悪性腫瘍38

【臨床症状】70代 検診精査 USで膀胱腫瘤疑い

【問題】画像所見と診断名は?

MR_20240806112034_Image001
MR_20240806112034_Image002
MR_20240806112034_Image003
MR_20240806112034_Image004
MR_20240806112034_Image005
MR_20240806112034_Image006
MR_20240806112034_Image007
MR_20240806112034_Image008
MR_20240806112034_Image009
MR_20240806112034_Image010
MR_20240806112034_Image011
MR_20240806112034_Image012
MR_20240806112034_Image013
MR_20240806112034_Image014
MR_20240806112034_Image015
MR_20240806112034_Image016
MR_20240806112034_Image017
MR_20240806112034_Image018
MR_20240806112034_Image019
MR_20240806112034_Image020
MR_20240806112034_Image021
MR_20240806112034_Image022
MR_20240806112034_Image023
MR_20240806112034_Image024
MR_20240806112034_Image025
MR_20240806112034_Image026
MR_20240806112034_Image027
MR_20240806112034_Image028
MR_20240806112034_Image029
MR_20240806112034_Image030
MR_20240806112034_Image031
MR_20240806112034_Image032
MR_20240806112034_Image033
MR_20240806112034_Image034
MR_20240806112034_Image035
MR_20240806112034_Image036
MR_20240806112034_Image037
MR_20240806112034_Image038
MR_20240806112034_Image039
MR_20240806112034_Image040
MR_20240806112034_Image041
MR_20240806112034_Image042
MR_20240806112034_Image043
MR_20240806112034_Image044
MR_20240806112034_Image045
MR_20240806112034_Image046
MR_20240806112034_Image047
MR_20240806112034_Image048
MR_20240806112034_Image049
MR_20240806112034_Image050
MR_20240806112034_Image051
MR_20240806112034_Image052
MR_20240806112034_Image053
MR_20240806112034_Image054
MR_20240806112034_Image055
MR_20240806112034_Image056
MR_20240806112034_Image057
MR_20240806112034_Image058
MR_20240806112034_Image059
MR_20240806112034_Image060
MR_20240806112034_Image065
MR_20240806112034_Image066
MR_20240806112034_Image067
MR_20240806112034_Image068
MR_20240806112034_Image069
MR_20240806112034_Image070
MR_20240806112034_Image071
MR_20240806112034_Image072
MR_20240806112034_Image073
MR_20240806112034_Image074
MR_20240806112034_Image075
MR_20240806112034_Image076
MR_20240806112034_Image077
MR_20240806112034_Image078
MR_20240806112034_Image079
MR_20240806112034_Image080
MR_20240806112034_Image081
MR_20240806112034_Image082
MR_20240806112034_Image083
MR_20240806112034_Image084
MR_20240806112034_Image093
MR_20240806112034_Image094
MR_20240806112034_Image095
MR_20240806112034_Image096
MR_20240806112034_Image097
MR_20240806112034_Image098
MR_20240806112034_Image099
MR_20240806112034_Image100
MR_20240806112034_Image101
MR_20240806112034_Image102
 
➡ 造影画像
MR_20240806112541_Image001
MR_20240806112541_Image002
MR_20240806112541_Image003
MR_20240806112541_Image004
MR_20240806112541_Image005
MR_20240806112541_Image006
MR_20240806112541_Image007
MR_20240806112541_Image008
MR_20240806112541_Image009
MR_20240806112541_Image010
MR_20240806112541_Image011
MR_20240806112541_Image012
MR_20240806112541_Image013
MR_20240806112541_Image014
MR_20240806112541_Image015
MR_20240806112541_Image016
MR_20240806112541_Image017
MR_20240806112541_Image018
MR_20240806112541_Image019
MR_20240806112541_Image020
MR_20240806112541_Image021
MR_20240806112541_Image022
MR_20240806112541_Image023
MR_20240806112541_Image024
MR_20240806112541_Image025
MR_20240806112541_Image026
MR_20240806112541_Image027
MR_20240806112541_Image028
MR_20240806112541_Image048
MR_20240806112541_Image047
MR_20240806112541_Image046
MR_20240806112541_Image045
MR_20240806112541_Image044
MR_20240806112541_Image043
MR_20240806112541_Image042
MR_20240806112541_Image041
MR_20240806112541_Image040
MR_20240806112541_Image039
MR_20240806112541_Image038
MR_20240806112541_Image037
MR_20240806112541_Image036
MR_20240806112541_Image035
MR_20240806112541_Image034
MR_20240806112541_Image033
MR_20240806112541_Image032
MR_20240806112541_Image031
MR_20240806112541_Image030
MR_20240806112541_Image029
 

※ Dynamic(該当スライスのみ)、造影後画像の順

    ▶答えはこちら
    • 膀胱左壁に乳頭状の腫瘤を認める(約13mm)
    • 連続した2つの腫瘤があるように見え、T2WIで低信号、拡散強調で高信号、造影にて濃染される
    • 特に拡散強調画像では、いわゆる尺取虫サインが確認でき、表在性の腫瘤である事がわかる
    • 特にリンパ節腫大は認めない
    • 上記より膀胱癌(尿路上皮癌)疑いとなる
    上段左からT2WI、T1WI、T2-FS、下段左からDWI、ADC、T2-FS冠状断
    造影画像
    • また前立腺辺縁域に10mm大の結節を認め、拡散強調で高信号を認める
    • 造影効果ははっきりしないが、拡散強調スコアが3ないし4と考えられ、PI-RADSカテゴリーは4と診断できる
    • 診断確定のために他院紹介となり、前立腺癌 GS4+4、膀胱癌pT1(pTa high risk grop)と診断された
    • 膀胱癌に対してはTURBT後にBCGを実施し、前立腺癌に対してはホルモン療法後に放射線治療を実施した

    【膀胱癌】

    ・膀胱癌(Bladder cancer)は尿路上皮癌が90%以上で、その他には腺癌や扁平上皮癌、小細胞癌など

    <尿路上皮癌>

    ・男性に多いが、女性の場合は男性よりも予後不良と言われている

    ・喫煙や膀胱家石などの慢性刺激などがリスクファクター

    ・膀胱三角部、頂部が好発部位

    ・癌腫が粘膜下層までに留まれば表在性膀胱癌、筋層浸潤以降になると浸潤性膀胱癌

    ・膀胱癌のほとんど(70~80%程度)が表在性で、多発する事があるが転移は少なく生命予後は良い

    ・表面乳頭状、有茎性腫瘍はほとんどが表在性

    <扁平上皮癌>

    ・扁平上皮癌は慢性感染がリスクファクターのため、女性に多い傾向がある

    ・広基性の腫瘤が多く、局所的、もしくはびまん性膀胱壁肥厚として認める事もある

    ・単発でサイズが大きく、筋層浸潤や膀胱外浸潤を伴う事も多く、予後は悪い

    ・遠隔転移が骨、肺、腸管などに認める傾向がある

    <画像所見>

    ・画像所見は次のようなものがある

    • 乳頭状、または有茎性腫瘍の場合は尿路上皮癌が疑われる
    • MRIが有用で、横断像だけでなく冠状断、矢状断も撮影し、腫瘍基底部の膀胱壁に垂直な断面を撮影する
    • 拡散強調像で病変内部に浮腫状の粘膜下組織を認める事があり(尺取虫サイン:inchworm sign)、表在性を示す所見
    • MRIにおけるDynamicでは、腫瘍基底部の粘膜下層の存在を示すSLE(submucosal linear enhancement)の有無が筋層浸潤の判断材料になる
    • SLEの壁構造の断裂が一部ならT2a、全層に及んでいればT2bと診断する
    • 広基性で不均一な造影効果を見たら扁平上皮癌を疑う
    • 小細胞癌の場合は拡散強調画像で高信号になる傾向がある

    参考書籍:知っておきたい泌尿器のCT・MRI 改定第2版