発育性股関節形成不全(developmental dysplasia of the hip:DDH)

今日は発育性股関節形成不全についてや。

発育性股関節形成不全?

昔は先天性股関節脱臼とも言われてたヤツや。こっちなら聞いた事があるかもしれんな。

これは赤ちゃんの時に足を真っ直ぐにした状態が続く事が原因の1つと言われてんねん。

昔は抱っこ紐が原因でなってまう事もあったらしいで。今は改良されてちゃんと赤ちゃんの足がM字になるようになってるらしいけどな。

脱臼すると治療が大変やねん。しばらく固定しとかなアカン状態になるからな。

そんな発育性股関節形成不全についてレクチャーしてくで!

発育性股関節形成不全(developmental dysplasia of the hip:DDH)とは

発育性股関節形成不全の概要

今日は発育性股関節形成不全(developmental dysplasia of the hip:DDH)についてレクチャーするで。

これは昔は先天性股関節脱臼(congential dislocation of the hip:CDH)とも呼ばれてたのは1番最初に話した通りや。

発育性股関節形成不全の原因は遺伝や先天性奇形の他に股関節に加わる機械的要因が大きいと言われとる。ちなにみ発生率は0.1%程度で女児に多く左側に多いらしいねん。なんで左側に多いのかは分からん。

先天性?

実は先天性ってついてるけど、実は生後1~2週の内に起きてる事が多いねん。

もちろん程度は様々やけどな。骨頭が完全に臼蓋から外れてるのが脱臼、はずれかかっているのを亜脱臼と呼んで、他に臼蓋形成不全なんかがあるわ。

最初から脱臼の状態になってるのは稀らしくて後天的な要因の方が大きかったから今の名称になったという訳や。

ちなみに早めに発見して治療をすれば後遺症もなく良くなる事が期待出来るらしいで。せやから3~4ヶ月に股関節検診があるんやろな。

原因内容
発育性股関節形成不全遺伝や奇形などの先天性のものと生後に股関節への機械的な要因の2つがある0.1%程度の発症率
女児に多く左側に多い
多くは生後1~2週のうちの機械的要因による脱臼がほとんど

股関節の解剖

解剖や。まぁこのへんはサラッとにするで。

骨盤骨解剖

発育性股関節形成不全の原因と臨床症状

原因としては周産期の乳児で下肢を伸ばした状態でオムツなどをする事が多いと言われとる。以前は出生数の2%程度もおったらしいで。ワシが生まれた1970年代は150万人以上が毎年生まれてたから3万人はおった計算になるな。今はかなり激減してるらしいけどな。

他の原因としては抱っこする時に下肢が伸びてしまってる事もあるらしいで。

臨床症状については、今は乳児検診で発見される事が多くなってるで。USで開排制限や脱臼が疑われてらX線撮影なんかで診断すんねん。

画像所見

発育性股関節形成不全の画像所見

次に画像所見やけど、ぱっと見、大きく脱臼しているもの以外は単純検査やと分からへんで。

詳しくは単純画像上で大腿骨骨幹端の位置をTDD(tear drop distance)の左右差やShenton線・Calve線の乱れなんかを利用して計測したり、臼蓋角を測定したりして診断するんやけど、これが中々大変やねん。

まずちゃんと正面像を撮影出来てる事が条件やしな。乳児はじっとしててくれへん。当たり前やけどな。せやから第1選択としては超音波検査が多いわ。

tear drop distance・Shenton線・Calve線

画像の他にも理学的所見も重要やな。MRIが撮影出来れば色々と情報が得られるんやけど、乳幼児のMRIは難しい事も多いねん。理由は上で述べた通りや。

ちなみにMRIが検査できると関節唇の形態や臼蓋内の脂肪沈着程度、関節軟骨の状態なんかが分かるで。後は合併症の骨頭壊死にも有効やな。脱臼がある症例でMRIで見られる所見はこんなのがあるで。

関節唇の外反あるいは内反と肥大

円靱帯の肥厚や延長

内側関節裂隙の拡大に伴う脂肪組織の増殖

腸腰筋腱による関節包の前方からの圧迫

 

種類

画像所見

発育性股関節形成不全

単純Xp

単純写真正面像にて大腿骨骨幹端の位置をTDD(tear drop distance)の左右差やShenton線・Calve線などを利用して計測したり、臼蓋角を測定したりし診断の助けとする

MRI

関節唇の形態、臼蓋内の脂肪沈着程度、関節軟骨の状態などが分かる

発育性股関節形成不全の臨床画像

実際の画像を見ていこか。この症例はRadiopediaから参照してるで。左股関節に形成不全を認めて、大腿骨骨頭がずれてるのが分かると思うな。

股関節形成不全
Case courtesy of Frank Gaillard, Radiopaedia.org

鑑別診断のポイント

単純性股関節炎 化膿性股関節炎 他

他にTDDが開大するのに単純性股関節炎、化膿性股関節炎があるで。

これらは疼痛や跛行を認めるのとMRIで関節液貯留があるのが鑑別点や。やっぱりMRIが有用な事が多いな。

他には奇形性脱臼もあって、これは両側で脱臼が疑われた場合にその可能性も考慮やするんや。普通は片側の事が多いねんで。具体的にはEhlers-Danlos症候群やLarsen症候群、二分脊椎なんかやで。

初めて聞く病名が多いと思うけど、そういうものがあるんだって感じで頭の片隅に入れておくだけでも大丈夫や。

他の股関節関連の疾患はこの辺を覚えておきーや。

まとめ

今日は発育性股関節形成不全をやったで。ポイントは2つや。

原因は後天性の事が多く、日頃から足がM字になっているかどうかがキーポイント

MRIを撮影する事が難しいので、USが第1選択になる他、単純写真も診断の参考になる事がある

こんな感じや。軽微なものは単純写真では分からへんのと、大腿骨骨幹端や臼蓋角を測定したりする為に正確な正面像が求められるで。MRIが撮影出来れば得られる情報量は多いんやけど撮影に耐えられるかどうかやな。

ただ、赤ちゃんは泣くのが仕事みたいなもんからな。仕方あらへん。でもたまに見せる笑顔パワーその分ハンパないで。

って訳で今日はここまでや。

ほな、精進しいやー!