社員同士のありかた

職場内での人間関係

同僚や先輩、後輩との仕事上での距離感

  • どうも部下との適切な距離感が分からない
  • コミュニケーションが大切だと聞いたので話すようにしたら友達みたいな感じになってしまった
  • 自分が若手時代にされたように食らいついてくるスタイルでやってみても、全然ついてこない
  • プライベートな話も出るので信用はされているみたいだが、自分が想像していた先輩後輩像とちょっとイメージと違う
  • 昔仲が良かった同僚同士が今では険悪になっている。何があったんだろう?あんだけ仲が良さそうに仕事をしていたのに・・・

このような同僚や先輩、後輩との関係に困っている人はいませんか?これらの内容は規模や働く人が多くなるにつれて起きてくる事だと思います。基本的に部下と距離感が近くなる事は悪い事ではありません。仕事に必要な適度な距離感があれば業務が円滑に進みます。しかし程度を間違えると悪影響が出てきてしまいます。ではどのような距離間がいいのでしょうか?

理想の社員関係

理想の社員関係(距離感)とはどんなイメージでしょうか?

お互いが協力し合って目標に向けて邁進している。時には苦労もあり、それを皆で乗り越えて確かな絆が生まれる。そして仕事を通して戦友のような状態になる。

まるで少年漫画に出てくる主人公のチームのようです。このような組織が作れれば最高ですが実際は少数だと思います。このような状態を作るにはメンバーの資質もありますが、むしろ率いるリーダーの能力が秀でている事が必要になります。言い替えると、リーダー次第でいくらでも変わるのです。

理想の状態を継続するのは難しい

ここまでじゃなくても、社員同士が標達成のためにヘルプし合うような状態にまで出来れば組織の生産性は高くなりますので、まずはここを目指すのが良いのかもしれません。ただ難しいのは一時期そのような状態になっても、それが継続するとは限らない事です。

なぜなら会社も個人も成長するからです。変化すると言った方が正しいでしょうか。毎年新入社員が入ってくるかもしれません。トップが入れ替わり会社の方針が変わるかもしれません。このように常に変化する要素が多くあるので、同じ状態を継続するというのは難しいのです。

社員同士の関係性が崩れる事での弊害

関係性悪化は避けるべき問題が多い

ここで社員同士の関係性が崩れる事で起きる弊害を考えてみましょう。おおよそ次のようなものが挙げられると思います。

  • 職場の雰囲気が悪くなる
  • お互いに協力するという意識がなくなる
  • 結果、チームや組織の生産性が下がる
  • 人間関係が拗れる事で、退職者が出たりする

どれも避けたい状態です。特に退職者が出てしまうと、それまでの採用コスト、育成コストが無駄になってしまいます。無駄というよりは回収する前に退職してしまうといった方が合っているでしょうか。これらのコストは意外に大きく、また時間的リソースもかなり使っています。やっと一人前になり投資分を回収しようとした矢先で人間関係を理由に退職されると非常に勿体ないのです。

会社とは利益を上げるための組織なので、上記の事柄は目的に対して真逆の事をやってしまっているんですね。利益が上がらないと設備投資費や人件費などに回す事も出来ずに変化に対応出来なくなってきます。

人間関係がおかしくなる原因

同僚と友達の違い

皆さんは同僚と友達の違いが分かるでしょうか?友達と同僚は似ているようで違います。なんとなくでは分かっていても、具体的に言語化出来る人は少ないかもしれません。

同僚と友達の違いは「選択権の有無」と「相互理解の深さ」です。

会社において同僚は仕事をするという目的のために集まった人達です。ここに自分の好みを反映することは基本的に出来ません。上司は配属した人達で仕事をします。ここに一定のラインがあるので必要以上にプライベートの事まで晒す事はありません。なので相互理解も深まりません。

一方で友達は誰と友達になろうが自由です。そこに強制力はありません。好きで集まっているので目的がある必要もありませんし、プライベートな事も話します。なので相互理解も深まります。

適切な段階と時間をかけて、相手の事を良く知りながら仲良くなるのは問題ありません。むしろそれが出来ればベストで、この場合は相手の反応と自分のイメージのギャップを確認した上で理解が進んでいる状態だからです。しかし職場においては、一緒にいる時間が長い事もあり、適切なステップを飛ばしてしまうケースが多いのです。

コミュニケーションについてはこちらにも記載しているので参考にして下さい。

人間関係が拗れる原因は期待値とのギャップ

人間関係の原因の多くは相手は自分の事を理解してくれているという期待値とのギャップから生まれています。

この期待は関係性によって違ってくるのですが、これだけでは中々分かりづらいと思うので、もう少し掘り下げていきましょう。

人間関係の流れ(0→1の段階)

基本的に職場で他人に初めて会った時には、同僚、先輩後輩、上司部下の3パターンのいずれかになると思います。

これら3つのパターンに共通しますが、最初は自分と他人という関係性です。お互いの共通点も分からず理解が浅い、もしくはほとんど無いために、この段階ではまだお互いに遠慮と配慮があります。大抵の人は最初は、相手がどんな人かが分からないので敬語で話しかけますよね。これが配慮です。

ここで自分の価値観から外れてても、そういう人なんだと思うだけで問題にまで発展する事はほとんどありません。ここでダメなら関係性を切りそれ以上に発展する事が無いからです。

人間関係の流れ(1→10の段階)

お互いの理解が進み、気が合うなと思い始めると友達という段階になります。そして友達という関係性になると、相手への期待値というのが生まれます。

これは、お互いに多少なりとも理解が進んできて、自分のした事に対して相手の反応がどれくらいかがある程度予想出来るようになるためです。友達だからこれくらいは分かってくれて当然、友達なら○○で当たり前、友達なら・・・

そして期待値に満たない反応だと「不満」という感情が生まれます。これが厄介かつ、人間関係がおかしくなる元凶です。不満は全ての元凶になります。これは大きい小さいは関係ありません。最初は小さくても段々と大きくなってくる事が多いからです。

またよくあるのが、片方のみが友達と思っているパターンです。これは相手は友達だと思っていないので、当然期待値より低い反応が返ってきます。つまり感情が一方通行の状態です。一方通行なので当然これにも不満が発生します。でも相手は友達だと思っていないので、何が不満なのかが分かりません。端から見れば、勝手に期待して勝手に裏切られて、勝手に不満を持っているような状態なのです。

このように期待値のギャップが生まれる事、これが関係性が拗れてくる原因の1つです。

上司と部下の関係性

余計な心配は不満のもと?

ちなみに上司が必要以上に「大丈夫か?」「不安はないか?」と聞いてしまっている人も多いのではないでしょうか?

これはコミュニケーションを取ろうとして相手を気遣った形の発言なのですが、実は起こさなくていい問題を起こすキッカケになってしまっているかもしれません。

働いている以上、誰しも不満はある

仕事している以上、大抵の人は何かしら小さな不満を持っています。これは自分で気がついている場合もあるし、気がついていない場合もあります。これは私のいる医療業界でもそうです。中には理由もなくキレる患者さんもいます。1番患者さんに近いのが看護師で、彼ら彼女らは常に人員不足気味な事もあって、誰しも不満を抱えながらやっています。

不満を態々作ってしまうパターン

そしてこの人達に上記のような聞き方をする事で、自己を振り返り不満点を探し始める事があります。これはこちらから聞かなければ見つける事もなかったであろう不満です。つまり態々トラブルの種を見つけてしまっているのです。

これには注意が必要で、聞いてしまった以上は上司や先輩として対応しなければなりません。「悩みはありますか?」と聞いてきたので、相談したにもかかわらず何一つ解決に向けて進捗が無い。

これは相手からすると、聞いてきたから話したのに、何も対策してくれないという状態で、上司に対する期待値ギャップが発生します。これはコミュニケーションを取る事が目的となってしまった例で、手段としてのコミュニケーションではありません。

本来、上司と部下という関係性は、目的がありそれを監督する立場と実行する立場を指します。目標達成のためにコミュニケーションを取る事はあっても、決して仲良くなる事が目的ではないのです。

これらは目的を間違えてしまったがゆえの弊害です。ある意味で友達に近い感じで接してしまった例になります。

職場におけるコミュニケーション

職場において友達は必要か?

個人的な意見を言うと、職場において友達は必要無いと思っています。

友達関係になると、どうしても期待値による感情のギャップが生まれ、それが時として仕事上で問題になります。

そもそも何をする為に会社に来ているのでしょうか?

それは仕事をするためです。決して友達を作りに来ている訳ではありません。会社の目指す方向や理念があって、それに協力、共感する人達が集まって一緒に仕事をしている。そして会社として目標達成の為に必要なコミュニケーションを取る。それが正しいあり方のように思います。

友達が欲しければ会社とは違うコミュニティで作ればいいのです。

社内で作る場合も退勤後にコミュニティを作ればいいのです。勤務中にやる事では無くて、職場とプライベートの関係性を混ぜるからおかしくなるのです。あくまで職場は仕事をしに来る場であると考えれば、友達は不要だと思うのです。

ある国会議員の例

昔読んだ本の中に、印象的だったケースが書いてありました。(本のタイトルは失念しました)

大学時代に先輩後輩にあった国会議員がいて、後輩の方が党内の立場が上になったらしいのです。昔の関係性を持ち出すのであれば、立場が上である後輩に対しても先輩として接してしまう事も多いと思うのですが、その先輩議員は業務中はちゃんと敬語を使って話していたそうです。これは体育会系の上下関係を考慮すれば普通は出来ない事です。

でも国会を出た瞬間に先輩後輩の関係に戻ったとか。

業務を遂行する事に対して過去の関係性は必要無いという事を知っていたんですね。かなり印象的な内容でした。これがあるべき姿だと思います。

まとめ

職場でのコミュニケーション

職場における人間関係の拗れについて見てきました。同僚との距離感が崩れる場合の原因は次の通りです。

  • 同僚と友達を混同してしまっている事
  • それ故の双方の期待値のギャップ

何も職場でのコミュニケーションを全て否定しているわけではありません。全くコミュニケーションが取れないと仕事そのものが回りません。ここでは同僚と友達の違いを理解した上で会社の目的達成のために必要なコミュニケーションを取りましょうという事を伝えたいのです。

普段のコミュニケーションのやり取りをよく観察してみて下さい。友達言葉の発言が多くないですか?もしくはコミュニケーションの回数は足りてますか?今の同僚や部下、後輩への接し方を見直して見る事で改善点が見つかるかもしれません。

繰り返しますが、会社は友達を作りに来る場では無いのです。仕事をしに来ている場なのです。

結局は会社次第なところもある

最後に逆説的な事を言いますが、これは職場やグループの雰囲気や方針、また会社のステージで変わります。中には友達のような関係で上手くいっている施設もあります。逆に必要最小限の発言だけで、ひたすら業務をやっているような施設もあります。目的が達成されていれば、どちらも正解なのです。これを職場の色と呼んでいますが、あなたの職場の色はどんな色でしょうか?ベンチャーのような色なのか、大企業のような色なのか。

今1度自分の職場やステージを確認した上で、自分のイメージする理想の職場関係を考えてみるのもいいのではないでしょうか。