椎間関節骨膜嚢胞(facet synovial cyst)

なぁ、残業って1日にどれくらいまで出来る?

僕は30分も無理ですね。ゲームの時間が無くなるし。

ワシもや。ゲームの事やないで?残業の事やからな。

でも世の中には4~5時間でも残業する人がおんねん。メッチャ疑問なんやけど、8時間働いた後で4時間も集中が持つんかなって思うんよ。ワシの仕事の読影って結構脳みそ使うんよ。アレコレ考えながら所見を拾っていく訳やからな。ぶっちゃけ1日で10時間とか無理やねん。8時間がギリやねん。絶対所見漏れが出てくんねん。

たまに今日も残業だよって言ってる人を見かけると、ホンマに仕事してるん?って思ったりもするわ。考えて仕事する事って、そんなに長時間続けられへんねんと思うねんけどな。

まぁええか、脳のキャパが余ってる内に、今日のレクチャーに進むで。

椎間関節骨膜嚢胞(facet synovial cyst)とは

椎間関節骨膜嚢胞の概要

今日は椎間関節滑膜嚢胞についてレクチャーするで。

椎間関節滑膜嚢胞は椎間関節の変性や炎症で発生すると言われてるんやけど、外傷や黄色靱帯変性なんかも関係してるって話しやで。

中年男性に多くて、頚椎や腰椎に発生すんねんけど、L4-5が1番頻度が高くて、別名、傍椎間関節嚢胞とも言ったりするな。

画像上で椎間関節との連続性が確認出来れば診断は容易なんやけど実際は難しい場合も多いで。以下が概要や。

概要
椎間関節滑膜嚢胞椎間関節の変性によって生じる
嚢胞傍椎間関節嚢胞(juxtafacet cyst)、椎間関節嚢胞(facet cyst)とも言ったりする
画像上はガングリオンと鑑別が難しい事が多く同意義で使われる事も多い
L4-5に発生頻度が最も高く、次いでL5-S1、L3-4、他に頚椎にも発生する事もある
中年男性に多い
発生機序は明確ではないが椎間関節の変性や外傷などが関係していると考えられている

椎体の解剖

次に椎体の解剖や。まぁそんなに難しい事はあらへんやろ。

椎体解剖

椎間関節骨膜嚢胞の原因と臨床症状

椎間関節滑膜嚢胞の原因やけど、基本的に分かってへん。可能性として椎間関節の変性や炎症、外傷なんかが関係してるとも言われとる。

臨床症状については、神経根症状、腰痛、跛行、筋力低下、知覚障害などの神経症状がメインや。脊柱管狭窄症と同様に前屈みになると症状が軽快する傾向があるらいしで。ただ嚢胞の大きさによっては症状があらへん人もおるで。

治療法は保存療法と外科的療法や。まずはコルセットやブロック注射などを実施すんねんけど、これでも改善せーへん場合は外科的に片側椎弓切除術、嚢腫切除術、後方固定術なんかを実施する場合があるらしいで。

画像所見

椎間関節骨膜嚢胞の画像所見

次に画像所見についてやで。嚢胞成分やからな単純写真やと分からんで。CTでもあまり分からん。MRI一択や。

MRIでの嚢胞信号強度パターンはT1強調で低信号、T2強調で高信号なのが一般的やけど、出血や蛋白などがある場合があって、その時は様々な信号パターンになるで。大まかな特徴や。

画像所見
椎間関節滑膜嚢胞円形、もしくは類円形の腫瘤
単純写真やCTでは分かりづらい(CTではミエログラフィーが有効な事もある)
MRIでは基本的にT1強調が低信号、T2強調が高信号の嚢胞パターンだが、出血や蛋白があると様々な信号パターンになる
辺縁部はT1強調、T2強調共に低信号になる
液面形成や嚢胞壁に石灰化を認める事もある
造影すると嚢胞壁が濃染する

実際の症例

次は実際の所見や。この例は70代女性で辷り症の精査でMRIを実施したんや。L4-5に着目や。

腰椎MRI-椎間関節骨膜嚢胞

左の椎間関節から嚢胞が脊柱管内に突出しているのが分かると思う。それによって脊柱管狭窄症と、若干のL4の前方辷りを来してるのが分かると思うで。


これは50代女性で腰痛、下肢の痺れ精査でMRIを実施した人や。右L5神経根に接する形で嚢胞成分を確認出来ると思う。こっちはT2強調で高信号のパターンやな。

腰椎MRI-椎間関節骨膜嚢胞2

鑑別診断のポイント

類似病変

次に鑑別診断のポイントや。鑑別診断には脊柱管内に発生する類似病変があるで。具体的には次の通りや。

椎間関節から発生しているかどうかが分かれば診断は容易やな。

鑑別疾患
椎間関節滑膜嚢胞黄色靱帯血腫、椎間板嚢胞、後縦靱帯ガングリオン、髄膜嚢胞、神経鞘腫など

まとめ

今日は椎間関節滑膜嚢胞についてレクチャーしたで。ポイントは2つ。

L4-5に最も多く発生し、MRIでは基本的に嚢胞成分の信号強度

椎間関節腔との連続性を認めれば診断が容易

ただ椎間関節との連続性は通常は認められへん事の方が多いで。これも注意点やな。

普段なんとなく検査しているとヘルニアかなーくらいで終わってたのが、こうやってレクチャー受けると次回遭遇した時に全然違うやろ?同じ脊柱管狭窄でも色々な原因があんねん。原因次第で治療法も変わってくるからメチャ重要なんやで。ボケっと検査してるとアカンよ。

さて、就業時間も迫ってきたし、今日はこの辺で終わりにしよか。

ほな、精進しいやー!