【臨床症状】60代 盲腸癌術後
【問題】画像所見と診断名は?
※ 脂肪抑制の横断像、冠状断像、拡散強調の横断像の順に表示
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- 大網に腫瘍の浸潤を認め、omental cakeが形成されている
- 腹膜播種の状態と考えられる
- また肺転移と肝転移が疑われる
- 他、少量の胸水と腹水も認める
- 後日撮影されたFDG-PETの画像でもomental cakeにFDGの集積を認め同様の所見
- 一方で、肝転移については集積を認めないために積極的に転移を疑う所見ではなかった
- 上記より癌性腹膜炎、多発肺転移疑いとなる
【癌性腹膜炎】
・癌性腹膜炎の原発は、結腸癌、卵巣癌、胃癌などがある
・癌性腹膜炎の場合は、腹水の濃度が高い、もしくは不均一だったり壁在結節を認めたり、造影効果を認めたりする
・播種の好発部位は大網が多いが、他にも腸間膜やダグラス窩、横隔膜直下、肝表面などがある
・腸間膜にびまん性に浸潤すると、腸間膜が放射状の形状をとる事がある
・つまり腹水があるにも関わらず、腸管が浮遊せず中心に寄った状態のこと
・これは腸間膜血管束周囲が硬化するためだと言われている
参考書籍:わかる!役立つ!消化管の画像診断
【ometal cake】
・大網が腫瘍に浸潤して腫瘍を形成した状態をomental cakeと言う
・CT上、腸管と前腹壁との間に不整な軟部腫瘤を認め、その部位では正常の脂肪組織が消失している事が多い
参考書籍:わかる!役立つ!消化管の画像診断