この人もかー。
最近、有名人の大腸癌にかかったっていうニュース多ない?
ついこの前、僕の叔母さんも直腸癌と診断されてましたね。
早期だったので内視鏡切除で終わりでしたけど。
それは何よりや。
国立がん研究センターのデータやと、男女ともに罹患数が2019年で全体の2位やから実際、多いねんな。
ただ大腸癌も、早期発見できれば治癒率が高い癌なんやで。
もくじ
大腸癌(colon cancer)とは
大腸癌の概要
大腸癌の概要
ってな訳で、今日は大腸癌についてレクチャーしてくで。
大腸癌には、結腸癌と直腸癌の2つがあって、これらを総称して大腸癌と呼んでんねん。現場では後者で呼んでいる事が多いで。
中年以降で好発するんやけど、食生活の変化などが原因で年々罹患率が上がってきている癌なんやで。
組織型はほとんどが腺癌で、他には扁平上皮癌、線扁平上皮癌などがある。
更に腺癌には高分化型腺癌から低分化型腺癌があって、大腸癌のほどんど(~90%)が高~中分化型腺癌なんやで。残りの10%に低分化型腺癌や粘液癌があるといった形や。
- 概要
- 大腸癌は結腸癌と直腸癌の総称
- 50代以降で罹患率が高くなり、直近のデータでは男女合わせて全体の2位、死亡数は男性で2位、女性で1位となっている
- 好発部位は、直腸(50%)、S状結腸(25%)、上行結腸、横行結腸の順
- 原因は食生活の欧米化などが関係していると言われている
- 他に家族性大腸腺腫症や、Lynch症候群、潰瘍性大腸炎、Crohn病がリスク因子として知られている
- ほとんどが腺癌(乳頭腺癌、管状腺癌、低分化腺癌、粘液癌、髄様癌など)で、他に扁平上皮癌、線扁平上皮癌がある
- 初期症状はなく、進行すると下血や血便、さらに進行すると腸閉塞や嘔吐などが出現する
- 主な検査法は便潜血や大腸内視鏡など
早期癌と進行癌の境目
早期大腸癌は、基本的に粘膜下層にまでに留まっている癌までや。その内、内視鏡治療が適応されるのがSMの軽度浸潤までなんや。
これはSM高度浸潤癌やとリンパ節転移が10%前後あるからで、それ以前のSM軽度浸潤までが対象なんや。ちなみにSM高度浸潤になると基本的に手術になるで。
ちなみに進行癌は固有筋層より浸潤しているものを指すで。
- 深達度略語 ⇒ M:粘膜 SM:粘膜下層 MP:固有筋層 SS:漿膜下層 A:外膜
病期でいうⅢ期までは基本的に切除術を実施する方向らしいで。再発リスクが高いⅡ期、Ⅲ期の場合は術後に化学療法を実施する事もあるとの事や。
Ⅳ期の場合は原発と転移巣が切除可能かどうかで、オペか化学療法、放射線治療かの選択になるらしいな。転移しやすい部位は肝臓や骨、肺、脳、腹膜に多いと言われとる。
大腸の解剖と役割
次に大腸の解剖と役割についてやで。
大腸は全長が約1.5mでバウヒン弁から先のところや。小腸から送られてきた消化物から、主に水分とナトリウムを吸収して残りを便として体外に排出してるんや。小腸と違って腸絨毛はあらへんで。
大腸は大きく結腸と直腸に分けられて、更に結腸は部位によって盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に分類されてるで。
盲腸から直腸までは約20時間かけて移動するんやけど、大腸の中にハウストラというヒダがあるおかげて便が逆流せずに直腸まで移動するんやで。ちなみに回腸から盲腸の間にバウヒン弁(回盲弁)があって、これも逆流を防ぐ役目をしてるで。

結腸紐
また大腸には盲腸からS状結腸までの外壁に走向する3本の結腸紐があって、それぞれ大網ひも、自由ひも、間膜ひもと呼んでるで。
大腸を正面視した時に、上行結腸や下行結腸の前面(腹側)には自由ヒモが見えて、横行結腸の前面(腹側)には大網ヒモが見えるで。これらがハウストラを形成してんねん。
ちなみに大網ひもには腹膜垂が垂れ下がってて、これが捻転すると腹膜垂炎になったりするで。
腹膜垂炎は見逃されやすい疾患の1つで、最終的に石灰化を来して腹膜ネズミになるで。

大腸癌の原因と治癒率
大腸癌の原因
大腸癌の原因は上で話した通り、食生活の欧米化があると考えられてるで。
牛肉や豚肉などの動物性脂肪食が増えると、発癌促進作用がある2次胆汁酸の生成も高まる事が分かってんねん。2次胆汁酸がそのまま大腸の粘膜に付着する事で、発癌率を高める原因になってるって訳や。
また高齢化や喫煙の有無も関係してると言われてるな。
他のリスク因子としては、家族性大腸腺腫症やLynch症候群などの遺伝性によるもの、潰瘍性大腸炎、Crohn病などの炎症によるものがあるで。この辺は国立がん研究センターから情報が出てるで。
一方で運動習慣は予防に効果があるという話しや。
大腸癌の治癒率
ちなみに生存率についても大腸癌は国立がん研究センターから5年生存率が下記のように出てるで。Ⅲ期とⅣ期の差が大きいな。
- 大腸癌の5年生存率 ⇒ Ⅰ期:94.5% Ⅱ期:88.4% Ⅲ期:77.3% Ⅳ期:18.7%
- 結腸癌の5年生存率 ⇒ Ⅰ期:92.3% Ⅱ期:85.4% Ⅲa期:80.4% Ⅲb期:63.8 % Ⅳ期:19.9%
- 直腸癌の5年生存率 ⇒ Ⅰ期:90.6% Ⅱ期:83.1% Ⅲa期:73.0% Ⅲb期:53.5 % Ⅳ期:14.8%
大腸癌のTNM分類
大腸癌の肉眼的分類
まず大腸癌の肉眼的分類について載せておくで。
0型から5型まで分類されていて、5型は分類不能という扱いや。4型は胃癌の時と同じようにスキルスと呼ばれる事もあるで。

大腸癌のTNM分類と病期
次に大腸癌のTNM分類と病期についてや。分類には2パターンがあって両方載せておくで。
T分類 | Tis | T1 | T2 | T3 | T4 |
大腸癌(取り扱い規約第9版) | 癌が粘膜内にとどまっている | T1a:癌が粘膜下層にとどまり浸潤距離が1000μm未満 T1b:癌が粘膜下層にとどまり浸潤距離が1000μm以上だが固有筋層に及んでいない | 癌が固有筋層にとどまっている | 固有筋層を超えて浸潤している 漿膜を有する部位では漿膜下層までにとどまっている 漿膜を有しない部位では外膜までにとどまっている | T4a:癌が漿膜表面に接しているか、またはこれを破って腹腔に露出している T4b:癌が他臓器に直接浸潤している |
大腸癌(UICC8版) | 上皮内癌:粘膜固有層に浸潤 | 粘膜下層に浸潤している | 固有筋層に浸潤している | 漿膜下層、または漿膜被膜のない結腸もしくは直腸の周囲組織に浸潤する腫瘍 | T4a:臓側腹膜を貫通する腫瘍 T4b:他の臓器または組織に直接浸潤する腫瘍 |
N分類 | N0 | N1 | N2 | N3 | |
大腸癌(取り扱い規約第9版) | リンパ節転移なし | N1a:腸管傍リンパ節と中間リンパ節の転移が1個 N1b:腸管傍リンパ節と中間リンパ節の転移が2~3個 | N2a:腸管傍リンパ節と中間リンパ節の転移が4~6個 N2b:腸管傍リンパ節と中間リンパ節の転移が7個以上 | 主リンパ節に転移を認める 下部直腸癌では主リンパ節あるいは側方リンパ節に転移を認める | |
大腸癌(UICC8版) | リンパ節転移なし | N1a:領域リンパ節の転移が1個 N1b:領域リンパ節の転移が2~3個 N1c:漿膜下層または腹膜被膜のない結腸もしくは直腸の周囲軟部組織内に腫瘍デポジットすなわち衛星結節があるが、領域リンパ節無し | N2a:領域リンパ節の転移が4~6個 N2b:領域リンパ節の転移が7個以上 | ||
M分類 | M0 | M1 | |||
大腸癌(取り扱い規約第9版) | 遠隔転移なし | M1a:1臓器に遠隔転移を認める M1b:2臓器以上 M1c1:腹膜転移のみ M1c2:腹膜転移と他臓器転移 | |||
大腸癌(UICC8版) | 遠隔転移なし | M1a:1臓器に限局する転移で腹膜転移なし M1b:2臓器以上 M1c:腹膜転移 |
N0 | N1 | N2a | N2b N3 | M1a | M1b | M1c | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
T1 | Ⅰ | Ⅲa | Ⅲa | Ⅲb | Ⅳa | Ⅳb | Ⅳc |
T2 | Ⅰ | Ⅲa | Ⅲb | Ⅲb | Ⅳa | Ⅳb | Ⅳc |
T3 | Ⅱa | Ⅲb | Ⅲb | Ⅲc | Ⅳa | Ⅳb | Ⅳc |
T4a | Ⅱb | Ⅲb | Ⅲc | Ⅲc | Ⅳa | Ⅳb | Ⅳc |
T4b | Ⅱc | Ⅲc | Ⅲc | Ⅲc | Ⅳa | Ⅳb | Ⅳc |
大腸癌の概要は分かったか? 次に画像所見について話していくで。
画像所見
大腸癌の画像所見
画像所見についてや。
大腸癌の局所診断は基本的に内視鏡や注腸検査がメインや。内視鏡で肉眼的分類を、注腸検査でサイズ測定や管腔の変形などを見るんやで。
注腸検査では、側面の形状と癌の浸潤には相関があると言われていて、内訳は無変形、角状変形、弧状変形、台形状変形の4つがあるんや。
台形状変形は固有筋層かそれ以降に浸潤した状態で、下の図では後者になるにしたがって浸潤程度が深くなるで。
また全周性に2型病変があると、いわゆるapple core signが確認できるで。
- 無変形はM癌かSM軽度浸潤癌に多い
- 角状変形はSM高度浸潤癌に相当
- 弧状変形はSM高度浸潤癌からMP浸潤癌に相当
- 台形状変形は固有筋層以降の浸潤癌に相当

CTやMRIでの早期癌の診断は難しいってのも覚えておき。
CTやMRIの目的は、進行癌の壁外浸潤や他臓器浸潤の診断がメインやで。
上行結腸、もしくは下行結腸に全周性に壁肥厚を認める癌があると、CTでは腎臓のように見える事から、これを pseudokidney sign とも呼ぶ事があるで。
ちなみに直腸癌の深達度診断にはMRIが有効やという報告もあって、これは普段検査してても実感してるかもしれんな。
実際の症例
実際の症例や。
40代の女性で、食欲不振の原因精査、USで肝臓に多発腫瘤を認めた例や。上行結腸に造影される壁肥厚を伴う腫瘤影を認め、精査の結果上行結腸癌、リンパ節転移、多発肝転移の診断となった例やで。

こっちは30代女性ので多発大腸癌の診断となった症例や。
バックグラウンドに家族性大腸ポリポーシスがあるで。CT検査で上行結腸、横行結腸、S状結腸、直腸に壁肥厚や腫瘤影を認めてFDG-PET検査でも同部位に高集積を認めてん。提示してへんけど肝転移もあるで。



ちなみに大腸癌は他の消化器癌と比較して多発するケースが多いと言われてるんや。同時性、異時性問わず2~13%という報告があるで。中には同時性6多発大腸癌の例もあったという報告もあるで。
鑑別診断のポイント
過形成性ポリープなど
鑑別診断についてや。
主なものとしてポリープや大腸粘膜下腫瘍なんかがあって、ポリープに関しては早期癌と腺腫等の良性ポリープとの鑑別が難しい場合が多いな。その中の過形成性ポリープは、内視鏡で肉眼的観察では白色を呈する事で鑑別が可能な事が多いで。
大腸粘膜下腫瘍は頻度は少ないんやけど、種類として脂肪腫やリンパ管腫、血管腫、カルチノイド腫瘍、GIST、悪性リンパ腫なんかがあるわ。
直腸はMPS(粘膜脱症候群:mucosal prolapsed syndrome)っていうのがあって、進行癌との鑑別が問題になる事があるで。
ちなみに平坦型、隆起型、潰瘍型に分類されとる。
大腸に関連する疾患
大腸に関連するものを載せておくで。ついでに見ておいてもらえるとええな。
まとめ
今日は大腸癌についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。
近年、罹患数、死亡数ともに増えているが、早期発見できれば5年生存率は90%を超える
注腸検査における大腸壁の形状で、ある程度の浸潤程度が分かる
CTやMRIは早期癌に対しては有用性が低く、T3~T4の診断に実施される
こんな感じやで。比較的5年生存率は高い癌やけど、直腸癌なんかだと進行度合いによっては人工肛門にならざるを得ないケースもあるからな。QOLを考えたら早期発見が重要や。
っていうか、早期発見が重要って毎回言ってるな。
先生、飲み薬で癌が治療出来るように研究開発して下さいよ。
ノーベル賞、取れますよ!
アホ言うな。
世界中の天才が何年もかけて研究しても、未だに出来てへんのやで。ワシみたいな凡人が作れる訳無いやろ。
ワシらに出来るのは、検査した画像をちゃんと読んで所見を記載する事や。特に生命に関係する所見は見逃したらアカンで!
さて、今日はこれくらいにしとこか。
ほな、精進しいやー!