アミロイドアンギオパチー(cerebral amyloid angiopathy:CAA)

会心のボケをかましても全くウケへん時ってめげへん?

えっ、はぁ。会心の・・・ですか。

ワシな、そんな事がしょっちゅうあんねん。誰がどう見たってオモロイボケなんやけどな。

「時代がワシについてきてへんのかな?」

そう思う時もあんねん。伝えるのって難しいわー。そういえば、昔、読んだ本に書いてあったわ。

「例え上手は話し上手、どんなにええ事言っても、相手に伝わってなければ存在してへんのと一緒や」って。

最初、これを見た時は痺れたね。肘を机にぶつけた時に感じるあの痺れ並やったね。

てな訳で、毎回のレクチャーも伝わるように、イメージしやすいように話してるつもりなんやけど、伝わってるやろか?

まぁええか、大丈夫と信じて今日もレクチャー始めていくで!

アミロイドアンギオパチー(cerebral amyloid angiopathy:CAA)とは

アミロイドアンギオパチーの概要

今日はアミロイドアンギオパチーについて話していくで。

CAAとも言ったりする事があるんやけど、アミロイドアンギオパチーの大きな特徴としては脳表の多発する脳出血や。

基底核や視床、脳幹にはあらへん事が多いんやけども、小脳には病変が出来たりするで。

脳部位名称

概要を述べておくと、脳血管壁に限局したアミロイドーシスで、大脳の皮質、皮質下、髄膜の中小血管壁にアミロイドβが沈着する事による脳血管障害や。

臨床症状については、初期は無症状や。ただ徐々に一過性の神経障害、認知機能の低下を認めたりする事があるで。

データ上は50歳以上に好発するで。

CAAに関連する脳出血の診断基準ってのがあって、これはboston criteriaが有名やから下に載せておくで。

重要なのはprobable CAAとpossible CAAは画像診断で可能という事や。確定診断には解剖が必要と言われてるんやけど、画像診断だけでいけるのはかなりメリットなんやで。

種類診断基準
definite CAA解剖が必要
脳葉型、皮質~皮質下出血がある
血管病変を伴う高度のCAA
他の原因病変が無い
probable CAA with supporting pathology病理が必要
脳葉型、皮質~皮質下出血がある
標本内に様々な程度のCAAがある
他の原因病変が無い
probable CAA画像診断で可
脳葉型、皮質~皮質下に限局する多発性の出血がある
55歳以上
他の出血源が無い
psssible CAA画像診断で可
単発の脳葉型、皮質~皮質下出血がある
55歳以上
他の出血源が無い
Linn J, Halpin A, Demaerel P, et al. Prevalence of superficial siderosis in patients with cerebral amyloid angiopathy. Neurology 2010; 74:1346.

Definite CAAとprobable CAA with supporting pathology解剖や病理が必要やから省くとしても、画像診断で出来るprobable CAAとpossible CAAについては簡単に纏めると下記のようになるで。

  • 脳葉、皮質~皮質下出血(単発ならpossible、多発はprobableで、小脳に認めてもOK)
  • 55歳以上
  • 他の出血原因なし

たったこれだけや。どうや?簡単に思えてくるやろ。これらがあれば出血の原因にCAAが疑われんねん。

アミロイドアンギオパチー関連白質脳症

ちなみに、他に追加する点としては、アミロイドアンギオパチー関連炎症/白質脳症(cerebral amyloid angiopathy-related inflammation/leukoencephalopathy)もあって、合併する事もあるで。

これはアミロイドβの沈着に対する炎症反応が原因やで。臨床症状は認知障害や痙攣などや。U-fiberを含んだ腫脹を伴う可逆性病変や側脳室病変を中心とした加齢性白質病変(leukoaraiosis)に類似した所見を呈するで。

画像所見

アミロイドアンギオパチーの画像所見

次に画像所見についてや。脳表(脳葉、皮質~皮質下)に単発や多発の微小出血を認めんねん。微小やから通常のMRIルーチンやと写らへん事も多いで。その時は、T2スターやSWI、磁化率強調が有効や。

皮質下出血の他、くも膜下出血や硬膜下出血、白質脳症、髄膜の増強効果を生じる事もあるで。

CAAは無症状時には微小脳出血の時だけの事もあるんやけど、逆に脳葉型の出血を認めて精査の結果CAAと診断されるちゅー事もあるで。

高齢者で脳表に限局するくも膜下出血で外傷が無ければCAAを選択肢に入れる事が必要やと言われとる。

アミロイドアンギオパチー関連炎症/白質脳症

参考までに炎症/白質脳症の画像所見についても話しておくと特徴は以下の通りや。

  • 片側優位にT2スターなどでmicrobleedsがあり、そこに皮質下高信号がある事
  • Microbleedsと臨床所見が合致する
  • T2強調やFLAIRで皮質下中心に左右非対称の高信号域

こんな感じや。Microbleedsって分かるか?微小脳出血やで。出来るだけ画像は掲載したいんやけど、中々適当な症例が無かったりすんねん。せやから載ってへん症例は自分で1度確認しとくんやで。白質脳症なんかはcerebral amyloid angiopathy-related inflammation/leukoencephalopathyで検索すると該当する画像が出てくるで。

実際の症例

実際の画像を見ていこか。

CAA画像や。SWIで微小脳出血があるのが認められると思うで。他のシーケンスやと中々分からんな。

頭部MRI-アミロイドアンギオパチー
上段左からT2WI、T1WI、FLAIR、DWI、SWI、T1矢状断

鑑別診断のポイント

高血圧性脳症

鑑別診断やけど高血圧性脳出血があるな。これは基底核や視床付近の微小出血があるかどうかが鑑別のポイントや。基底核や視床に微小出血があれば高血圧性脳出血、なければ(脳表に多ければ)CAAやで。

後はCAAは高齢者で非外傷性円蓋部のくも膜下出血の原因となるのは先に話した通りやけど、他のくも膜下出血の原因としてAVM/AVF、動脈解離、血管炎、RCVS、PRES、高度動脈狭窄、海綿状血管腫、心内膜炎などがあるで。逆に言うと、これらも鑑別対象疾患になるな。

微小脳出血がどこに分布しているかがキーや。

くも膜下出血関係からCAAが鑑別対象になるんですね。覚えておきます。

まとめ

今日はCAA、アミロイドアンギオパチーについてレクチャーしたで。

脳葉型、皮質~皮質下の脳出血を見たらCAAを鑑別にあげる

基底核や視床に出血がある場合は高血圧性脳出血の方が疑わしい

こんな感じかな。高血圧性脳出血と鑑別が紛らわしい事があったりするで。出血の位置を確認や。

ワシの説明は基本的に脳内にイメージ出来るように話してるつもりや。表を使ってるのもその一環やと思ってくれればOKや。

言葉だけやなくてイメージも合わせて記憶した方が絶対に記憶に残るねん。これは確かやねん。

アメリカの国立訓練研究所がラーニングピラミッドっていうのを提唱してて、それによるとテキストベースよりも動画を組み合わせた方が2倍記憶定着率が上がったらしいから、ちゃんとエビデンスはあるんやで。

これらで少しでも画像が読めるようになってくれれば嬉しいで。今後絶対に読影能力は技師はんにとって必要になると思うからな。

今日はこのへんにしとこか。

ほな、精進しいやー!