クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease)

ヤコブ病ってCJDなんやな。CDJって言ってたわ。

CDJ www 年末の音楽フェスですやん。

クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease)とは

そんな笑わんでもええやん。昨日、後輩にもチャカされたわ。

「先生、そういえばIPMNもIPNMって言ってましたよね? ププッw」って。穴があったら入りたいわー。

さてと、気分を変えてレクチャー開始するで。

クロイツフェルト・ヤコブ病の概要

クロイツフェルト・ヤコブ病の概要

今日はクロイツフェルト・ヤコブ病や。まずは下記の表で全体像を確認してくれや。

  • 100万人に1人の割合で発症する
  • 原因は感染性を有する異常プリオン蛋白と言われている
  • 脳内のプリオン蛋白が異常プリオン蛋白に変化し、様々な障害を引き起こす
  • 別名、プリオン病とも言われる
  • プリオンとは「感染性を持つタンパク粒子」
  • そもそも異常プリオン蛋白に変化する原因は分かっていない
  • 感染源によって3パターンの種類がある
 

特徴

種類

特徴

クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)

感染性を有する異常プリオン蛋白の中枢神経感染

進行性の中枢神経系の障害を来す

原因別に3型に分類される

孤発性CJD

原因不明

原因としては最も多く1/100万人程度

認知症、ミオクローヌス、脳波のPSD(Periodic synchronous discharge)を3徴とする

第1期でめまいやふらつき、第2期で認知症状やミオクローヌス、第3期で無動無言になる

発症から死亡まで2年程度

遺伝性CJD

プリオン蛋白遺伝子変異

高齢発症で症状の進行も緩慢なためADとの鑑別が難しい事がある

獲得性CJD

医原性CJDと変異型CJDがある

変異型CJDはBSE(bovine spongiform encephalopathy)のヒトへの感染と考えられている

こんな感じやな。罹患すると、脳組織や中枢神経系に蓄積して変性(海綿状変化)を来したりすんねん。その結果、様々な臨床症状が起きてくるで。

感染源の3パターン

上で話した通り、CJDには3パターンの感染源があんねん。

  1. 原因不明の孤発性
  2. プリオン蛋白遺伝子の変異による遺伝性
  3. 人や動物からの感染による獲得性

上記3つや。昔流行した狂牛病騒動はこの動物からの感染による獲得性に該当する変異型CJDの事なんやで。

割合的には孤発性が85%前後くらいや。遺伝性が15%前後で、日本国内では感染性はほとんどあらへん。

孤発性CJDの診断基準

孤発性CJDの孤発性の診断基準は次の通りや。

  1. 急速進行の認知症
  2. ミオクローヌス、視覚または小脳症状、錐体路症状、無動性無言の内から2項目以上該当する
  3. 脳波で周期性同期放電(PSD)

上記3徴を満たす場合

臨床症状と治療法

臨床症状

臨床症状は、進行性の精神・高次脳機能障害、運動失調、歩行障害、ミオクローヌスなどや。

進行が早くて発症から1年程度で無動性無言状態になって、2年程度で衰弱、肺炎、呼吸麻痺などで死んでまうねん。

もう少し詳しく書くと、下記のような流れやで。

  • 第1期 めまい、ふらつき
  • 第2期 認知症状の進行やミオクローヌス、錐体路症状の出現
  • 第3期 無動無言になる

孤発性の場合は2年程度で死亡してまうねん。遺伝性はもうちょっと長い事もあるで。

ちなにみ認知症状が出るんやけど、海馬の萎縮などは認めへんのが特徴や。

かなり予後が悪い病気やな。

ミオクローヌス

ちなみにミオクローヌスってどんな症状か分かるか?

筋肉が瞬間的に収縮する事や。不随意運動とか言ったりもするな。居眠りする時にビクってなるのはミオクローヌスなんやで。

治療法

治療法は現時点であらへん。難治性の疾患や。なかなかキッツイ病気やで。

画像所見

クロイツフェルト・ヤコブ病の画像所見

次に画像所見についてやな。

  • 拡散強調、T2強調、FLAIRで基底核や大脳皮質の高信号
  • 拡散強調における高信号域は経時的に拡大していく
  • 拡散強調の異常信号は基底核(視床、尾状核)、大脳皮質、視床に出る
  • ミオクローヌスがあるときは拡散強調は特に有効と言われている
  • 変異型CJDではpulvinar sign、hockey stick signと呼ばれる特徴的なサインがある

こんな感じや。

拡散強調やT2強調、FLAIRで基底核や大脳皮質に高信号とADCの低下を認めるで。

脳梗塞における拡散強調の高信号の違いは血管支配領域と一致せーへん事や。

この高信号は経時的に拡大していって、後期には著明なびまん性脳萎縮が起きて広範な白質にT2延長病変を認めるようになるで。

拡散強調での異常信号には基底核、大脳皮質、視床に多いな。特に前者2部位やな。

他には、変異型CJDでは視床枕や視床背内側核に対称性異常信号を認めて、これをpulvinar signとかhockey stick signとか呼んでて特徴的なサインやと言われてるわ。

ただ日本やと獲得性CJDはほとんど医原性やから、臨床症状や画像所見は孤発性と区別が難しいと言われてるで。

実際の症例

実際の症例や。認知症場や幻想があって、その精査でMRIを実施したんやけど、左優位、後頭頭頂葉皮質優位で両側大脳半球皮質に拡散強調像での高信号とADC低下を認めるで。

画像所見と臨床症状から孤発性CJDと診断された例やな。

頭部MRI-ヤコブ病
左上から拡散強調、T2強調、ADC、下段左からFLAIR、T1強調、CE

鑑別診断のポイント

皮質や基底核に拡散強調画像で高信号を示す疾患

鑑別診断やな。

これは皮質や基底核に拡散強調で高信号がある病変やな。

具体的には低酸素脳症やったり低血糖脳症、Wilson病なんかや。

急性期脳梗塞、高血圧性脳症、多発性硬化症あたりは皮質に高信号を認めるパターンが多いのが鑑別ポイントやで。

認知症関連との鑑別やと海馬の萎縮があるかどうかがポイントや。臨床経過が参考になる事が多いで。

まとめ

今日はCJDについてレクチャーしたで。ポイントは3つや。

別名プリオン病とも言われ、発症から1年程度で無動無言になり、数年で死亡してしまう

感染源によって3パターンがあるが、ほとんどが原因不明の孤発性CJD

基底核から大脳皮質の拡散強調画像での高信号

この信号パターンを見たら、CJDを鑑別疾患に挙げておかなアカン。

ほとんどは孤発性CJDやけど、獲得性CJDにはpulvinar sign、hockey stick signといった所見があるのは話した通りや。

合わせて覚えておくんや。

今後はタスクシフトで読影も技師はんがやる時代が来るかもしれんと思うてる。

AIが先か技師はんが先かという話はあるけどな。

ただ、読影は地道に経験していくしかあらへん。

ほな、精進しいやー!