【臨床症状】80代 背部痛
【問題】画像所見と診断名は?
➡ 冠状断
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- 上腸間膜動脈に解離を認める
- 矢状断では偽腔にも血流を認め、およそ3.5cmに渡って解離がある
- この解離による腸管虚血や腸管ガスなどの所見は認めない
- 上記より、上腸間膜動脈解離と診断された
- 他、胆摘後、肝嚢胞、腎嚢胞あり
【上腸間膜動脈閉塞症】
・上腸間膜動脈閉塞症は、原因によって次の2つに分けられる
- 上腸間膜動脈血栓症(SMA血栓症)
- 上腸間膜動脈塞栓症(SMA塞栓症)
・頻度としてはSMA塞栓症の方が多い
・腸管虚血の原因となり、時間経過によって腸管壊死にまで至り、その場合の死亡率も55~90%と高い
・急激な腹痛や腹膜刺激症状に乏しいこともあるが、他の所見(嘔吐、腹部膨満、下血)は非特異的な所見なので時として本疾患を疑うのが難しい事がある
<SMA血栓症>
・SMA血栓症の主な原因は動脈硬化
・SMA起始部より2cm以内に血栓を形成する事が多い
・急性の場合は側副血行路も不十分な事が多く、広範な腸管の虚血や壊死に至る
・大動脈瘤や乖離によっても生じる事がある
<SMA塞栓症>
・心疾患が原因である事が多い
・閉塞部位は起始部から3~8cm程度離れた中結腸動脈分岐部のことが多い
・画像所見としては、血管内に造影欠損像を認められれば診断が可能
・他に、腸管の造影効果の有無(虚血の有無)、単純の場合は高吸収な腸管、腸管内ガスの有無などを確認する必要がある
参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版