【臨床症状】40代 後頭部痛
【問題】画像所見と診断名は?
▶答えはこちら
- 拡散強調では特に異常所見は認めない
- 一方でMRA-MIP上で左VA(V4)が解離していて狭窄しているのが分かる
- T2WIで確認してみると、胴部のFlow voidが消失しているのが確認できる
- このVA解離が臨床症状と一致すると思われる
- これによる出血などの所見はない
- また右椎骨動脈は低形成の状態
- 上記より左椎骨動脈解離疑いの診断(確定診断には脳血管造影が必要)となった
➡ 参考症例にもチャレンジしてみてください
【椎骨動脈解離】
・脳動脈は外側から、外膜、中膜、内弾性板、内膜の順に構成されている
・中膜が薄く、外弾性板を欠き外膜結合組織が疎であるため、内弾性板が断裂すると内・中膜にわたる全層性亀裂が起き、血液が動脈壁内に侵入する事で動脈解離が発生する
・その中でも椎骨動脈解離は、硬膜貫通部から頭蓋内V4近位側に好発する傾向がある
・年齢は若年層から高齢者まで広く見られる
・臨床症状は、項部通やめまいなどの非特異的な所見
・解離腔が外膜側で破綻すると、くも膜下出血として発症する
・一方で分枝動脈の起始部に発生すると、脳幹梗塞として発症する
・延髄外側症候群(Wallenberg症候群)を来す延髄外側梗塞の原因として椎骨動脈解離がある
・外傷や軽微な回旋運動による発症が報告されているが、特に原因が無い特発性も多い
・基礎疾患として、fibromuscular dysplasia、Marfan症候群、Ehlers-Danlos症候群などの関与が知られている
参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版