フルニエ壊疽(Fournier’s gangrene)

これ見てみぃや。インプットだけじゃなくてアウトプットが重要やで。

ラーニングピラミッド
ラーニングピラミッド@アメリカ国立訓練研究所

意識しないと、インプットばかりになりがちですね。

フルニエ壊疽(Fournier’s gangrene)とは

フルニエ壊疽の概要

さて、桑さんのアウトプットの時間や。

今日はフルニエ壊疽について話していくで。フルニエ壊疽って聞いた事あるか?

正直、名前は聞いた事がありますが、実際どんな症例で画像所見はどんなのかまでは知りません。

ほな今回でマスターしていこか。

フルニエ壊疽っちゅーのは、陰嚢や肛門周囲のような会陰部に発生した壊死性筋膜炎を言うねん。

急速に進行して敗血症を来す病気やから、早い診断と治療が必要やねんで。ちなみにガスを伴う壊疽は1時間に2㎝も進展するとも言われてる。せやから早めの診断と治療が必要なんや。

加えて、この病気は死亡率がメチャ高いねん。その確率たるや15~50%とも言われとるで。

発症後12時間以内の手術なら死亡率が10%やけど、それ以上やと50%以上という報告もあるんや。

フルニエ壊疽の疫学

フルニエ壊疽は比較的稀な疾患で、アメリカのデータやと10万人中数人との事や。

外傷、医原性(外科的手術、尿道カテーテルなど)、肝硬変(アルコール依存)、ステロイド、糖尿病、免疫抑制状態(悪性腫瘍治療中)、肥満など原因となりうるものは多くあるんや。

免疫低下状態の時に発症する事が知られているで。

男性が圧倒的に多く、発症者の半数が糖尿病患者で、糖尿病は重症化の危険因子というデータもあるな。

こう見ると、糖尿病は色んな病気の原因やったり誘因ファクターなのが分かると思う。いかに普段の食生活や運動が大切かって事やな。

ちなみに原因菌はブドウ球菌や連鎖球菌など様々やで。

臨床症状

臨床症状は強い痛みがメインやな。

初期症状は、発赤や紅斑、膿瘍形成で、進行すると疼痛、腫脹、発熱、血圧低下などが起きんねん。

劇症化しやすくて、ショック症状、多臓器不全、敗血症になって死亡する事もある疾患や。

治療法

治療法は投薬と外科的治療や。外科的に壊死している部分を切除すんねん。

「デブリードマン」とか「フルニエ壊疽 デブリードマン」で検索かけてみればイメージつく画像が出てくるで。

ちなみに、そこそこエグイ画像が出てくるから注意や。

画像所見

フルニエ壊疽の画像所見

次に画像所見についてや。

CT画像上では、陰嚢部や会陰部の軟部組織の腫脹や脂肪組織濃度上昇、筋膜の肥厚や液体貯留、皮下気腫などや。

皮下気腫はフルニエ壊疽に特徴的なんやけど、早期の例ではガス像が無い場合もあるで。

どちらかというと臨床症状で診断して、CTでは進展度を確認する意味で検査することが多いな。

せやからどの程度まで進展しているか、つまり腹壁や後腹膜もよく見る事が重要や。

該当部位の皮下気腫があれば、ほぼ確定と見てもいいんでしょうか?

ええ質問や。

壊死性筋膜炎の場合は90%でガス像を認めるとあるから、他に筋肉の炎症所見もあれば、ほぼ確定にしてもええかもしれん。

重要なのはCT画像を見て、壊死性筋膜炎を疑えるかどうかっちゅーことや。

疑えれば専門医にコンサルする事も出来るしな。

実際の症例

実際の画像や。皮下に気腫を認めるやろ。特徴的な所見やな。

骨盤CT フルニエ壊疽
Case courtesy of Chris O'Donnell, Radiopaedia.org

別症例や。左皮下の広範囲に炎症所見と気腫を認めるで。

腹部CT フルニエ壊疽
Case courtesy of Hein Els, Radiopaedia.org

鑑別診断のポイント

壊死性軟部組織感染症(NSTI)について

鑑別診断のポイントやけど、鑑別診断というよりは壊死性軟部組織感染症の事を話しとこか。

筋膜を主座とする事から壊死性筋膜炎と呼ばれる事が多いんやけど、実際は皮膚から筋肉までの軟部組織のいずれにも発症するんや。

筋膜炎って名前なのに皮膚にも発症する事から、これが実態と合ってへんって事で、最近は壊死性軟部組織感染症(Necrotizing soft-tissue infection:NSTI)と呼ぶ事が推奨されてきてんねん。

NSTIは原因菌別で大きく2つに分類されてるで

  • Type1(原因菌が複数の場合):高齢者や糖尿病などの基礎疾患がある場合に多い(フルニエ壊疽はこちらに分類されている)
  • Type2(単一菌):年齢層に偏りがなく基礎疾患がなくても発症する

NSTIは臨床所見と実際の疼痛部位が合ってない事が特徴的や。

典型的には筋膜を主座として病変が広がっていくために、初期には皮膚症状が実際の範囲に伴っていない事が多いねん。

つまり皮膚所見が無い、もしくは軽いのに激痛、もしくは皮膚所見の範囲を超えての激痛がある場合はNTSIを疑うとされてるで。

まとめ

今日はフルニエ壊疽についてレクチャーしたで。ポイントは2つや。

会陰部に発生した壊死性筋膜炎で進行が早く、発症から12時間以降は生存率が50%以下になる

CT画像では皮下の気腫が特徴的(90%以上で認めるが初期は認めない事もある)で周囲に炎症所見もある

こんな感じや。まずNSTIがあって、その中で原因菌が複数か単一かでType分類されるのと、深達度によって壊死性蜂窩織炎、壊死性筋炎にも分分類できるで。フルニエ壊疽はType1で壊死性筋膜炎に該当やな。

最初にも言ったけど、アウトプットが重要やで。学んだ知識を実際の臨床で使ってみるんやで。

ほな、精進しいやー!