【臨床症状】20代 スノーボードで転倒受傷
【問題】画像所見と診断名は?
※ T2WI、T1WI、脂肪抑制の順に表示
➡ 横断像/矢状断像
※ 脂肪抑制、T2*(横断像)、脂肪抑制(斜矢状断)の順に表示
▶答えはこちら
- 斜冠状断画像にて、肩関節包下縁に弛緩と関節液貯留あり
- glenoid 前下縁の関節唇の損傷と、その骨皮質下の限局性の骨梁損傷/挫傷が認められる
- 肩甲下筋腱の肩甲骨付着部にも広範囲な損傷疑い
- 右上腕骨頭大結節部に、限局性の圧迫骨折が認められ、その骨皮質下骨髄に、広範囲に、骨梁損傷、骨髄浮腫性変化を認められる
- 上記所見より、骨性Bankart lesion と Hill Sachs lesionが認められ、肩関節前方脱臼後(整復後)と考えられる
【肩関節脱臼】
・肩関節は大きな可動性を有する一方で、脱臼を来しやすい関節の一つ
・前方脱臼、後方脱臼、垂直脱臼に大別され、前方脱臼が9割以上を占める
・原因は交通外傷やスポーツ外傷など
・手を外転や外旋した状態で後方へ引っ張られる事で脱臼する
・脱臼を繰り返す反復性肩関節脱臼に移行する場合もあり、この移行頻度は若年者ほど高く、20歳以下では再脱臼率が半数近くにもなる
・一方で30代以降は10%程度とも言われている
・初回脱臼時の肩関節前方の支持組織の破綻(前方不安定症)が反復性に移行する原因の一つと考えられている
骨軟部疾患の画像診断 第2版 より引用改変
【Bankart lesion】
・関節窩前下部の関節唇剥離(古典的Bankart lesion)、もしくは関節窩の骨折(骨性Bankart lesion)の事
・肩甲上腕靭帯損傷を伴う事もある
・MRIでは関節唇の変形、信号上昇、変位を認める
・Hill Saches lesionと共に、前方脱臼における重要な所見の一つ
骨軟部疾患の画像診断 第2版 より引用改変
【Hill Saches lesion】
・上腕骨頭の後外側面の陥没骨折
・脱臼の際に、関節窩の前縁と衝突するために起きる
・画像では骨頭後面の陥凹を認めるのと、MRIでは浮腫性変化も認める事がある
・Bankart lesionと共に、前方脱臼における重要な所見の一つ
骨軟部疾患の画像診断 第2版 より引用改変