十二指腸癌(duodenal carcinoma)

いたたた・・・昨日から腹痛が治まらない。
何か変なものでも食べたかな。

おぬし、それは十二指腸潰瘍やで。
自分ストレス凄そうやもんなぁ。

適当に言わないで下さいよ。
てか、本当にそんな気がしてきた・・・

十二指腸癌(doudenal carcinoma)とは

十二指腸癌の概要

奇しくも今日の議題は十二指腸についてや。とは言っても、十二指腸癌についてやけどな。

まず、十二指腸癌とはなんぞやから話していくで。

そもそも十二指腸は小腸に分類されてんねん。小腸は「十二指腸」、「空腸」、「回腸」の3つを総称したものやで。

ほんで小腸癌の多くが十二指腸癌や。ついで空腸癌、回腸癌の順に多くなるで。幸いにも十二指腸は内視鏡検査で観察できるから空腸、回腸と比較して発見しやすいってのはあるな。

ただ早期の場合は自覚症状があらへん事が多くて、症状が出てくる頃には進行癌の状態になっている事もしばしばやねん。

小腸悪性腫瘍には神経内分泌腫瘍、腺癌、悪性リンパ腫、肉腫なんかがあるんや。組織分類としては十二指腸癌は腺癌が多いで。

ちなみに十二指腸乳頭部に出来た癌は胆嚢癌に分類されるから注意やで。

  • 概要
    • 十二指腸は小腸の一部で、小腸は十二指腸、空腸、回腸に分類される
    • 小腸癌は十二指腸が45%、空腸が35%、回腸が20%の割合で発生する
    • 神経内分泌腫瘍、腺癌、悪性リンパ腫、肉腫が組織型としてあり、十二指腸癌、十二指腸GIST、平滑筋肉腫、神経鞘腫などがある
    • 神経内分泌腫瘍が1番多く、次いで腺癌が多い
    • 十二指腸乳頭部に発生するものは十二指腸乳頭部癌と呼び胆道癌に分類される
    • 年間の罹患数は少なく希少癌に分類される
    • 早期は自覚症状が無く、進行すると食事通過障害や腹部膨満間、嘔吐などが出てくる

十二指腸乳頭部癌については、こっちを参考にしてな。

十二指腸(消化管)穿孔

上記に加えて、十二指腸は消化管穿孔がおきる部位でもあんねん。原因は潰瘍が最多やな。もちろん腫瘍性によるものもあるで。

潰瘍が出来て穿孔する事で画像上ではフリーエアーが認められるようになんねん。これは早めに治療せんと、穿孔部位から漏れ出た消化物によって敗血症になる事もあるから、注意が必要なんやで。

消化管穿孔についてはこっちを確認しておいてや。

十二指腸の解剖と役割

十二指腸の解剖

十二指腸は、胃の幽門部からTreitz’s 靱帯までの部分を指して、大きく分類すると小腸の一部なんや。小腸は十二指腸、空腸、回腸に分類されとる。

ちなみに十二指腸は十二指腸球部、下行部、水平部、上行部と分けられて、長さはおおよそ25cm程度や。

十二指腸の断面は胃とほぼ同じで、粘膜層、粘膜下層、(固有)筋層、漿膜の順に構成されとるで。

名前の由来は指の幅の12本分に相当するかららしいけど、ホンマなんかな。

消化管解剖
消化管解剖
消化管解剖

十二指腸の役割

十二指腸の役割は、胃で消化されたものを腸管で吸収しやすい形にする場所やで。

消化食物が十二指腸に入ってくる事で粘膜が刺激される事で、胆嚢が収縮したり膵臓から膵液を出したりしてるんや。

ちなみに胃酸は強い酸性やけど、胆汁や膵液はアルカリ性でこれを混ぜる事で中和するという役目もあんねん。そのまま送ったら小腸が酸でやられてまうで。

十二指腸癌の原因と治癒率

十二指腸癌の原因

十二指腸癌の原因は明確なものはまだ解明されてへん。

ただ十二指腸腺腫から変化する事が多い事や、家族性大腸腺腫の場合には可能性が高くなるってのは分かってるで。

十二指腸癌の治癒率

生存率については小腸癌のデータになるけど、国立がん研究センターから5年生存率が次のように出てるで。Ⅲ期以降になると、生存率がガクッと下がるのが分かるな。

部位的な問題で、十二指腸癌については内視鏡検査で観察するからまだ発見もしやすいんやけど、その先の空腸、回腸ははなり難しいねん。

カプセルタイプのカメラなんかもあるけど、それで見つかるようになるともう少し数字も改善してくると勝手に期待しとる。

  • 小腸癌の5年生存率 ⇒ Ⅰ期:80.8% ⅡA期:85.8% ⅡB期:77.8% ⅢA期:51.6% ⅢB:20.8%

十二指腸癌の治療法

治療については基本的に大腸癌に準じたケースが取られる事が多いとの事や。

手術が第1選択で、進行した状態で見つかった場合は化学療法になるケースが多いな。抗がん剤で癌を小さくして切除可能な大きさにしてから外科的手術をするという流れや。

ただこれも全員に該当する訳やなくて、抗がん剤治療しても小さくならへん場合もあるらしいで。

一方で早期の場合は内視鏡切除術で終わる事もあるから、やっぱり早期発見が重要やな。

十二指腸癌のTNM分類

次にTNM分類とステージ分類についてや。表にして作っておいたから見ておいてくれや。

UICC-TNM分類(第8版)を参考にしてるで。

T分類T1T2T3T4
T1a:癌が粘膜内にとどまっている T1b:癌が粘膜下層にとどまっている癌が固有筋層にとどまっている漿膜下層か腹膜化されていない部分の筋周囲への浸潤臓側腹膜を超えるか多臓器浸潤がある
N分類N0N1N2
リンパ節転移なし所属リンパ節内にリンパ節転移が1~2個所属リンパ節内にリンパ節転移が3個以上
M分類M0M1
遠隔転移なし遠隔転移がある
                        UICC-TNM分類 第8版を参考に作成
N0N1N2M
T1ⅢAⅢB
T2ⅢAⅢB
T3ⅡAⅢAⅢB
T4ⅡBⅢAⅢB
UICC-TNM分類 第8版を参考に作成

十二指腸癌についての概要はこんな感じや。一部小腸癌も含んだけど、合わせて頭の中に入れておいてもらえるとええで。

画像所見

十二指腸癌の画像所見

次に画像所見についてや。十二指腸癌は基本的に内視鏡や胃造影検査で発見される事が多いのは何度も言ってる通りや。

X線透視画像で、辺縁不整の潰瘍形成病変や狭窄しているような所見ががあった場合は癌を疑う必要があるで。

CTは同心円状、もしくは左右非対称な腸管壁肥厚が典型的な所見と言われとる。FDG-PET検査はステージングで検査する場合がほとんどや。リンパ節や遠隔転移の診断に使ったりするで。

  • 十二指腸癌の画像所見
    • 基本は内視鏡は胃透視で辺縁不整の潰瘍性病変
    • CTでは同心円状、または左右非対称の壁肥厚が特徴的
    • FDG-PETではリンパ節転移、遠隔転移診断に有効である

実際の症例

さて実際の症例や。

60代女性で腹部不快感の精査で十二指腸癌、肝転移と診断された例や。十二指腸に造影効果を認める5cm大の大きさの腫瘤があると思う。

化学療法を施行する事になったで。

腹部CT/MRI-十二指腸癌
上段:腹部造影CT 下段:腹部造影MRI

この症例は70代男性で黄疸の精査で発見された例や。

単純CT画像で十二指腸に4.5cm大の腫瘤を認め、癌と診断されたんや。その後に施行されたFDG-PETでは局所への集積と肝転移も認めたで。

FDG-PET-十二指腸癌
左:腹部CT 右:FDG-PET画像

鑑別診断のポイント

潰瘍、良性腫瘍など

鑑別疾患やけど、これは潰瘍や良性腫瘍、近隣臓器由来の浸潤なんかがあるで。

他の部位の腫瘤が大きくなると十二指腸乳頭癌との鑑別も困難になる事が多いで。膵癌や胃癌なんかが大きくなって画像上でどちらが原発なのかが分からないケースが該当するで。

良性腫瘍の種類は、腺腫や平滑筋腫の頻度が高いねんけど、レアケースとしてBrunner(ブルンネル)腫瘍(腺腫)、線維腫、脂肪腫、嚢腫などがあるで。

Brunner腫瘍

Brunner腫瘍はBrunner腺の過形成で腫瘤を形成したものや。さっきレアケースと言ったんやけど、十二指腸良性腫瘍の中では最も高頻度やで。

腺組織による隆起性病変を認めるにも関わらず、腺腫としての特徴をあまり持ってへんのが特徴や。そのため腺腫、過誤腫、過形成結節という呼び方をされる事もあるで。

まぁ、マメ知識や。

十二指腸潰瘍

他の消化器系の悪性腫瘍

他の消化器系の悪性腫瘍については以下を参考にしてくれや。

まとめ

今日は十二指腸癌についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。

早期は無症状で、進行し大きくなると腹部不快感や黄疸などが出てくる

十二指腸乳頭部癌は胆道癌として扱われる点に注意

CTやFDG-PETでは病期診断が主な検査目的

こんなところかな。自分の胃痛原因も早く調べておいた方がええで。もしかしたらって事もあるしな。

ちなみに癌になった人がまず思う事を教えたろか。それは「まさか自分が」って言葉やねん。

やっぱ心のどこかでは、「自分に限って」って思いがあるんやろな。

さて、今日はこれくらいで終わりするで。

ほな、精進しいやー!

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