【臨床症状】80代 呼吸苦 SpO2 86%
【問題】画像所見と診断名は?
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- 心嚢水の貯留あり
- 下肺中心に小葉間隔壁、胸膜の肥厚も認める
- また心拡大と肺動脈の拡張、両肺のすりガラス陰影も認める
- これらは広義間質病変である事を示唆している
- 胸水は認めない
- 上記より心不全による肺水腫疑いが最も考えられる
- 他の所見として右肺に肉芽腫性病変による石灰化、胆摘後、肝嚢胞あり
【肺水腫】
・肺水腫は肺の血管外の水分量が異常に増加した状態
・肺水腫は、静水圧性肺水腫(心原性肺水腫)と透過性亢進型肺水腫(非心原性肺水腫)、その混合型に分けられる
<静水圧性肺水腫>
・急性心筋梗塞による左心不全や、僧帽弁膜症などが原因になる
・また過剰輸液や循環血液量の増加と膠質浸透圧の低下による腎性肺水腫も含まれる
・機序としては、上記の原因により、まず肺うっ血を来し、その後、血液成分が間質に漏出し間質性肺水腫となり、水腫液が肺胞腔にも広がると肺胞性肺水腫になる
・間質性肺水腫と肺胞性肺水腫は混在する事も少なくない
・間質性肺水腫では肺門血管陰影は不明瞭となり、Kerley line、peribronchial cuffing sign、葉間胸膜の肥厚などを認める
・肺胞性肺水腫になると、air bronchogramを伴う浸潤影、肺門周囲のすりガラス陰影(butterfly shadow)、心拡大、胸水貯留などを認める
<透過性亢進型肺水腫>
・肺毛細血管の透過性亢進により生じる
・非心原性肺水腫は、心臓以外の原因で生じるもので、敗血症や重症肺炎、外傷などが原因となる
・病理学的にびまん性肺胞障害(DAD)を伴うものと、伴わないものがある
参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版