日本とアメリカの放射線科医数
ええか、これからは技師はんも読影能力が絶対必須になってくるで!
下の数値を見てみてくれや。
「約7,500人」
これが何の数字か分かるか?
これは日本における放射線科医の数や。ちなみに、この7,500人の中には、治療専門医も入っとるから、実質的な読影(診断)専門医はこれより少ないねん。
令和4年度版の日本専門医制度概報によると、だいたいやけど診断専門医は6,000人程度となっとる。
一方で、アメリカの放射線科医はどれくらいおるか?
Collective Minds Radiologyによると、2023年で約49,000人の放射線科医がおるって話や。制度が違うから単純比較はできひんけど、日本の診断医と治療医の比率を参考にすると、アメリカには約32,000人の診断医がいる計算やな。
これは日本の5倍ちょっとの数なんやけど、両国の人口の差ってどれくらいか知ってるか?
2024年のデータやと、アメリカが3.4億人、日本が1.2億人や。
ざっと計算すると3倍や。
アメリカは日本と比較すると人口は3倍ほど多いのに対して、放射線科医の数は6倍以上やねん。診断医になると5倍程度多い計算になるな。
これは人口100万人あたりの放射線科医の数で算出してみた方が分かりやすいんやけど、あるデータによると日本は40人でアメリカは120人くらいなんや。
ちなみに、ドイツが日本よりちょっと少なくて、韓国やオーストラリア、フランスあたりは日本より断然多いんやで。
(隅丸ら、CTおよびMRI検査における放射線科医の潜在的業務量の国別および日本の地域別の差異、日本医学放射線学会)
- 日米人口比率:1.2億 VS 3.4億
- 日米放射線科医数:7,500 VS 49,000
- 日米放射線診断専門医数(推定):6,000 VS 32,000
つまりや、日本は世界と比較して対人口比で放射線科医の数が少ない部類に入るって事なんや。
日本と世界の検査機器保持数

ほんで、この問題を語るには、検査機器数(もしくは検査数)も考慮せなアカン。
ってな訳で、日本国内にCTやMRIの検査機器ってどれくらいあるか知ってるか?
OECDが出しているデータで見てみると、2014年時点で、100万人あたりの検査機器数は日本がブッチギリで多いんや。
その数にして、CTが100万人あたり107台、MRIが52台や。
2位と比較するとその多さが分かるんやけど、2位はCTで100万人あたり56台(オーストラリア)、MRIで38台(アメリカ)やねん。
CTもMRIも人口比でいうと、世界で一番保有してんねん。CTは2位と比較して2倍の台数や。
ただ保有台数は多くても、機器の稼働率は必ずしも高くない事は考慮せなアカン。
これは、むしろ先進国の中で最低レベルなんや。理由は診療所レベルでの稼働率の低さが原因と言われとる。(医療機器の非効率な活用について:厚生労働省)
これらから次のような事が言えると思うねん。
- 検査機器数は世界で最上位レベル
- でも放射線科医数は下位レベル
- 少子高齢化で検査数は今後も増加する見込み
- 一方で労働人口の低下で、放射線科医数も低下される事が懸念される
つまりや! 需要はあるのに供給が追い付いてへんねん。
これを解消しようと、一部の企業ではAIに読影をさせるような事を初めてたりするんやけど、まだまだ改善点も多いのが現状や。
読影医不足問題
そこでワシは技師はんの出番やと思うとる。
はい、ここで問題や!
放射線技師はんの数はどれくらいおるか?
正解は約5.6万人や。(厚生労働省、令和2年医療施設調査・病院報告)
放射線科医の約8倍や。しかも年々増加していってんねん。このうちの1割強が読影が出来るようになったら今の読影医数の倍になる計算やねんで?
可能性としてメッチャあると思わん?
撮影して最初に画像を目にすんのは技師はんやねんで?撮影だけして、あとはよろしくってのは、これからの時代、通用せーへんと思うねん。
逆に、撮影も出来て、画像も読めます的な感じやったら、引く手あまたや。
しかも読影ってのは一長一短で身につくもんやあらへん。経験が必要なんや。せやから今から始めるってのはワシ的には全然ありやと思ってんねん。
今は医療界にも残業規制が入ってきたから、昔みたいな働き方はできひん。これは医者も例外やあらへん。
放射線技師が読影能力を身に着ける事で
じゃあ、どうするか?
医者の数を増やすのも手やけど、これは時間がかかるし、なんせ少子高齢化&マイナーな科やから、そもそも絶対数が少ないねん。
はい、そうや、ここで技師はんの出番や!
ワシは順次、業務権限の委譲が始まると思うてんねん。
現に、厚生労働省医政局の「チーム医療の推進に関する検討会」の報告書資料(平成22年4月30日)によると、
「放射線技師が画像診断における読影の補助を行うこと」
って記載があるし、実務的な面でも放射線技師はんが造影剤使用時の静脈注射も出来るように法律が変わったしな。
あとは「生命予後にかかわる緊急性の高い疾患の画像(STAT画像)所見報告ガイドライン」には、技師はんが下記の所見を見つけたら放射線科医へ報告すべきともあるで。

医者も看護師も人手が足らへんねん。せやから他の職種がカバーするのは必須の流れやと思うねん。
中には技師はんが所見をつけるのに否定的な医者がいるのも事実や。でもワシが技師はんも読影できるようになった方がエエと考えている。技師はんと医者が2重読影する事で見落としが格段に減る、つまり患者さんのためになると思うてんねん。
「自分は撮影が好きやから、撮影技術を極めます!」ってヤツがおってもええねん。
今まで見えへんかった病気が見えるようになったら最高やしな。
でも、少しでも読影に興味がある場合は、そっちの道もあると思うで。
放射線技師の読影トレーニング
このサイトでは、実際に画像をスクロールしながら確認できるようなページもあんねん。
興味があればチャレンジしてもらえるとええで!
若い、若くないは関係あらへん。
画像が読める技師になってみようや!