好酸球性肺炎(eosinophilic pneumonia:EP)

なんやねん、この胸のドキドキ。息苦しいねん。

おぉ!肺炎ですか?

せやねん。医者から余命1ヶ月って言われてんねん。ゴホッ、ゴホッ・・・
あぁ、死ぬ前にチャーハン食べたい。
ってなんでやねん!そこは「恋」とかやろ普通!

好酸球中肺炎(eosinophilic pneumonia:EP)とは

好酸球中肺疾患

さて、茶番も終わったところで、今日のレクチャーや。

今回は好酸球中肺炎について話していくで。

好酸球性肺疾患は、末梢血や局所に好酸球の増加を認める疾患の総称や。

好酸球は白血球の1種である顆粒球の1つで、寄生虫感染が起きた時にこの細胞が攻撃してくれんねん。好酸球が多くなるとサイトカインを産生して炎症を起こして、その結果、組織障害が起きるという流れや。

またアレルギー反応を起こす細胞としても知られとる。つまり、好酸球性肺炎は、アレルギー性の肺炎という事もできるな。

アトピー素因がある事が多いのが知られてるで。

気管支肺胞洗浄で好酸球が増加しているのが確認できれば診断されるんや。

肺炎分類
  • 好酸球性肺炎
    • アレルギー性の肺炎
    • 肺に異常陰影がある
    • 末梢血または肺内に好酸球の増多を認める

また臨床的な分類は主に次のようなものがあるで。

  • 急性好酸球中肺炎(AEP)
  • 単純性好酸球中肺炎(Loeffler's syndrome)
  • 慢性好酸球性肺炎(chronic eosinophilic pneumonia:CEP)
  • 好酸球増加症候群(hypereosinophilic syndrome:HES)

急性好酸球中肺炎(AEP)

急性好酸球中肺炎は喫煙や薬剤、粉塵などに対する急性過敏性反応や。何らかの抗原吸入に伴って、急性過敏性反応が起きて短時間で呼吸器困難に陥る事もあんねん。

喫煙し始めの若年層が多く、ほとんどが煙草へのアレルギー反応や。

症状は発熱や咳嗽、低酸素症などを発症して急速に進行するねんけど、ステロイドが有効な事が多いから予後も良いで。

原因を取り除けば再発もほとんどせーへん。禁煙いや、喫煙を始めんなよって話やな。

単純性好酸球中肺炎(Loeffler's syndrome)

単純性好酸球中肺炎は、別名Loeffler症候群とも言われていて、症状が軽度(微熱や軽い咳)で無治療で消退するのが特徴や。1週間程度で軽快するで。

原因の多くは、寄生虫、薬剤、アレルギーによるもので、3割程度が特発性や。

画像所見は慢性好酸球中肺炎と似てると言われるで。

慢性好酸球中肺炎(CEP)

慢性好酸球中肺炎も同様に好酸球の増加によるものや。ただ急性との違いは原因不明な事が多いって事やな。数週間から数ヶ月かけて進行するんや。

せやから症状が数週間以上継続している場合もあるんや。風邪が全然治らへんから検査してみたら、CEPやったというケースもあるで。

この慢性好酸球中肺炎は、日常診療で比較的多く遭遇するで。

30~50代の女性に多くて、半数に喘息やアトピーの既往があるというデータもある。

画像所見は、末梢優位の浸潤影やすりガラス陰影や。

好酸球中増多症候群(HES)

好酸球中増加症候群は、次のような状態の事を言うで。

  • 半年以上持続する末梢血好酸球数増加(≧1500/mm³)
  • アレルギー疾患などの2次性好酸球増多を認める疾患が除外されている
  • 好酸球浸潤による臓器障害がある

HESの40%程度に肺病変が認められると言われてんねん。

画像所見では、限局性やびまん性のすりガラス陰影、結節、胸水などや。

肺の解剖

肺の簡単な解剖も載せておくで。この辺りは別で話したから、そっちを見てもらえるとええな。

肺解剖

画像所見

各々の画像所見

さて、これからは各々の画像所見についてや。

急性好酸球中肺炎(AEP)

AEPはびまん性すりガラス陰影と小葉間隔壁、気管支血管束の肥厚が代表的な所見やで。胸部単純X線やと、一見すると肺水腫と似たような画像になんねん。

crazy-paving appearanceや小葉中心性の粒状影、両側胸水や軽度リンパ節腫大も認める事が多いで。

慢性好酸球中肺炎(CEP)

慢性好酸球性肺炎(CEP)にも特徴的な所見があって、単純X線やと、photographic negative of pulmonary edema(肺水腫と逆の陰影分布)があったり、CTやと胸壁に並行に線状(索状影)が認めんねん。特にCTの所見は特異的やで。

また経過観察中に肺陰影が移動する(実際には病変が治まって、違う部位に出現している)のも特徴的や。

ただ基本的に特発性器質化肺炎(COP)と似たような所見やから、両者の鑑別は難しいと言われとる。

ちなみに、単純性好酸球中肺炎(Loeffler's syndrome)もCEPの画像所見に似てんねん。

画像所見まとめ

  • びまん性すりガラス陰影
  • 小葉間隔壁の肥厚
  • crazy-paving appearance
  • 胸水や軽度リンパ節腫脹
  • 慢性好酸球中肺炎では、胸壁に並行に線状(索状影)

実際の症例

実際の症例をみていこか。

30代女性で、咳嗽、体重減少、微熱や。急性好酸球中肺炎と診断された症例で、両肺にすりガラス陰影が確認できるで。

ステロイド治療後やと陰影が無くなってるのが確認できるな。

急性好酸球中肺炎

Case courtesy of Abdallah Al Khateeb, Radiopaedia.org. From the case rID: 48211


次の症例や。

40代男性で、数か月継続する息切れ、咳嗽、発熱や。両上肺抹消に浸潤影が確認できるで。好酸球中増加、真菌陰性にて慢性好酸球中肺炎と診断されて、ステロイド治療されてるで。

Case courtesy of Henry Knipe, Radiopaedia.org. From the case rID: 39331

鑑別診断のポイント

鑑別診断について

鑑別診断のポイントや。AEPは肺水腫やウィルス性肺炎、急性間質性肺炎なんかがあるで。

喫煙歴や薬剤使用歴が鑑別に重要や。

まとめ

今回は好酸球中肺疾患をやったで。ポイントは3つにしとこか。

好酸球性肺炎はアレルギー性の肺炎のこと

AEPは喫煙歴の有無、画像所見はびまん性すりガラス陰影と小葉間隔壁、気管支血管束の肥厚

CEPは数か月の症状と、CTで抹消優位の所見(胸壁に並行に線状(索状影))や、移動する陰影など

こんな感じやな。肺炎シリーズも中々ボリュームが多いで。

これで肺炎は一段落ですかね。

まだ教えてへんやつもあるし、他にもまだまだあるわ。これらも機会を見て話していこうかと思うとるわ。
さて、今日はこの辺にしよかな。

ほな、精進しいやー!

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