若いうちに色んな経験しとき。特に外国人と話すと価値観の違いにびびるわ。
なにかあったんですか?
20年くらい前にRSNAで知り合ったヨーロッパ人とメシ食い行った事があったんやけど、アレは面白かったで。
路駐する時にバンパーぶつけながら入っていくねん。
「こんな事して怒られへんの?」って聞いたら、「バンパーは、そのためにあるんだろ?何いってんだ?」って言われたわ。
「日本やとこれやったらブチ切れられるで」って言ったら「意味が分からない。僕はジャパンに住めないね、HAHAHA!」なんて言ってたわ。
さすがに今は無いと思うけど、当時はそんな事があったんやで。
もくじ
前頭側頭葉変性症(fronttemporal lobar degeneration:FTLD)とは
前頭側頭葉変性症の概要
さてと今日のレクチャー始めよかな。
今日は前頭側頭葉変性症や。頭文字をとってFTLDと呼ばれたりするで。
これは字の通り、前頭葉と側頭葉に病変がある事で認知機能低下を認める、非アルツハイマー型の神経変性疾患の総称や。
臨床的には次の3つがあるで。
- 前頭側頭型認知症 front-temporal dementia:FTD
- 意味性認知症 semantic dementia:SD
- 進行性非流暢性失語 progressive non fluent aphasia:PNA
これら全部詳しくやるとキリがあらへんから、最低限検査するにあたって知っておくべき事を順に解説していくで。
前頭側頭型認知症 front-temporal dementia:FTD(Pick病)
まずは「前頭側頭型認知症 front-temporal dementia:FTD」や。FTDは前頭葉や側頭葉の限局的な萎縮が原因や。
アルツハイマー病(AD)よりも多くて、認知症の中で10%を占めるとも言われとる。
男女差はあらへんくて、ADよりも少し発症年齢が若いねん。
症状としては人格変化が特徴的や。ちなみにPick病はこれに含まれるで。
Pick病は同語反復、反響言語、無言症、無表情を4徴として、人格、行動、感情面の障害が主や。側頭葉の萎縮によるknife-blade atrophyが特徴的やと言われとる。
FTDとPick病の違いは、剖検でピック小体が確認されるかどうかやで。
意味性認知症 semantic dementia:SD
次に「意味性認知症 semantic dementia:SD」や。
SDは主に側頭葉に比較的限局する左右差のある萎縮が原因や。
左優位萎縮では物についての意味記憶障害で、症状的には会話は可能なんやけど、言葉の意味が分からなくなる症状(失語症状)が主や。
右優位萎縮では人物についての意味記憶障害を呈しやすくて、誰だか分からなくなる症状が出てくるで。
進行性非流暢性失語 progressive non fluent aphasia:PNFA
最後に「進行性非流暢性失語 progressive non fluent aphasia:PNFA」や。
PNFAは、左シルビウス裂周囲が萎縮するのが特徴で、話すのに不自由になるのが主な症状や。発語は短くなるで。

FLTDのまとめ
種類 | 原因 | 特徴 |
---|---|---|
前頭側頭型認知症(FTD) | 前頭葉、側頭葉の萎縮 | 人格障害 |
意味性認知症(SD) | 側頭葉極の萎縮 | 人物や言葉の意味が分からなくなる |
進行性非流暢性失語(PNFA) | 左シルビウス裂周囲の萎縮 | 発語の不自由 |
FTLDは病理背景として、FTLD-tau(tauopathy)、FTLD-TDP(TDP-43 proteinopathy)、FTLD-FUS(fused in sarcoma)なんかがあって多様やねん。せやから萎縮する部位によって症状も多様なんやな。まぁ病理背景までは覚えんでもええと思うけどな。
治療法は対処療法がメインや。根本的な治療法は現段階ではあらへん。
予後に関しては、進行は比較的ゆっくりやと言われてる。
画像所見
前頭側頭葉変性症の画像所見
次に画像所見についてやで。これはFTD、SD、PNFA各々の萎縮箇所を確認や。イメージ的には次の通りやで。

FLTDに特徴的な画像所見として、knife blade atrophyと呼ばれる前頭側頭葉脳回の著しい萎縮があるんや。
基本的に前頭葉、側頭葉の萎縮を認める疾患ではあるんやけど、左右差や萎縮の程度を踏まえての画像診断が重要やで。
特に臨床症状から、SDやPNFAを疑う場合は萎縮の左右差を確認してみるとええで。
実際の症例
Pick病疑いのknife blade atrophyや。側頭葉極が萎縮する事で、大脳皮質が薄くなってknifeのように見える事からこの所見名がついたんや。

次は70代女性でPNFA疑いの症例や。右側頭葉と比較して左側側頭葉の萎縮を認めるで。
シルビウス裂が拡大しているのが分かると思うで。

これらはVSRADなんかの統計解析だと、萎縮の部位や程度が分かりやすいで。
鑑別診断のポイント
認知症状を呈する疾患
鑑別診断やけど、これはレビー小体症やアルツハイマー病が同じような臨床症状を呈する時があるから、それらとの鑑別が必要になる事が多いな。
画像所見や臨床経過、症状を参考にして総合的に診断する事が重要や。
まずは萎縮の分布や程度の差異を把握することがFTLDの診断や鑑別に重要やで。
まとめ
今日はFTLDについてレクチャーしたで。ポイントは3つや。
病気によって、FTD(前頭側頭萎縮)、SD(側頭葉)、PNA(左シルビウス裂周囲)のような特徴的な萎縮部位がある
FTDの中にPick病も含まれ、knife blade atrophyが特徴的な所見の一つ
それぞれに特徴的な臨床(認知)症状がある
こんな感じやな。他の変性疾患は進行性核上性麻痺なんかもあるけど、それはまた別枠で話すわ。
ちなみに、冒頭の価値観の話やけど・・・
病院内では色んな職種の人が働いてるのは知ってるやろ?
たとえばDrやNs、事務、他のコ・メディカルがおるけど、それぞれに価値観があんねん。もちろん患者さんにもな。
それを知って認める事が重要やねん。それが多様性に繋がんねんで。やないと、老害まっしぐらや。
「自分の常識は他人の非常識」や。
あまり説教臭い事ばっかり言ってもしゃーないから、今日はここらへんにしよか。
ほな、精進しいやー!