脳挫傷(cerebral contusion)

スーパー断捨離するで!

これも捨てましょ。

アホ!医師免許捨ててどないすんねん!

脳挫傷(cerebral contusion)とは

脳挫傷の概要

あいつなんやねん。なんで医師免許捨てんねん。
ワシ、医者じゃなくなるとこやったやんか。あぶなっ。

さて無事に医者を継続出来るっちゅー事で、本日のレクチャーいこか。

今日は脳挫傷や。

脳挫傷は、外傷などの衝撃で脳実質が頭蓋骨(頭蓋骨隆起や硬膜)と接触してダメージを受けた状態やの事や。

実は脳は頭蓋骨の中で豆腐みたいに浮いてる状態やねん。

骨と脳の間にくも膜下腔があんねんけど、通常は液体(髄液)で満たされてんねん。

この液体はクッションの役割があって、通常は外からの衝撃から脳を守ってるんやけど、交通外傷なんかの「強い衝撃」が起きた時に、このスペースがあるせいで脳が揺れて頭蓋骨(硬膜等)にぶつかんねん。

分かるかな、衝撃の後にちょっと遅れて脳が頭蓋骨にぶつかるようなイメージ。それが起きて、その結果、脳にダメージがおきて脳挫傷となる訳や。

脳挫傷が起きる仕組み

脳挫傷は出血や脳浮腫がおきるで。特に出血はかなりの高頻度で、浮腫がある場合にはほとんど出血も伴っている事が多いとされとる。

好発部位は前頭葉や側頭葉で、小児やと小脳にも起きる事があるわ。

注意点としては挫傷が小さいと指摘するのが難しい時があんねん。臨床経過と照らし合わせて確認する事が重要やな。

ちなみに似たような疾患名で脳裂傷ってのがあんねん。これは頭蓋骨が骨折して、その骨片が脳が裂けた状態の事や。

coup-contrecoup injury

挫傷変化は外傷部直下にダメージが受けるものをcoup injury、外傷のエネルギーが反対側に伝わって、それでダメージを受けるのがcontrecoup injuryと呼ぶで。

受傷部位だけやなく、反対側もダメージを受ける事がある点は要注意や。

頻度的にはcontrecoup injuryの方が多くて、後頭部の衝撃で前頭葉にcontrecoup injyryが生じる事が多いねんて。

交通事故や転落なんかの時では多そうやな。

coup-contrecoup injury
Case courtesy of Frank Gaillard, Radiopaedia.org

臨床症状

臨床症状は程度によって様々や。

挫傷が小さければ頭痛やめまいなんかやし、むしろ軽微な場合は無症状の事も多いで。

一方で浮腫や脳ヘルニアのような重症例にまでなると意識障害なんかが出てくるわ。

脳のどの部分がダメージを受けているかで障害の内容や程度が違ってくるで。いわゆる高次脳機能障害やな。

治療法

治療法は軽症であれば安静待機と投薬治療なのどの保存的治療になるで。

保存的治療で頭蓋内の圧力コントロールが難しい場合は、外減圧術や血腫除去術などの外科的治療を行うねん。

画像所見

脳挫傷の画像所見

続いて画像所見や。

CTやと出血を示す高吸収域が点状にあって、その周りに浮腫性変化を認めるわ。

ちなみに点状出血が低吸収域に混在している状態をsalt and pepperと呼んで、これは出血における高吸収域と浮腫による低吸収域が混在している状態なんや。

初期における小さなsalt and pepperを見逃さないように注意やで。時間の経過と共に出血や浮腫が増大してくる事もあるからな。

他には、血腫の直径が3cm以上なら手術の対象になるで。あとは(外傷性)くも膜下出血も併発してる事もあるから要注意や。

MRIの画像所見については、浮腫はT2でhigh、出血の所はT1で時期に応じて様々な信号強度を示すわ。

注意点は(超)急性期やとT1でhighにならへんからな。Highになるのは早期の亜急性期くらいからや。T2スターを撮影すれば血腫は同定しやくるなるで。

  • 脳挫傷における主な画像所見
    • CTでの高吸収域(出血)と周囲の浮腫性変化
    • 頭蓋骨の骨折線の確認
    • 外傷性くも膜下出血の有無
    • salt and pepper sign
    • 血腫の大きさ(正中線の偏位や脳ヘルニアの有無)
    • MRIでは浮腫部分がT2でhigh、出血部分は時期によってT1で様々な信号強度になる

実際の症例

70代男性で転倒受傷した例や。

右前頭葉に出血を伴う低吸収域を認めるで。同部位に骨折線もありや。この出血はシルビウス裂まで高吸収になってるからくも膜下腔への穿破もしてるな。

脳挫傷の診断にて転院になったで。

頭部CT画像 骨折と脳出血

別症例で頭部(眼窩付近)の打撲や。微細な所見やけど右前頭葉中心に高吸収域と低吸収域が混在しているのが分かる思うで。

頭部CT画像 脳挫傷

鑑別診断のポイント

他の出血性疾患との鑑別

出血を伴う事から、高血圧性脳出血などとの鑑別が問題になることがあるで。

高血圧性脳出血の場合、それぞれ単発での画像診断なら迷う事もそんなにあらへんけど、高血圧性脳出血からの転倒受傷のようなパターンもあんねん。

その時は鑑別に迷う事もあるかもしれへんから、血腫の場所や患者背景から診断する事が大切や。

まとめ

さて今日のまとめや。今日は脳挫傷についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。

受傷部位だけじゃなく、反対側(contrecoup injury)にも所見を認める事がある

contrecoup injuryは前頭葉や側頭葉に好発する

salt and pepper signや外傷性くも膜下出血を見逃さない

こんな感じやな。

初期の場合やとCTでは微小な変化の時もあるから注意やで。

アイスの差し入れ買ってきました!

素晴らしいやん!
アイス食べてクールダウンといこか。あれっワシの分は?

断捨離しました!

アホか! なんでやねん!
ったく・・・まぁええわ。
ほな、精進しいやー!

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