【臨床症状】10代 2日前に発熱 咳嗽時に背部痛 インフルエンザ陰性
【問題】画像所見と診断名は?
▶答えはこちら
- 右下葉S6に4*3*4cm大の空洞を伴う腫瘤影を認める
- また頭側側に気管支透亮像も認める
- 年齢や臨床経過から、まずは肺膿瘍(肺化膿症)を疑う
- 鑑別として、アスペルギルスや結核など
- 胸水やリンパ節腫大は認めない
- その後、診断確定と治療のため他院へ紹介となったため、肺膿瘍疑い症例として紹介
【肺膿瘍(肺化膿症】
・肺膿瘍は病原体の感染により炎症を起こして、肺組織が破壊され壊死性空洞性病変が形成された状態
・融解壊死した肺組織が気管支から排出される事で空洞化をきたす
・空洞内には膿が貯留した状態が多い
・原因菌は口腔内嫌気性菌の吸引によるものが多いが、黄色ブドウ球菌、溶連菌、大腸菌、クレブシエラなどもある
・通常は経過が緩徐(数週間程度)に進むが、発症から数日で膿瘍形成する事もある
・長期臥床患者の誤嚥に起因して発症する事が多い
・胸腔へ穿破すると膿胸を併発する
・画像所見は、空洞形成する腫瘤性病変、周囲の浸潤影、air fluid level(空洞内の液面形成)など
・すりガラス陰影を伴う事もある
・造影CTでは腫瘤内面を縁取るような造影効果を認める
・空洞化をきたす、肺癌や結核との鑑別が問題になる事が多いが、肺癌は内面の造影効果を認めず、結核は液面形成を認めない点が鑑別ポイント
参考書籍:困ったときの胸部の画像診断