前頭側頭葉変性症(fronttemporal lobar degeneration)

今の時代はええな。こんな制度があんねや。

なに見てるんですか?

コレや。ワーキングホリデー。

通称ワーホリ言うて、基本的に30歳までなら1年間働きながら海外に行ける制度や。これの1番のポイントはリアルな語学勉強&働けるってとこや。期間は1年間限定やけど今は円安やし外貨で稼ぐってのも1つの方法かと思うねんな。

個人的な意見やけど、若いうちに色んな経験しといた方がええと思うんよ。特に外国人と接すると価値観の違いにびびるからな。

前にRSNAで知り合ったヨーロッパ人と現地でメシ食い行った事があったんやけどアレは面白かったで。

路駐する時にバンパーぶつけながら入っていくねん。ぶつけるっていってもゆっくり押す的なほうがニュアンス的に合ってんねんけど、それでも触れてんねんで?

「こんな事して怒られへんの?」って聞いたら、「バンパーそのためにあるんだろ?何いってんだ?」って言われたわ。

「日本やとこれやったらブチ切れられるで」って言ったら「意味が分からない。僕はジャパンに住めないね、HAHAHA!」なんて言ってたわ。

アレはおもろかったな。

前頭側頭葉変性症(fronttemporal lobar degeneration:FTLD)とは

前頭側頭葉変性症の概要

さてと今日のレクチャー始めよかな。

今日は前頭側頭葉変性症や。頭文字をとってFTLDと呼ばれたりするで。

これは時の通り前頭葉と側頭葉に病変がある非アルツハイマー型の神経変性疾患の総称や。

臨床的には「前頭側頭型認知症 front-temporal dementia:FTD」、「意味性認知症 semantic dementia:SD」、「進行性非流暢性失語 progressive non fluent aphasia:PNA」の3つがあるんや。これら全部やるとキリがあらへんから最低限検査するにあたって知っておくべき事を順に解説していくで。

前頭側頭型認知症 front-temporal dementia:FTD(Pick病)

まずは「前頭側頭型認知症 front-temporal dementia:FTD」や。FTDは前頭葉や側頭葉の限局的な萎縮が原因や。

ADよりもよりも多くて認知症の中で10%を占めるとも言われとる。男女差はあらへんくて、ADよりも少し発症年齢が若いねん。

症状としては人格変化が特徴的や。ちなみにPick病はこれに含まれるで。

Pick病は同語反復、反響言語、無言症、無表情を4徴として、人格、行動、感情面の障害が主や。側頭葉の萎縮によるknife-blade atrophyが特徴的やと言われとる。FTDとPick病の違いは、剖検でピック小体が確認されるかどうかやで。

意味性認知症 semantic dementia:SD

次に「意味性認知症 semantic dementia:SD」や。

SDは主に左側側頭葉極の萎縮が原因や。症状的には会話は可能なんやけど、言葉の意味が分からなくなる症状が主や。

進行性非流暢性失語 progressive non fluent aphasia:PNFA

最後に「進行性非流暢性失語 progressive non fluent aphasia:PNFA」や。

PNFAは、左シルビウス裂周囲が萎縮するのが特徴で、話すのに不自由になるのが主な症状や。発語は短くなるで。

頭部解剖

FLTDのまとめ

種類原因特徴
前頭側頭型認知症前頭葉、側頭葉の萎縮人格障害
意味性認知症左側頭葉極の萎縮言葉の意味が分からなくなる
進行性非流暢性失語左シルビウス裂周囲の萎縮発語の不自由

治療法は対処療法がメインや。根本的な治療法は現段階では明らかにはなってへんで。

予後に関しては、進行は比較的ゆっくりやと言われてる。

画像所見

~の画像所見

次に画像所見についてやで。これはFTD、SD、PNFA各々の萎縮箇所を確認や。イメージ的には次の通りやで。

認知症分類

SDやPNFAを疑う臨床症状があった時は萎縮の左右差を確認してみると分かる事も多いで。

またFTDの中にPick病もあるんやけど、Pick病はknife blade atrophyと呼ばれる前頭側頭葉脳回の著しい狭小化が特徴的や。これを知らんとスルーしてまう所見やから、1度見ておくとええで。

FTLDは病理背景として、FTLD-tau(tauopathy)、FTLD-TDP(TDP-43 proteinopathy)、FTLD-FUS(fused in sarcoma)なんかがあって多様やねん。せやから萎縮する部位によって症状も多様なんやな。まぁ病理背景までは覚えんでもええと思うけどな。

実際の症例

Pick病のknife blade atrophyや。前頭葉が萎縮する事で、大脳皮質が薄くなってknifeのように見える事からこの所見名がついたんや。

頭部MRI-kine-blade-atrophy

次は70代女性でPNFAの症例や。右側頭葉と比較して左側側頭葉の萎縮を認めるで。

頭部CT-前頭側頭型変性症

これらはVSRADなんかの統計解析をかけてみると、萎縮の部位が分かりやすいで。

鑑別診断のポイント

認知症状を呈する疾患

鑑別診断やけど、これはDLBやADが同じような臨床症状を呈する時があるから、それらとの鑑別が必要になる事が多いな。

萎縮場所や臨床経過、症状を参考にして総合的に診断する事が重要や。FTLDは萎縮している脳回の境界がある程度はっきりしている事が多から、そこも参考になるかと思うで。

まずは疾患の萎縮の分布や強さの差異を把握することがFTLDの診断や鑑別に重要やな。

まとめ

今日はFTLDについてレクチャーしたで。ポイントは3つや。

萎縮する場所によってFTD(前頭側頭萎縮)、SD(左側頭葉極)、PNA(左シルビウス裂周囲)の3つがある

FTDの中にPick病も含まれこれらはknife blade atrophyが特徴的な所見

それぞれに特徴的な臨床(認知)症状がある

こんな感じやな。他の変性疾患は進行性核上性麻痺なんかもあるからまた別枠で話してもええかもしれん。

冒頭の話しやないけど、病院内では色んな職種の人が働いてんねん。他の職種、たとえばDrやNs、事務、他のコ・メディカル、それぞれに価値観があんねん。もちろん患者さんもな。それを受け入れる事が多様性に繋がんねん。それはこの仕事上で重要な事やと思うで。

あまり説教臭い事ばっかり言ってもしゃーないから、今日はここらへんにしよか。

ほな、精進しいやー!