大腿骨頭壊死(avascular necrosis of the femoral head)

今日は突発性大腿骨頭壊死について話していこかと思うてんねんけど、実はこの病気って指定難病の1つやって知ってた?

いえ、お恥ずかしながら知りませんでした。

若い人も罹患する事があって、いくつか原因らしきものは分かってきてるらしいねんけど基本的に予防法や治療法があらへんらしいで。

壊死して潰れてしもうたら、骨切り術か人口関節にするしかあらへんとの事や。早めに見つかれば経過観察になる事もあるらしいけどな。色んな病気があるもんやで。

大腿骨頭壊死(avascular necrosis of the femoral head)とは

大腿骨頭壊死の概要

今日は大腿骨頭壊死についてや。

大腿骨頭壊死は原因がはっきりしている症候性骨壊死と原因不明の突発性骨壊死に分類されるで。

症候性骨壊死は骨折や放射線治療の影響などが原因で、突発性骨壊死はアルコール多飲とステロイド剤の投与の2つが原因として知られてるな。ちなみにアルコールとステロイドの2つを除外して、それ以外を突発性骨壊死と呼ぶ事もあるらしいで。これらは何らかの原因で大腿骨頭の血流障害が起きて壊死になってまう病態や。動脈損傷や塞栓などが言われてるんやけど、まだ確立はされてへん。つまり原因が不明って事や。

治療法は患者背景や年齢、進行度を加味して保存療法か手術療法になるで。

保存療法は予後が良い場合に適応で生活指導や杖の使用などで免荷を行いながら様子を見ていく形らしいねん。

手術療法は症状があって圧潰の進行が予想される時に適応になるらしいで。進行度によっては人工関節置換術になる事もあるらしいねん。

ここまで簡単にまとめるで。

 

種類

原因

大腿骨頭壊死

症候性骨壊死

骨折や放射線治療などによるもの

突発性骨壊死

原因不明のもの

アルコール多飲とステロイド剤が知られているがこの2つを除外する事もある

治療が長期になる事もしばしば

大腿骨の解剖

次に大腿骨の解剖や。この辺は学生の時にやったと思うから簡単にサラッと流す程度にするで。忘れてしもーた人は下の図を見て思い出しておいてくれや。

股関節解剖

大腿骨頭壊死の原因と臨床症状

原因は概要の所で述べた通りや。骨折なんかの明らかな原因が判明しているものを症候性骨壊死、原因が不明なものを突発性骨壊死と呼んでるわ。

臨床症状は歩行時の痛みが1番やな。痛みがある段階になるとかなり進行してる事が知られてるで。

実は骨壊死が発症した時は痛みなどの自覚症状はあらへんくて、痛みなどの症状発生は大腿骨頭に圧潰が出来た時やねん。ほんで骨壊死が起きてから自覚症状を認めるまでには数ヶ月から数年の時間差があるらしいで。せやから骨頭壊死の期間が数ヶ月以上続いて骨頭が潰れていくって流れになるんやな。

画像所見

単純写真の画像所見

次に画像所見やな。

単純写真ではある程度進行すると骨硬化像や透亮像、骨折や圧壊を認めるで。単純写真では早期診断は難しい事が多いわ。壊死に伴う骨折は関節面直下の軟骨下に起きやすいといわれてるで。軟骨下骨に円弧状の透亮像を認め、crescent signと呼ばれとる。

crescent sign
Case courtesy of Maulik S Patel, Radiopaedia.org

なるほど。こんな感じの単純写真で見えるんですね。

早速チェックしとるな。ええな。今は便利な時代になったもんやで。スマホ1つで簡単に検索できるからな。ネットが無かった時代は参考書がある部屋まで行って調べてって事をやってたんやで。おっと、話がわき道にそれたな。

MRIの画像所見

次にMRIの所見や。

MRIの壊死骨所見は円弧状や蛇行上の低信号に囲まれた領域として描出されるで。これはバンド像とも言われとる。他には骨髄浮腫も認める事も多いな。あとはT2強調で低信号域の内側に高信号縁があって、これを二重線縁(double line sign)と呼んでるわ。これは突発性骨頭壊死に特徴的な所見やと言われてたんやけど、ケミカルアーチファクトの関与とも言われとるな。ただ重要な所見であるのは間違いあらへん。

double line sign
double line sign

ここまでのまとめや。

 

種類

画像所見

大腿骨頭壊死

単純Xp

早期での診断は難しい

ある程度進行すると骨硬化像や透亮像、骨折や圧壊を認める

壊死に伴う骨折は軟骨下骨に円弧状の透亮像、crescent signと呼ばれるサインがある

MRI

壊死骨は円弧状の低信号域として描出され骨髄浮腫も認める

2強調で低信号域の内側に高信号縁があり二重線縁(double line sign)と呼ぶが、ケミカルアーチファクトが関係しているとも言われている

実際の症例

40代女性の例や。歩行時の疼痛精査でMRIを実施してん。

両側大腿骨頭の荷重面にT1強調像で地図状(帯状)の低信号域をみとめる事から大腿骨頭壊死が疑われたんや。加えて荷重面はやや扁平化しているし、大腿骨頭~頚部の骨髄内にはSTIRで高信号域も認めるから軽度の圧潰疑いとの所見になったで。

その後に大腿骨頭壊死の診断となったわ。

股関節MRI-大腿骨頭壊死
上段左からT2強調、T1強調、T2脂肪抑制
下段左からT2強調横断像、T1強調横断像

別の大腿骨頭壊死の症例や。左は異常なしで右の大腿骨頭壊死やで。

股関節MRI-大腿骨頭壊死

MRIやと骨髄浮腫も描出できるからな。情報量としては1番多い検査や。

ちなみに壊死部周囲の大腿骨頭~頚部に骨髄浮腫を認める場合、股関節痛や骨頭圧壊の頻度が高い事が報告されてるらしいで。

鑑別診断のポイント

一過性大腿骨頭萎縮症 大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折

鑑別診断は一過性大腿骨頭萎縮症、大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折やな。

これらの鑑別は分かりやすいもんがあったから載せとくわ。参考までに一過性大腿骨頭萎縮症は関節裂隙の狭小化を伴わない一側大腿骨頭の骨粗鬆化や。数ヶ月で回復するで。大腿骨頭脆弱性骨折はMRIで線状の低信号を認めて肥満傾向の女性に多いと言われとる。多くは自然軽快するんやけど、一部で進行して骨頭破壊を来す事もあるんや。

一過性大腿骨頭萎縮症 大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折

他にはこの辺も確認しといてや。

まとめ

今日は大腿骨頭壊死についてレクチャーしたで。ポイントは2つや。

crescent signやdoble line sginなど特徴的な所見を覚えておく

鑑別疾患に一過性大腿骨頭萎縮症と大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折、大腿骨頭壊死の3つがあって、それぞれ画像所見がある

簡単にいうと各々の画像所見を覚えておけって事や。一過性と脆弱性骨折は原因不明の事もあるからな。

あとは臨床経過やエピソードも重要やな。放射線治療を受けたとかステロイドを使ってるとかがあれば診断の重要な助けになるで。

情報は出来るだけあった方が画像診断の助けになるのは間違いないって事や。

さて、今日はこれくらいにしよかな。

ほな、精進しいやー!