脳ヘルニア(brain hernia)

こう見ると仕組み化って重要なんやな。

全くですね。ってなにが?

でたな、得意のノリツッコミ。

いやな、今、放射線科に来たの若手Drを教えてんねんけど、奴ら結構モチベーションに左右されてんねん。

調子ええ時はバリバリ読影してくんねんけど、調子が悪い時は全然なんや。

プロたる以上、常に一定のレベルは保持しとかなアカンねんけど、まだそこのコントロールが難しくてな。

ならばいっそモチベが関係無い仕組みにしたらええんちゃうん?って考えてやってみてんけど、以外とコレが上手くいきそうなんよ。

自分の後輩育成にも使えるかもしれんで。興味があれば教えるから後で聞いてや。

脳ヘルニア(brain hernia)とは

脳ヘルニアの概要

さて、今日は脳ヘルニアについてや。これは脳出血と関係しててメチャ重要やな。

脳ヘルニアの中でも脳幹を圧迫するヤツは特に危険や。あまり無いとは思うけど、気がつかんくて放置してまうと呼吸が止まったりするからな。撮影した技師はんがダッシュで教えてくれるとメチャ助かるヤツや。

ほな、説明を初めていこか。脳ヘルニアには主に次のようなものがあるな。これは場所によって呼び方が別れとる。

  • テント切痕ヘルニア(上行性ヘルニア、下行性(鉤、海馬、正中)ヘルニア)
  • 大脳鎌下(帯状回)ヘルニア
  • 小脳扁桃ヘルニア

どれも重要やけど最も要注意なのが鉤ヘルニアと小脳扁桃ヘルニアや。

何故か?

それは脳幹を圧迫する可能性があるからや。脳幹を圧迫してまうと、呼吸障害にまでなってまう事があるで。

絶対にスルーしたらアカンやつですやんね。

自分、関西弁になっとるで。しかも、ちょっと間違ごーとるし。

テント切痕ヘルニア

テント切痕ヘルニアについては、鞍上槽が消失→下部脳底槽の開大→脳底槽全体の消失という流れをたどるで。この中で鉤ヘルニアの有無が重要なのは話した通りやけど、これは脳出血などが原因でテント上腔の圧が亢進して、側頭葉内部側がテント切痕を越えて下方に嵌入した状態の事や。最終的に上部脳幹が圧迫される可能性があんねん。

その中でもカノーハン切痕(kernohan notch)ってのがあって、これは血腫による圧上昇と反対側の小脳テント切痕で大脳脚が圧迫されて損傷してる事や。これも重要な所見やで。ちなみにこれらで後大脳動脈が挟まれると梗塞を起こす事もあるで。後は、脳幹が下方に圧排される事で脳底動脈からの穿通枝が破綻する出血をDuret出血と呼ぶで。予後は良くないねん。

臨床症状は意識障害や呼吸障害、片麻痺や瞳孔散大なんかやで。

大脳鎌下ヘルニア

次は大脳鎌下ヘルニアやな。帯状回ヘルニアと呼んだりもするで。Midline shift(正中偏位)もあることが多いヤツや。これも大きくなると前大脳動脈を圧迫や閉塞させて脳梗塞を起こす事もあるで。

臨床症状は運動障害や感覚異常や。ある程度偏位せんと症状が出てこない事も多いで。

小脳扁桃ヘルニア

最後に小脳扁桃ヘルニアや。小脳扁桃が大後頭孔から下へ偏位した状態の事や。これも脳幹を圧迫する可能性があるヘルニアや。延髄にかかる為にいきなり呼吸停止する可能性がある部位やで。

これは横断像でも分かるけど、コロナル(冠状断像)の方が分かりやすいで。せやからコロナルを作成する事も必要になる時もあるのに注意や。

一応、大後頭孔下5mmよりも下方に認められた場合を異常とするとあるけど、実際の画像所見、例えば下位脳幹部の前方偏位の有無で判断する事も多いで。

臨床症状は延髄関係の症状や。具体的には意識障害、呼吸停止、項部硬直なんかが急激に起きる事があるで。

脳ヘルニアの原因や治療法

原因は脳出血や梗塞によるものがほとんどや。脳出血は硬膜下血腫やくも膜下出血、外傷性出血なんかがあるで。

治療法はまずは脳圧を下げる事やで。開頭手術して血腫を除去したり、出血源を止血した上で投薬したりするらしいな。

脳幹周囲の脳槽

あとは解剖が重要やな。脳ヘルニアで必要な脳幹周囲の脳槽が何かを確認しておくとええで。

脳解剖

画像所見

脳ヘルニアの画像所見

各々のイメージ図と注目ポイントを載せておくで。

脳ヘルニア分類
  • 大脳鎌下ヘルニア 反対側のモンロー孔の圧迫や側脳室の拡大など
  • 鉤ヘルニア 患側の迂回槽の拡大と対側の側脳室の拡大など
  • テント切痕ヘルニア 中脳周囲の脳槽の消失など
  • 小脳扁桃ヘルニア 大孔周囲の脳槽の消失など

この辺りに注目するんや。ケースによっては冠状断や矢状断が有効な事もあるから追加で作成しておいてもらえると読影する側からすると助かるな。

実際の症例

実際の画像や。

大脳鎌下ヘルニアの例や。慢性硬膜下血腫があって、正中変偏位も認めるで。

頭部CT-脳ヘルニア

鑑別診断のポイント

鑑別診断

鑑別診断やけど、これは特にあらへん。所見が派手やからスルーする事はあらへんと思うけど、どの部位がヘルニアを起こしているのかは上記で説明した各ヘルニアの注目ポイントをよく見る事や。

まとめ

今回は脳ヘルニアについて話したわ。ポイントは2つ。

脳ヘルニアは鉤ヘルニアと小脳扁桃ヘルニアの有無が重要

各ヘルニアにおける画像上のチェックポイント(脳槽の消失の有無)

こんな感じやな。鉤ヘルニアや小脳扁桃ヘルニアは橋や延髄に近い場所やから特に注意が必要やで。脳切迫ヘルニアには脳槽のチェックが重要や。

今回は対象の症例が少なかったから画像は必要最小限しか出しておらんけど、各々のヘルニア名を検索すれば、所見付きの画像がぎょうさんヒットするで。必要に応じて調べてみてーな。

ちなみに、稀にやけど症状が無くても脳ヘルニアがある人が検査に来たりするで。こういった時は検査時に技師はんから知らせてもらえると読影医もメッチャ助かるはずや。

さて、今日も教義をしましたね。もうあなたは十分に使徒として経験を積まれたでしょう。これからは私と共に理想の世界を作るのです!

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冗談に決まってるやん!本気にすなや。

ほな、精進しいやー。