「必要なのは勇気やなくて覚悟」、ワシの好きな言葉や。
いきなりなんですか?好きな言葉とか聞いてないんですけど。
覚悟を決めれば物事は動きだすんや!
面倒な事考えてないで、取りあえず覚悟だけ決めて後から色々考える。悩んでいる時間がムダや。
取りあえずやってみて、それから考える。っていうかやりながら考えるんや!
そうやってきた事でワシは過去、大学受験3回失敗という実績をたたき出しとるんやで!
やけど後悔はしてへんし、これからも自分に正直でいたいと思う!せやから、せやからや!今日のレクチャーはめんどくさくなったから無しにするで!ワシの覚悟の現れや!
ダメです!
もくじ
硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula:dural AVF)とは
硬膜動静脈瘻の概要
冗談やながな、冗談。よし、早速始めるで。なんか逆にテンション上がってきたわ!今日は硬膜動静脈瘻や。もちろんこの病名は知っとるよな?
すみませんが初耳です!
・・・いつもならキレ散らかすとこやけど、今日は大目に見たるわ。
硬膜動静脈瘻はその名の通り硬膜に発生する動静脈の短絡や。
通常は硬膜の中やと動静脈は繋がらへんのやけど、何らかの原因で繋がってしまってる事やで。原因の1つとしては外傷や術後変化などが考えられてるな。
7割が40~60代で発症、かつ女性に多いというデータがあるで。
AVMとの違いは、動脈と静脈のシャントが硬膜上にあるか脳実質内にあるかの違いや。硬膜上にあるのが硬膜動静脈瘻(dural AVF)、脳実質内にあるのがAVMなんやけど、1番見分けがつくのがnidusの有無や。NidasがあるとAVMやで。
ちなみにdural AVFの流入動脈は硬膜動脈でNidusを形成せずに脳静脈へ流入するねん。基本的に単発で多発は稀や。
Dural AVFの分類
Dural AVFの分類はLalwani分類、Cognaed分類、Borden分類なんかがあるで。どれも静脈側の形態で分類してんねん。なんで静脈側かというと、治療選択に静脈側の分類が必要不可欠やからや。これまでの概要を表に纏めておいたで。
臨床症状 | 分類 | 特徴 | |
---|---|---|---|
硬膜動静脈瘻 | 横静脈洞からS状静脈洞は血管雑音や頭痛、脳出血 海綿静脈洞の場合は眼球突出や血管雑音など | Lalwani分類、Cognaed分類、Borden分類などがある どれも静脈側の形態が分類ポイント | 硬膜内でシャントが出来る事 後天的でAVMとの違いはnidusの有無とシャントの部位、硬膜内がdural AVFで脳実質内がAVM 中年女性に多い 好発部位は横静脈洞からS状静脈洞に60%で海綿静脈洞部で~30%、ほか上矢状静脈洞 CCF≒dural AVF |
治療法としては、カテーテル、外科的手術、放射線治療なんかがあるで。基本的にカテーテル治療が選択される事が多いとの事や。
内頚動脈海綿静脈洞瘻(CCF)
ちなみにCCF(内頚動脈海綿静脈洞瘻)はdural AVFとも言えるで。CCFは外傷性(直接型)と突発性(間接型)があんねんけど、直接型はICAの損傷が原因、間接型は硬膜動脈が原因やねん。せやから突発性はdural AVFとほぼ同じで、CCF≒海綿静脈洞に発生したdural AVFとも言える訳やな。
好発部位は横静脈洞からS状静脈洞が60%、20~30%が海綿静脈洞、上矢状静脈洞の順や。臨床症状は横・S状静脈洞やと血管雑音や頭痛、脳出血、くも膜下出血などで、海綿静脈洞部の場合は眼球突出や血管雑音なんかや。
画像所見
硬膜動静脈瘻の画像所見
次に画像所見についてや。これはAVMの時を参考にすれば分かるやろ?
ええか、画像所見としては、T1強調やT2強調で直接シャント部分を描出させる事は出来ひん。一方でT2強調でflow voidが見える事があって、特に好発部位におけるこの所見はスルーせんようにな。
これが中等度以上のシャントがあるものはMRAで見えるようになるで。硬膜動脈の拡張と流出静脈の抽出やな。ただ注意点としてdural AVFの無い症例でも下錐体静脈洞や海綿静脈洞が抽出される事があるで。間違ってdural AVFと診断せーへんようにな。難しいところやけどもな。
後はMRAの元画で判断が難しい場合は造影するとより分かりやすくなるでな。これもポイントやから覚えておき。
画像所見についても簡単に纏めておいたで。何かあった時の参考にせぇ。
画像所見 | |
---|---|
硬膜動静脈瘻 | 中等度以上のdural AVFはMRAで硬膜動脈の拡張と流出静脈が描出される ※正常でも下錐体静脈洞や海綿静脈洞が描出される事もあるので注意(血流の逆流が原因) T2強調でflow voidとして見える事があるので脳表や脳槽の拡張血管を見逃さないようにする MRAで診断が難しい場合は造影剤を使用すると分かる |
実際の症例
実際の症例や。左小脳硬膜にdural AVFがあるやろ。
別症例や。こちは右にあるな。
鑑別診断のポイント
AVM
続いて鑑別診断や。最初にも言ったんやけどAVMとの鑑別が問題になるで。
AVMとの鑑別はnidusの有無とシャントの部位が需要や。脳実質内にあるか無いかで見極めてや。後は年齢や臨床経過なんかも参考になるからな。
Durl AFVの出来る部位によっては海綿静脈洞瘻(carotid-cavernous fistula:CCF)にもなるで。CCFの特徴は次の通りや。
- 内頚動脈に瘻孔が出来る直接型とそれ以外(内頚、外頚動脈の硬膜枝)の間接型がある
- 鑑別方法は上眼静脈、上錐体静脈洞の拡張の有無(内頚動脈からの瘻孔が上眼静脈や上錐体静脈洞に流入して拡張する)
- 直接型は進行性で間接型はゆっくり
- 臨床症状は眼球突出などの眼症状
- 正常例でも下錐体静脈洞や海綿静脈洞が抽出される事があるから注意(原因は生理的な狭窄で静脈が上向きに逆流する事で尾側の方で信号強度が強くてほとんど左側で見られる事がある)
どれも覚えておくべき項目やで。下は左海綿静脈洞瘻の症例や。MRAの元画で分かりやすいな。
まとめ
今日は硬膜動静脈瘻についてレクチャーしたで。ポイントは2つや。
硬膜動静脈瘻は硬膜動脈と静脈洞が後天的にシャントしている状態
類似疾患にAVMやCCFがありシャントが出来ている部位やnidusの有無にて鑑別する
MRAが有効
これくらいやな。nidusの有無をチェックやで。
さて、今日の冒頭に言った言葉を覚えてるか?勇気やなくて覚悟って言葉や。自分も覚悟を決めんかいな。もう桑さん号という舟に乗ってしもうてんねんやで?ここまできたら放射線科医並に読影が出来るようになってみぃや。
ええか?ええな?よし!
ほな、精進しいやー!