【臨床症状】70代 虫垂腫瘍疑い精査
【問題】画像所見と診断名は?
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- 回腸末端から上行結腸にかけて腸管壁(粘膜下)の浮腫性変化を認める
- 右半結腸優位に認めること、また限局ではなくある程度の範囲で認める事から、ウィルス性(細菌性)による感染性腸炎疑い
- またsmaller smv signが疑われる所見があるが、これは石灰化によるSMAへの狭窄が背景にあると考えられる
- 画像上ではSMAに壁在血栓を疑う所見あるが、腸管の虚血などの所見は認められない
- 他、大動脈に多数の石灰化、腎嚢胞、腎結石など
【感染性腸炎】
・感染性腸炎とは吐気、嘔吐、下痢、腹痛などの胃腸症状を主とする感染症
・右半結腸に多い
・病原体は、ウィルス性と細菌性に分けられる
- ウィルス性:ロタウィルス、ノロウィルス、アデノウィルスなど
- 細菌性:O-157、サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌など
・細菌性は夏場に多く、ウィルス性は冬場に多い傾向がある
・細菌性の中でもO-157は特に症状が強く、右側優位の出血性大腸炎を認め、20mmを超える壁肥厚を認める事がある
・小児や高齢者など免疫機能が十分でない場合に、時に重症化する事もある
・腹膜刺激症状を伴う強い腹痛や下痢、鮮血便を認める
参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版、わかる!役立つ!消化管の画像診断