脳って、よく豆腐に例えられるやん?
あれって、言い出しっぺってワシやねん。
そんな事、聞いた事ありませんが・・・
マジか。話、終わってもうたやん。
実はウソでしたーの流れができんくなったやん。
もうええわ。今日は脳ヘルニアについてや。
もくじ
脳ヘルニア(brain hernia)とは
脳ヘルニアの概要
脳ヘルニアとは、何らかの原因で頭蓋内の圧力が上昇によって脳実質が圧迫されて、脳が嵌頓を起こした状態の事や。
この時の原因は脳出血がほとんどやで。脳出血は外傷性のものやったり、動脈瘤の破裂やったりするで。
脳ヘルニアを起こす部位によっていくつか呼び名がついてるのがあんねんけど、この中でも脳幹を圧迫するヤツは特に危険や。
脳幹は生命を維持する機能が多く集まってんねん。ざっとあげただけでも次のような役割を担ってんねん。
- 呼吸のコントロール
- 心臓の拍動
- 消化のコントロール
- 体温調節
- 血圧調節
- 嚥下のコントロール
- 眼、顔面、顎、舌の運動をコントロールする
ヘルニアで脳幹が圧迫されてる場合、最悪呼吸が止まったりするから、撮影した技師はんがダッシュで教えてくれるとメチャ助かるヤツや。
脳ヘルニアには、主に次のようなものがあるな。これは場所によって呼び方が別れとる。
- テント切痕ヘルニア(上行性ヘルニア、中心性テント切痕ヘルニア)
- 鉤ヘルニア
- 大脳鎌下(帯状回)ヘルニア
- 小脳扁桃ヘルニア

どれも重要やけど、最も要注意なのが鉤ヘルニアと小脳扁桃ヘルニアや。
何故か?
それは脳幹を圧迫する可能性があるからやで。
絶対にスルーしたらアカンやつですやんね。
自分、関西弁になっとるで。しかも、ちょっと間違ごうとるし。
各々の脳ヘルニアについて
テント切痕ヘルニア
テント切痕ヘルニアについては、大きく分けて上行性(テント切痕)ヘルニア、中心性テント切痕ヘルニアに分けられるで。
テント切痕ヘルニアの画像上の所見については、鞍上槽が消失→下部脳底槽の開大→脳底槽全体の消失という流れや。
中脳水道閉塞による水頭症を認める事もあるで。
鉤ヘルニア
鉤ヘルニアは。脳出血などでテント上腔の圧が亢進して、側頭葉内部側がテント切痕を越えて下方に嵌入した状態の事や。
最終的に上部脳幹が圧迫される可能性があんねん。上部脳幹は生命維持に重要な個所なのは言うまでもあらへん。脳ヘルニアの中でも危険な部類のヘルニアやで。
臨床症状は意識障害や呼吸障害、片麻痺や瞳孔散大なんかや。
カノーハン切痕とDuret出血
また関連する所見として、カノーハン切痕(kernohan notch)とDuret出血ってのがあるんや。
カノーハン切痕は、鉤ヘルニアと反対側の小脳テント切痕で大脳脚が圧迫されて損傷してしまう事や。血種によってグイっと押されてるようなイメージやな。鉤ヘルニアの時に見られる事があるで。
ちなみに脳幹やなくて後大脳動脈が挟まれると梗塞を起こす事もあるわ。
脳幹が下方に圧排される事で、脳底動脈からの穿通枝が破綻する出血をDuret出血と呼ぶで。予後は良くないねん。
大脳鎌下ヘルニア
大脳鎌下ヘルニアは、帯状回ヘルニアと呼んだりもするで。Midline shift(正中偏位)もあることが多いヤツや。
これも大きくなると前大脳動脈を圧迫や閉塞させて脳梗塞を起こす事もあるで。
片側の血種で脳が圧迫される事で起きるのが多いな。
臨床症状は運動障害や感覚異常や。ある程度偏位せんと症状が出てこない事も多いで。
小脳扁桃ヘルニア
最後に小脳扁桃ヘルニアや。小脳扁桃が大後頭孔から下へ偏位した状態の事や。これも脳幹を圧迫する可能性があるヘルニアや。
延髄を圧迫すると、いきなり呼吸停止する可能性があるヘルニアやで。
これは横断像でも分かるけど、コロナル(冠状断像)の方が分かりやすいと言われとる。
一応、大後頭孔下5mmよりも下方に認められた場合が異常となってるけど、実際の画像所見、例えば下位脳幹部の前方偏位の有無で判断する事も多いで。
臨床症状は延髄関係の症状や。具体的には意識障害、呼吸停止、項部硬直なんかが急激に起きる事があるで。
脳幹周囲の脳槽
あとは解剖が重要やな。脳ヘルニアで必要な脳幹周囲の脳槽が何かを確認しておくとええで。
下のイメージ図はさらっとしか記載してへんから、自分でも調べておくんやで。

脳ヘルニアの治療法
原因は脳出血や梗塞によるものがほとんどや。脳出血には硬膜下血腫やくも膜下出血、外傷性出血なんかがあるで。
治療法はまずは脳圧を下げる事やで。開頭手術して血腫を除去したり、出血源を止血した上で投薬したりするらしいな。
画像所見
脳ヘルニアの画像所見
各々の注目ポイントを載せておくで。
基本的に脳出血が先行する事が多いから、出血の所見を認める、もしくは脳ヘルニアが疑われるような臨床症状があったら、下記の点をよくチェックするんや。
- 大脳鎌下ヘルニア 反対側のモンロー孔の圧迫や側脳室の拡大など
- 鉤ヘルニア 患側の迂回槽の拡大と対側の側脳室の拡大、脳幹の偏位など
- テント切痕ヘルニア 中脳周囲の脳槽の消失など
- 小脳扁桃ヘルニア 大孔周囲の脳槽の消失など
ケースによっては冠状断や矢状断が有効な事もあるから、適時追加作成しておいてもらえると読影する側からすると助かるで。
実際の症例
実際の画像や。
大脳鎌下ヘルニアの例や。左側に慢性硬膜下血腫があって、正中変偏位も認めるで。

次の症例は、80代女性で数日前に転倒受傷してんねん。下肢の不全麻痺精査や。
左側に硬膜下血種を認めて脳室が確認できひんのと、中脳左側に圧迫も疑われる事から鉤ヘルニア疑い(加えて大脳鎌ヘルニア)となって紹介されたで。
この症例は冠状断があらへんかったけど、もし作成してれば鉤ヘルニアは分かりやすかったかもしれんな。

鑑別診断のポイント
鑑別診断
鑑別診断というか、脳ヘルニアは所見が派手やからスルーする事はあらへんと思うけど、どの部位がヘルニアを起こしているのかは上記で説明した注目ポイントをよく見ておくようにな。
関連所見としては、脳出血や硬膜下血種などがあるで。
まとめ
今回は脳ヘルニアについて話したわ。ポイントは2つ。
脳ヘルニアとは脳が嵌頓した状態で、その中でも鉤ヘルニアと小脳扁桃ヘルニアの有無が重要
脳槽の消失の有無や正中線、脳幹の偏位などを確認する
こんな感じやな。鉤ヘルニアや小脳扁桃ヘルニアは橋や延髄に近い場所やから特に注意が必要やで。
今回は対象の症例が少なかったけど、各々のヘルニア名を検索すれば、所見付きの画像がぎょうさんヒットするで。
必要に応じて調べてみてーな。
ちなみに、稀にやけど症状が無くても脳ヘルニアがある人が検査に来たりするで。
こういった時は検査時に技師はんから知らせてもらえると読影医もメッチャ助かるはずや。
がってん承知の介やんけ。
もはや何語かすら分からんで。
ほな、精進しいやー。