【臨床症状】60代 二日酔いで転倒 その後から頭痛が続いている
【問題】画像所見と診断名は?
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- 前頭葉底部に高吸収域を認める
- 一部低信号域も認めsolt & pepperのようにも見える
- 上記より脳挫傷が疑われる
- また左には陳旧性硬膜下血腫(もしくは水腫)、右には軽微な所見ではあるが新鮮な硬膜下血腫が疑われる
- 骨折線は認めない
- 上記より急性硬膜下血腫、脳挫傷疑いと診断された
【脳挫傷】
・脳挫傷とは、頭部外傷時の衝撃で脳実質が頭蓋骨や硬膜に衝突する事で、脳実質が破壊されている状態のこと
・病態の主体は浮動性変化と出血
・ただし浮動性変化が主体の場合でも、ほとんどの例で出血も伴っている事が多い
・好発部位は、前頭葉底面、側頭葉底面・内側面
・小児では小脳虫部上面や小脳扁桃に起きることもある
・挫傷性変化が外傷部直下に起きるものをcoup injury、外傷部の反対側に起きるものをcontrecoup injuryと呼ぶ
・これは受傷部に外力が加わると、脳実質は頭蓋骨内面に衝突(coup injury)するが、その反動により反対方向へ引き戻され、対側の頭蓋骨に衝突して損傷を受ける(contrecoup injury)ために起こる
・conerecoup injuryの方が頻度は高いと言われている
・画像所見では、浮腫を示す限局した低吸収域の中に出血による高吸収域を認める、solt & pepperを認めることがある
・ただし初期においては所見が軽微な事もあるので見逃さないように注意が必要
<出血性脳挫傷>
・出血性脳挫傷は外傷直後に生じるものと、外傷後数時以上経過してから血種を形成するものがある
・外傷直後のものは血管損傷によるものが多く、前頭葉底面や側頭葉内側・底面、大脳基底核、視床などに起きる
・受傷後数時間~数日後に血種を形成する場合は、受傷直後は意識清明期があり、時間をおいてから意識障害が出現する
参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版