外傷(external injury)

アカン。マジでアカンわ。

どうしたんですか?

今日は導入部分の「ほとんどは雑談で忘れてもいいけど、たまにちょっと為になる時もあるかもね話」が何も思いつかへん。

まぁたまには冒頭部分が無しでもええやろ。

今日は外傷関係についてレクチャーしてくで!早速始めていこか!

外傷(external injury)とは

外傷の概要

さて、今日は頭部外傷についてやっていくで。外傷は脳出血のページとかぶる事もあるから、今回は硬膜下血腫と脳挫傷、びまん性脳損傷、脂肪塞栓についてやっていこうと思う。今回はこれらをまとめてやってくで。

各疾患の特徴

まずは各疾患の概要からや。1個1個話していってもええんやけど、膨大になるから最初に表でまとめておいたわ。これをベースに話していくで。

外傷の種類内容
硬膜下血腫外傷などにより硬膜とくも膜の間に血液が貯留した状態
急性硬膜下血腫と慢性硬膜下血腫がある
架橋静脈の破綻による
骨縫合を超える場合もある(硬膜外血腫は超えない)
硬膜下血腫を合併する事もある
脳挫傷外傷などにより脳実質に直接的な損傷を来した病態
頭蓋骨と脳実質が衝突して発生する
外傷部直下の脳表挫傷(coup injury)と反対側に生じる挫傷(contrecoup injury)がある
外傷部、前頭葉、側頭葉底部が好発部位
びまん性脳損傷粗大な占拠性病変が無いにも関わらず意識障害がある病態
脳振盪、びまん性脳腫脹、びまん性軸索損傷(duffuse azonal injury:DAI)の3つがある
原因は外傷圧力がほとんど
臨床的に受傷直後からの重篤な意識障害とCTで責任病変が認められない場合にDAIを疑う
3大好発部位は大脳皮髄境界、脳梁、脳幹
拡散強調が感度が高い
脂肪塞栓血中の微小な脂肪滴が細小血管を塞栓し重篤な臓器障害を来す合併症
fat embolism syndrome:FESとも言う
骨盤や四肢の長管骨の骨折後に生じやすいと言われている
受傷後14~48時間の潜伏期を経て発症する事が多い
肺や腎臓などにも発生するが脳の場合は週末領域梗塞に類似した分布、もしくはshower embolismの微小塞栓を認める事が多い
大脳皮質、基底核、脳幹、小脳が代表的な部位

本来なら1個ずつ取り上げてもええくらいのやつやから、かなりのボリュームやな。

硬膜下血腫

まずは硬膜下血腫についてや。これは外傷だけに起きるもんやないで。他の原因でも起きる事があるんや。硬膜に癒着している動脈瘤やAVMなんかが原因の事もあるな。頻度としては少ないけどな。

参考までに硬膜下血腫と硬膜外血腫の違いについてや。頭部は外側から頭蓋骨、硬膜、くも膜、軟膜、脳実質となっとるのは知ってるよな?この硬膜とくも膜の間に血腫が出来るのが硬膜下血腫、頭蓋骨と硬膜の間に血腫が出来るのが硬膜外血腫や。

字の通り、硬膜の外に出来るか内側に出来るがで分かってくるんや。なかなか画像上では見分ける事が難しい場合があるんやけど、縫合線を超えるかどうかで判別可能や。硬膜下血腫は縫合線を超えて進展するで。脳ヘルニアを起こす頻度も高いねん。

忘れてた人は、これを機にあやふやな点をハッキリさせとくとええで。いざ実際の臨床となった時に使えへんからな。

脳挫傷

次は脳挫傷やけど、これは上に書いてある通りや。受傷側の損傷だけやなくて反対側も見る必要があることに注意や。反対側の挫傷をcontrecoup injuryと呼んでるで。

これは衝撃によって1回脳が振られて反対側の頭蓋骨にぶつかる事で負傷すんねん。点状出血を認める事が多いから、T2スターやSWIなんかも有効やで。

びまん性脳挫傷

次はDAIやな。3つのパターンがあるのは上で話した通りやけど、びまん性脳損傷=DAIという認識が一般的やから覚えておくとええで。

DAIの特徴は受傷直後からの重篤な意識障害や。意識清明期があってからの意識障害は他の原因の事があるから注意やで。

原因は外傷などによる脳の捻れで脳実質間の違う密度の部分に損傷が起きるんや。

脂肪塞栓

次は脂肪塞栓やな。原因は上の表で述べた通りや。何らかの要因で血液内の脂肪が脂肪滴になったり、損傷などにより骨髄などの脂肪が入り込むためと考えられてるわ。

FESの死亡率は10~20%程度やと言われてて、典型的症状としては全身皮膚の点状出血、呼吸困難と低酸素症、赤血球や血小板の減少、意識障害、痙攣、麻痺なんかやな。

後は外傷で鑑別にあがるのは脳出血や骨折なんかやな。

画像所見

外傷の画像所見

画像所見についてやで。これも表でまとめておいたから1度目を通しておいてくれや。

種類画像所見
硬膜下血腫CTで三日月状の高吸収域が特徴
脳脊髄液の混濁により血腫の信号強度は不均一な事がある
脳挫傷CTでは出血部位が高信号になる
MRIでは脳実質の浮腫と点状出血を反映してT2強調やFLAIRで高信号を示す
点状出血にはSWIやT2スターが有効
びまん性脳損傷拡散強調で小点状の高信号を呈してADCは低下する
受傷後1週間程度でT2強調やFLAIRでの高信号化する
30~50%で微小出血を伴いSWIやT2スターで低信号を呈する
脂肪塞栓急性期にはT2強調やFLAIR、拡散強調で多発性の癒合傾向を認めない円形状の高信号域
微小出血もあり等にSWIが抽出に優れる

実際の症例

実際の画像を見ていこか。

まずは硬膜下血腫や。両側に若干の高吸収の三日月状の所見を認めるで。

頭部CT-硬膜下血腫

MRIの画像や。左側に慢性硬膜下血腫を認めるで。ちょっと話しはずれるけど、硬膜下血腫は三日月状の所見、硬膜外血腫は凸レンズ型を示す事が鑑別ポイントになるで。

頭部MRI-慢性硬膜下血腫
上段左からDWI、T2WI、T1WI、下段左からFLAIR、T2スター、T1WI冠状断

次は脳挫傷の例や。これは交通外傷で検査した例で、前頭葉にやや高吸収を認めるで。

頭部CT-脳挫傷

DAIと脂肪塞栓は適当な画像が見つからんかったから各々でネットで検索するなりしていてな。ちなみにDAIは脂肪塞栓と重なる部分が多いから注意が必要かもしれんな。もちろん併発している場合もあるで。

鑑別診断のポイント

各々の鑑別ポイント

鑑別は硬膜下血腫は硬膜外血腫、硬膜下水腫とが必要やし、脳挫傷はDAIやラクナ梗塞との鑑別が必要になる事があるな。ただ上でも言ったけど、両者が合併してる場合もあるから注意するんやで。

何か1つ所見を見つけても安心せん事や。実はもっと重要な所見が出てる場合も十分にあるからな。

まとめ

今日は外傷についてレクチャーしたで。今日は4つの症例をやったからポイントはサラッとや。

個々の概要

個々の画像所見

これらを覚えておき。言葉でいうのは簡単やけど、実際に覚えるのはメチャ大変やからな。何から覚えればええか分からん人は、上で出した2つの表を覚えてもらえればOKやと思うで。

さて、だいぶ多くのレクチャーしてきたけど、今までの内容って覚えてるか?

忘れる程度の目安としてエビングハウスの忘却曲線ってのがあるんや。これは覚えなおしにどれくらい必要だったかの節約率をグラフにしたもんなんやけど、だいたい1日後で33%なんや。

これはどういう事かっていうと、覚えた事をもう1度記憶するまでの時間が1回目時の67%で出来るって意味なんや。例えば英単語帳1ページを1時間で覚えました。その1日後に覚え直ししようとした時は40分くらいで出来るでって事なんや。

2回目は効率良く覚えられるんやな。ほんで何回も繰り返していく内に長期記憶ゾーンに定着していくねん。

つまり定期的に復習せーよって事や。

せっかく覚えても忘れてしまったらもったいあらへんからな。

ほな、精進しいやー!