【臨床症状】60代 背部痛 AST:657 ALT:389 γGTP:446 WBC:10300 CRP:12.1 CA19-9:1100
【問題】画像所見と診断名は?
➡ 冠状断
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- 胆嚢に緊満感と壁肥厚を認め、周囲には脂肪組織濃度上昇を認める
- 造影(動脈相)では胆嚢床に早期濃染を認める
- 下部胆管には結石も認め、頭側の胆管を軽度拡張させている
- 上記より総胆管結石による急性胆嚢炎の疑いと診断された
- 他、腎嚢胞、多数の大腸憩室あり
【急性胆嚢炎】
・急性胆嚢炎は、胆石の胆管への嵌頓による機械的障害、胆汁うっ滞による胆汁酸の粘膜障害、さらに細菌感染が加わって発症すると考えられている
・胆石を有している割合は9割以上
・主な臨床症状は腹痛や発熱など
・超音波検査が感度、特異度共に高い
・超音波検査ではMurphy's sign(右季肋部をプローブで圧迫すると痛みで吸気が出来ない)の有無、壁内の多層のsonolucent layerの有無などが診断の助けになる
・CTでは胆嚢の緊満感、壁肥厚、粘膜増強不良などを確認する(胆石の中にはCT陰性のものもある)
・Dynamic早期相で胆嚢床に濃染を認めることもある
・MRI検査では胆石の有無がCTより分かる、
・進行すると壊疽性胆嚢炎になる事もあり、穿孔による周囲膿瘍形成なども見られる
・治療法は外科的切除術、炎症を抑えて待機的に切除術を行うこともある
参考書籍:肝胆膵の画像診断 ‐CT・MRIを中心に‐