梗塞)
  • C:Contusion(脳挫傷)
  • D:Demyelination(脱髄)
  • R:Radiation necrosis(放射線壊死)

これらとの鑑別はDWIの高信号の有無や臨床経過が助けになる事もあるで。一般的に脳膿瘍は均一で薄い皮膜を形成する事が多くて、鑑別これもポイントになるな。被膜が形成される前は不規則に造影されるパターンもあってグリオーマと鑑別が難しい事があんねん。内部に充実部があれば腫瘍疑いやな。

後は膿瘍が小さい場合やと急性期の脳梗塞と鑑別が難しい事があるで。この場合は臨床経過を参考にすると診断の助けになることがあるからな。

鑑別一覧は下記の記事でも話してるから確認してみてーや。

まとめ

今日は脳膿瘍についてレクチャーしたで。ポイントは2つ。

脳膿瘍とは脳が局所的に細菌感染し、壊死を伴い被膜形成と内部に膿が溜まった状態

拡散強調画像での著明な高信号とT2WIで被膜の低信号、リングエンハンスメント

こんな感じや。膿瘍は拡散強調画像で高信号になる事が多いからな。これは膿瘍の粘稠度の高さを反映した結果やねんで。

最初の内は脳腫瘍なんかとの鑑別が難しいかもしれんけど、患者エピソードを確認してみてると、だんだんと見慣れてくるで。

ほな、レクチャーは締めるで。精進しいやー!