【臨床症状】60代 左腹部の急激な痛み
【問題】画像所見と診断名は?
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- 左下部尿管に結石を認める
- 同部は尿管膀胱移行部で結石の好発場所でもある
- また結石に伴い、それより上部の尿管、左腎の腎盂拡張も認め水腎症の状態が疑われる
- 臨床症状と合わせて、尿管膀胱移行部の左尿管結石、水腎症疑いとなった
- 他の所見として、腹部大動脈拡張(壁在血栓あり)、脂肪肝、十二指腸憩室など
【尿管結石】
・腎臓内の遠位尿細管から集合管、乳頭上皮においてシュウ酸カルシウムや尿酸などが尿中で飽和状態となり結晶ができる
・この結晶表面にカルシウムなどが付着し大きくなり腎結石となる
・尿管結石は、この腎結石が尿管に下降し閉塞した状態のことを指す
・尿管が閉塞されると、激しい腹痛と血尿を伴う事が多い
・腹痛の原因は、尿管閉塞による腎盂と尿管内圧の上昇により、腎被膜が伸展、腎盂と尿管の痙攣により起こると考えられている
・尿管には生理的狭窄部が次の3ヵ所あり、結石の好発部位となっている
- 腎盂尿管移行部
- 総腸骨動脈交差部
- 尿管膀胱移行部
・尿管結石の診断に有用な画像所見は次のようなものがある
- rim sign:結石により尿管壁に浮腫性変化が起こり、リング状の軟部組織陰影を認めること
- comet sign:尿管結石と静脈石の鑑別に有効な事があり、静脈石で偏在性の軟部組織濃度を認めること
静脈石は通常、遠位尿管よりも外側、足側に多いことも鑑別点として有効
尿管結石の治療法は次のようなものがあり、結石径が10mmで治療方針が違ってくる
参考書籍:知っておきたい泌尿器のCT・MRI 改定第2版
- 自然排石/投薬
- 体外衝撃波粉石術(ESWL)
- 経尿道的結石粉石術(f-TUL)
- 経皮的腎、尿管粉石術(PNL)
- 開腹手術