なぁ、脳動脈瘤で1番大きいのってどれくらいの見た事ある?
2㎝くらいだった気がします。結構大きかったですね。
ワシの親戚にも1cmくらいの動脈瘤で定期フォローしてるおっちゃんがおるけども、ちょっとずつ大きなってきてて、「そろそろコイル塞栓しましょ」って言われてるって言ってたな。
もくじ
脳動脈瘤(cerebral aneurysm)とは
脳動脈瘤の概要
ってな訳で、今日は脳動脈瘤について話していくで。
脳動脈瘤はかなりメジャーやろ。読影してても数ミリのヤツまで含めると結構多く見つかるしな。
まずは動脈瘤についてや。
動脈瘤は何らかの原因で、脳血管がコブ状に膨らんだ状態の事や。この動脈瘤の発生機序は正確なところは分かってへんねん。
動脈の中膜が欠損してそこに慢性的な血管ストレスが加わる事で発生するなんて話もあるけどな。
いずれにせよ喫煙、高血圧、加齢なんかによる後天的な要因が関係してる事は確かや。
放っておくと大きくなって、いずれ破裂すんねん。破裂すると場所によって脳出血やくも膜下出血になるで。
そうなると生命にかかわってくんねん。
せやから早めに発見して治療する事が重要なんや。
嚢状動脈瘤と紡錘状動脈瘤
動脈瘤には嚢状動脈瘤(saccular aneurysm)と紡錘状動脈瘤(fusiform aneurysm)の2つがあんねん。
頻度的には嚢状動脈瘤の方が多いんやけど、この2つの違いって分かるか?
これらの違いは簡単に言うと、動脈瘤がコブ状かどうかや。
脳動脈瘤で問題になるのが嚢状動脈瘤の方で、これがコブ状の方になるんやけど、こっちの方が破裂する確率が高いねん。
ちなにみ破裂するとくも膜下出血になるで。
嚢状動脈瘤の原因は、血行力学的なストレス、つまりは高血圧なんかやで。生活習慣と関連が深いな。
紡錘状動脈瘤の原因は動脈硬化、解離、血管炎などや。紡錘状動脈瘤は血管壁が拡張して動脈瘤になる事やで。

巨大動脈瘤
動脈瘤が25mmを超えるのを巨大脳脈瘤と言って、これはICAやMCA分岐部、BA先端に多いで。
高頻度で動脈瘤内腔辺縁部に血栓化を伴うとされとる。
ここでの注意点は巨大動脈瘤はMRAで内腔の血流速度低下や乱流の影響でTOF効果が減弱する事がある点や。
MRAで信号が途切れているからといって、狭窄してるやん!なんて早とちりせんようにな。
感染性動脈瘤
他に動脈瘤が出来る原因としては、感染性脳動脈瘤(infectious cerebral aneurysm)も知られてるで。
脳動脈瘤の5%程度で、感染性心内膜炎から生じる事が多いと言われとるわ。
MCAの分枝部が好発部位で20%の頻度で多発性に生じる事が知られてんねん。
各々の比較表
嚢状動脈瘤と紡錘状動脈瘤、これら2つを逐一文言で説明してってもええんやけど、表で対比出来るようにしといた方が頭にも入りやすいやろ。
プラスαも入れといたで。
種類 | 原因 | 概要 |
---|---|---|
嚢状動脈瘤 | 血行力学的なストレス(高血圧) | 紡錘状動脈瘤と比較して頻度が高い 90%がwillis動脈輪前半分岐部(A-com付近が40%、ICAのC1~C2付近が30%)とMCAのM1末梢部(20%)に発生 10%がBAやVAに発生 |
紡錘状動脈瘤 | 動脈硬化 解離 血管炎 など | 破裂の危険性が高い仮性動脈瘤を作る事もある |
巨大脳動脈瘤 | 血行力学的なストレス | 25mm以上を巨大脳動脈瘤と呼ぶ 内腔の血流速度低下でTOF信号が減弱する事があるので注意 |
感染性脳動脈瘤 | 感染性心内膜炎 | 脳動脈瘤の5%程度 20%程度で多発性に生じる MCA分枝部に多い |
動脈瘤の好発部位
嚢状動脈瘤はwillis動脈輪とMCA、BAが好発部位やねん。ちょうど血流がぶつかる位置になるな。
イメージやとこんな感じやな。各々の発生割合も載せておくから合わせて確認しておいてな。

臨床症状
症状については、動脈瘤が小さい内は無症状の事が多いで。多いっちゅーか、ほとんどや。
これが大きくなると、発生場所によっては動眼神経麻痺や脳組織圧迫による神経症状を呈する場合も出てくるんや。
これらが急速に出現した時は、動脈瘤が増大しているサインでもあったりするから要注意やで。
他には頭痛や吐き気、嘔吐なんかが動脈瘤破裂の警告症状だったりするな。
軽度、または一過性の頭痛と吐き気、嘔吐を伴う場合は、動脈瘤破裂の前駆症状だったりする事があんねん。これは微小破裂による警告出血が起きてるのが原因で、これを警告頭痛と呼んでるで。
破裂前の重要なサインなんや。
治療法
治療法はコイル塞栓術やクリッッピングなんかがあるで。
コイル塞栓術はカテーテルで治療するから、開頭術のクリッピングと比較して体への負担が少ないっていうメリットがあるな。
自ずと入院期間も短くて早期に社会復帰が出来るで。
破裂してしまった場合は、出血の量や部位にもよるんやけど、保存的治療や血種を除去したりするで。
画像所見
脳動脈瘤の画像所見
次に画像所見についてや。まぁこれは今更話すまでも無いやろ。次の一言で終いや。
MRAのMIP画像でよく確認せぇ!
特に嚢状動脈瘤の好発部位は要チェックやで。
巨大動脈瘤になるとT2強調でもフローボイドとして見えたりすることもあるけども、TOF画像では逆に信号が減弱してくる事もあるから注意やで。これは動脈瘤内の血流が乱流しているのが原因や。
MRAは一定方向の信号を画像化してるためやで。
数ミリ単位の動脈瘤はMRAのMIPと元画像でチェックや。1方向で分からん時は違う方向から確認すると分かりやすい時があるで。
実際の症例
さて実際の症例を見ていこか。この症例はAcomの動脈瘤や。大きさは7mmやで。
7mmでも結構大きく見えるやろ?

こっちは70代女性で右IC-PCの動脈瘤や。大きさは10mm程度やで。
この症例のようにT2WIでflow voidとして認める事もあるで。

60代男性で右MCAに5mm程度の動脈瘤や。

動脈瘤の大きさと破裂率
大きさの分類は、小型動脈瘤が10mm未満、大型動脈瘤が10mm以上25mm未満、巨大動脈瘤が25mm以上となっとるで。
動脈瘤の大きさでの破裂率のデータがあって、それによると大きさが5mm程度やと年間の破裂率が0.5%、10mm未満になると1.7%、10~24mmになると4.4%や。
せやから個人的には5mmくらいからは指摘出来るようになってて欲しいと思うとる。
ちなみに動脈瘤にブレブがあると1.63倍破裂しやすいというデータもあるで。
大きさ | 3~4mm | 5~6mm | 7~9mm | 10~24mm | 25mm以上 |
年間破裂率 | 0.36% | 0.50% | 1.69% | 4.37% | 33.40% |
鑑別診断のポイント
漏斗状拡張
鑑別診断になりうるのは、窓形成や漏斗状拡張(infundibular dilatation)なんかや。
漏斗状拡張はICAとP-comの間に多くて、血管が漏斗状に拡張する事を言うねん。
動脈瘤と見間違えやすいんやけど、破裂の危険性は無いと言われとるで。
ICAに動脈瘤らしきものを見つけたら、その先にP-com(血管)が出てるかどうかを確認する事が重要やな。

他の脳血管系の疾患は椎骨動脈解離があるで。
鑑別疾患にはならへんけど、こっちの記事で確認しておいて貰えるとええで。
まとめ
今日は動脈瘤についてレクチャーしたで。結構見る疾患やからちゃんと指摘できるようにな。
動脈瘤の好発部位と大きさを確認する
5mm以上の動脈瘤は引っかけられるようにする
鑑別に漏斗状拡張がある
この3つや。この3つを押さえておけば、動脈瘤に関しては大丈夫やろ。
後はどれだけ小さい病変を指摘出来るかやな。MRAの元画なんかを再構成すると見えてくる事があるで。
動脈瘤は小さいうちに発見できて、治療ができれば破裂の危険性は限りなく低くできんねん。
小さすぎて治療対象外でも、定期フォローする事で増大の有無が分かるしな。
せやから高血圧なんかの生活習慣病を持ってる人は、一度は検査して確認しておいた方がええで。
さて、ワシはお腹が減ったから帰るとするかな。
血管の事を考えて、ハンバーガーやなくて、サラダうどんにするわ。
ほな、精進しいやー!