画像確認の流れ

基本的な読影の流れ

ここでは読影の流れ的なものを記載していくで。
あくまでワシの場合やから、個人差があるのを前提で見ていってくれや。

まず検査目的を確認する(電子カルテや診療情報提供書で、臨床経過や症状、血液検査などのラボデータも確認しておく)
撮影されている内容を確認する(撮影範囲、断面、単純or造影、過去画像の有無、スライス厚、アーチファクトの有無など)
実際に読影していく(自分なりの確認順番を決めておくと漏れが無くなる)
診断名と鑑別疾患を記載する(なるべく分かりやすく)

頭部読影の流れ

次は頭部の流れについて話していくで。

頭部読影の流れ
  1. 頭蓋内の脳実質病変を確認する(最初は片側ずつ、最後に左右差確認のために両側の脳を確認していく)
    • 出血、梗塞、挫傷、腫瘍、脳ヘルニア、水頭症、石灰化の有無など
    • 出血の場合はくも膜下出血なのか、皮質下出血なのか、動脈からなのか静脈からなのか、硬膜外/硬膜下血種なのか、また出血源はどこか、脳ヘルニアはあるかを確認する
    • 造影がされていれば、髄膜炎なども確認する
  2. 骨条件に変更し、頭蓋骨の骨折の有無や骨病変(骨転移)を確認する
    • 骨折部位と対側に脳損傷を認める事がある(contrecoup injury)ので注意する
  3. 最後に皮下出血、眼窩や副鼻腔、内耳、上位頸椎などの写っている範囲の軟部組織などを確認する
    • 稀に頸椎骨折が写り込んでいる時がある

【ポイント】

  • 頭部を読影する時は左右差の有無を意識する(基本的に左右対称)
  • 本来見えるべきもの(シルビウス裂、第4脳室、脳幹回りのくも膜下腔)が確認できない時も異常所見の一つ
  • 頭蓋骨骨折の場合は、冠状断の方が確認しやすい事がある
  • 前立腺癌の造骨型骨転移では、びまん性の骨肥厚を示す時があり、この時は一見すると気づきにくい事もあるので注意する
  • 脳梗塞にはCT early signを確認するが、所見が微妙な事も多い(個人的な感覚だと、初見で指摘はほとんど困難)
  • 生理的石灰化が起きる部位は、松果体、脈絡叢、大脳基底核、小脳(歯状核)など

胸部読影の流れ

次は胸部についてや。

胸部読影の流れ
  1. まず肺野条件にて、片側ずつ確認していく(頭側→尾側へのスクロールで右肺、尾側から頭側へのスクロールで左肺を確認する、慣れないうちは何度も往復しても良い)
    • すりガラス影、結節影、気胸、気管支内異物、胸水などをチェック
  2. 縦隔条件にて、頭側から尾側へのスクロールで縦隔を確認する
    • 縦隔腫瘍の有無、リンパ節腫大の有無
  3. 尾側から頭側のスクロールで、循環器(血管)系を確認する
    • 動脈瘤、動脈解離、石灰化、肺動脈塞栓症、造影されていれば心筋梗塞、心肥大などの確認
    • 単純検査でもウィンドウを絞ると肺動脈塞栓が分かる場合がある
  4. 骨条件にして骨折の有無、転移骨腫瘍の有無を確認する
    • 肋骨骨折は複数にまたがって折れている場合がある
  5. 他の軟部組織(頚部、乳腺、脊柱管内、肝胆膵、皮下腫瘤の有無)を確認する
    • 目的の疾患以外にも病気が写っている事がある

【ポイント】

  • 背側の胸膜に沿って淡くすりガラス陰影を認める時があるが、重力効果の可能性があるため注意する
  • 病変が確認された場合は、区域性なのかランダム分布なのかも確認する
  • 診断において臨床情報が重要なので、確認できるデータは確認しておく

腹部読影の流れ

最後は腹部や。気張っていくで!

腹部読影の流れ
  1. まずは肝胆膵脾を確認
    • 辺縁(肝硬変、胆嚢腫大、膵萎縮/腫大)
    • 濃度、低/高吸収(腫瘍性病変)の有無
    • 石灰化(膵石、胆石)の有無
    • 炎症所見(周囲脂肪組織の濃度上昇)の有無
  2. 上記確認後、主要な血管を確認しながら尾側へスクロールしていく
    • 動脈瘤の有無、血栓/塞栓の有無(腹腔動脈、腎動脈、上腸間膜動脈、下腸間膜動脈)を確認し、可能なら(造影していれば)静脈も確認する
    • 特にSmaller SMV signに注意
    • また腹腔内(後腹膜内)出血が確認されたら、extravasation(血管外漏出)の有無も確認する
  3. ・骨盤まで到着したら、頭側へ戻る時に脊柱管内を確認
    • 硬膜外血種の有無の確認(所見が微妙な時があるので、適時ウィンドウを変えて確認する)
  4. 頭側まで戻ったら、泌尿器系を確認する(腎、副腎、尿管、膀胱、前立腺)
    • 腎 / 尿管 / 膀胱結石の有無
    • 腎盂の拡張(水腎症)の有無
    • 腎臓の感染症(造影効果欠損)の有無
    • 腫瘍性病変(腎癌、AML、副腎腺腫、副腎転移、尿管癌、膀胱癌、前立腺癌)の確認
    • 副腎腫大の場合は転移性腫瘍を考慮し、脂肪成分を含む場合は副腎腺腫(副腎脂肪腫)を疑う
  5. 骨盤まで行ったら、骨盤内臓器(子宮、卵巣)、骨盤内(ダグラス窩)腹水を確認した後に、直腸から逆行性に大腸を確認していく
    • (血性)腹水の有無
    • 子宮筋腫(石灰化)の有無
    • 卵巣腫瘍(嚢胞成分か充実性か)の有無
    • 大きさ、造影していれば捻転や造影効果の有無を確認
    • また大腸の腸閉塞(もしくはイレウス)の有無
    • 粘膜下層の肥厚の有無
    • 憩室、炎症所見(周囲脂肪組織濃度上昇)
    • 穿孔の有無(腹腔内フリーエアー)
    • 腫瘍の有無
  6. 上行結腸まで到達したら、虫垂も確認する
    • 虫垂炎の確認(虫垂の肥厚や穿孔など)、場合によっては冠状断の方が見やすい場合が多い
  7. 小腸を確認する
    • 腸閉塞(もしくはイレウス)、浮腫性変化の有無、腸管壁肥厚の有無を確認する
  8. 一度頭側まで戻り、リンパ節や軟部組織(筋肉など)を確認して終了
    • 1cm以上のリンパ節腫大の有無、筋肉内血種の有無など

【ポイント】

  • 冠状断画像は適時確認しながら読影をしていく
  • 最初のうちは、最低限見落としたらダメな所見(STAT画像のような)は落とさないようにする
  • 所見漏れを防ぐためには、抜けが出ないような自分なりの確認手順を決めておく事が重要
  • 過去画像があれば、それと比較するのは言うまでもない
  • 肺野下部が写っている事が多いので、気胸の有無、炎症所見の有無を確認しておく

自分なりの読影の流れを作る事が重要

ここであげた内容はほんの一例や。
流れは個々でやりやすい方法で作ってもらって全然ええ。
ポイントは漏れなく確認できるように自分なりのルーチンを作る事やで!