労働市場で評価される普遍的な項目 その1

リーダーシップとは

リーダーシップを発揮するとどうなるか

尊敬する上司の条件に必ずと言っていいほどあるリーダーシップ。リーダーシップと聞いて誰を思い浮かべますか?

織田信長?坂本龍馬?スティーブ・ジョブズ?イーロン・マスク?それとも歴代のアメリカ大統領?

思い浮かべる人物像は人それぞれだと思いますが、それらに共通している能力は何でしょうか?

私は決断力なのではないかと思います。尊敬されないよりは尊敬される上司になりたいのは皆同じですよね。仕事上で問題が発生しても、的確な示指で乗り切ったり、目標達成に向かって何を優先的に実施するか決めたりする。

学校での勉強と違って、仕事には変数が多いので、必ずしも想定した通りになるとは限らない事も多いです。そんな中で、何度も自分の中でシミュレーションをして実行し、期待される結果に必ず着地させる。こういった事が出来るのは決断力があってこそなのだと思います。

そしてその決断力は自分なりのロジックが必要だったりします。

これはすぐに身につくものじゃなく、色々な経験の結果で身につきます。

っていうか、何よりこういった姿は単純にカッコイイですからね!

リーダーシップが無い事での問題点

逆にリーダーシップが無い組織はどうなるでしょうか?

逆説的ですが全くリーダーシップが無い組織は民間企業においてありえません。最終的に社長やCEOがリーダーシップを取らないと会社が存続出来ないからです。

つまりリーダーシップが無い組織とは中間管理職(意志決定者)が何も決めない組織の事を指してます。

会社は基本的にピラミッド構造なので、社長やCEO以下、それぞれの役職があり、それに応じた決定権を持っています。決定権を持つという事は責任が発生するという意味でもありますが、トラブル発生時に行使出来る権限があるのにも関わらず、何もしない事があったりします。これが起きる事での弊害は少なくなくて、具体的には次のような事が考えられます。

  • トラブル発生時の後手後手の対応
  • 新規事業に乗り出す時にもライバルに出し抜かれる可能性
  • 集まるだけで何も決まらない無駄な会議
  • 目標や予算未達の常態化
  • 中間管理職の無駄な人件費

これらが発生する事での会社的な損失は実は大きいです。

また厄介なのが、この結果からは何も生まれないという事ですね。会社のお金を使っている以上は何からしらの経験であったり結果を得ていく必要がありますが、リーダーシップが無い状態で実行すると何も産まない無駄な行為にもなり得ます。

これなら新規事業にチャレンジして失敗した方が、よっぽど経験という財産が手に入るというのは皮肉な話しなのではないでしょうか。

リーダーシップが取れない原因

ではなぜリーダーシップが取れないのでしょうか。これには色々な要因が考えられますが、大きく下記の2つの要因があるのではないでしょうか?

  • 企業の評価方法
  • 学生時代の同調圧力

企業の評価方法

今の日本においてスピードを求められるベンチャー企業以外、特に大企業は出世において何よりも失敗しない事が求められてます。

つまり出世項目に失敗の数は入っていないんです。自分が出世するためには、失敗の可能性も多いにあるけども成功すると大きな利益が出るようなプロジェクトよりは、手堅い小さな成功を選ぶ必要があります。これは個人というミクロな面からすると必すしも悪い訳ではありませんが、会社というマクロな面から見ると疑問符がつきます。

なぜなら大きな成功のチャンスを逃してしまっているかもしれないからです。

部分最適解が全体最適解に繋がっていない最たる例ですね。実はこういった事例はまだまだ多くあるのです。

出世のために大きな失敗はせずに、そこそこの実績を積んでいく。どうしてもやらなきゃいけない時は、自分では決めず責任の所在を曖昧にする。つまり何かあると上の判断を仰ぎますという。

こう書かれてるのを見て、自分の上司を思い返した人もいるのではないでしょうか。でもそれが企業での生存方法なのです。これがリーダーシップが取れない原因の1つなのではないでしょうか。

同調圧力という強敵

また学生時代の同調圧力も原因の1つでしょう。今や東京都の23区に行けば外国の人は当たり前に見ますが、田舎に行けば観光地で無い限りそうそう会う機会がありません。

ましてコミュニケーションを取る事なんてほとんど無いのです。普段から外国人と接する機会があれば、世の中には色んな人がいるという事が子供心にでも分かります。だから自分と違う人がいても何も問題はありません。それが当たり前だからです。そしてこれが多様性の根っこになります。

一方で同じような年齢や人種で集まっていると、基本的に差別化する要素がありません。だから何かしら目立つ子供がいじめの対象になりやすいんです。勉強が出来る子がイジメられるという例は多いんじゃないでしょうか。勇気を持ってリーダーシップを発揮しても、アイツは何だ?調子に乗って!となったりします。

学校という小さく限られたコミュニティの中では、仲間外れは自分の存在を否定されると同じ事なので、その中で生きていくためには出来るだけ皆と同じような事をして目立たないようにする必要があります。

それが彼ら、彼女らの生存する術なのです。田舎は皆同じが当たり前なんです。はみ出る杭はすぐ打たれるんです。こうやって育ってきた時にどんな大人になるかは想像が付きますよね。

リーダーシップを因数分解してみる

このリーダーシップについては、いくつか構成される要素があります。その中でも重要なのが次の2つです。

  • 決断力
  • 実行力

もちろん仕事をする上では知識やスキルも必要になります。これらがあるに超した事はないでしょう。一方でこのリーダーシップを発揮する立場にある人は、現場で相応の結果を出して来た人が多いのではないでしょうか。つまり知識やスキルが備わっている状態なんですね。でも全員がリーダーシップを発揮している訳ではない。この差は何なのか。

一般的に、この2つがあればリーダーシップが発揮出来ると思われている事が多いのですが、実はリーダーシップに必要なのは知識やスキル以外の能力なのです。

一応伝えておきますが、このリーダーシップは何も特別な能力ではありません。誰しも飲み会の幹事なんかは1回程度はやった事があるのではないでしょうか?

5人以下の飲み会ならそこまで幹事も難しくありませんが、これが10人以上となると全ての希望を満たす飲み会はかなり難しくなります。料理もそうだし、席順なんかも決めなければいけない。そんな全員の希望を聞いていたらいつまで経っても開催が出来ません。しかし時間は待ってはくれません。なので決めなきゃいけない。

そんな状況を乗り切るにはリーダーシップが必要なのです。そして不確定な要素(変数)に対して、自分の仮説に基づいてこれで行こう!と決める、どこに優先順位をつけて、どこを落とし所にするかを決めて実行する。時には強引と呼ばれるような決断も必要になる時があるかもしれません。失敗する事もあると思います。しかしそれがリーダーシップとしての経験に繋がるのです。

そしてこの決断力に必要なのが次の2つです。

  • 仮説力
  • 全体把握能力

仮説力と全体把握能力を元に決断し、実行する事でリーダーシップが磨かれていきます。

仮説力

仮説力とは今現状の情報を元にいくつかのパターンをイメージ出来る能力です。

これは経験が大きく寄与していて、より多くのケースを経験する事でくつかのパターンが分かってくるようになります。

そこまでになると経験値に比例して鋭い仮説が立てられるようになってきます。これは実際に自分が立案して実行してみる事が1番経験値が得られる事に関係していますが、あなたは今現在、そこまでの立場じゃないかもしれません。

その場合は少し視点を変えて世の中を見てみましょう。今、自分の目に触れるのは多くの企業が実験しているものです。テレビCMや広告、SNS、これらは大企業のエリートが考えたぬいた結果なのかもしれません。そう考えてみると身の周りにあるものは誰かの仮説検証なのかもしれません。そう見ると少し世界が変わって見えてくるのではないでしょうか。

全体把握能力

これは、どれだけ自分の視点をより全体的に見る事が出来るかという事です。具体的には求められている結果や期限から、逆算して何をしなければいけないか、そのためには何が必要か、どこがボトルネックなのかを見る能力になります。

この能力が不足していると全体最適解が導き出せない事が往々にしてあります。ポイントとしては良く言われる事ですが、自分の役職の1つから2つ上の目線で考えてみる事。役職が上がれば、当然管轄する部署も増えてきます。その部署(他部署)はどんな問題を抱えているのか、自分の部署が協力してグループ最適解になる方法は無いか?を考えてみる事で全体把握(俯瞰)能力が身につくようになります。

有名な言葉で、「虫の目、鳥の目、魚の目、コウモリの目」というのがあります。

虫の目はミクロ視点、鳥の目はマクロ視点、魚の目はトレンド、コウモリの目は反対意見で見てみようという意味で、1種のフレームワーク的なものなのですが、結構使えたりしますよ。

これら4つを考えてみれば今までとは違った見方が出来るようになるかもしれません。言い変えれば、いつまでも自分の部署や立場から考えていては全体が見れないという事にもなりますね。

決断力

別名「責任力」とも言える能力です。つまりリスクを背負える覚悟があるかどうかになりますかね。

全体を把握して、仮説が出来たら後はやるかどうかを決めるだけです。そしてリーダーシップの最初のポイントはここになります。決める事は責任を伴う事でもあるというのは先述した通りですが、多くのビジネスパーソンは責任を負う事を嫌うために、決断が遅かったり、そもそもしなかったり(先延ばし)する事が多いです。客観的に見て大したリスクでも無いのに決めない事もあったりします。

これを解決するにはルール化してしまうのも1つの方法かもしれません。Goサインを出す条件を予め決めておき、その結果次第で可否を判定する。ルールを決めて自分の判断が入れないようにする。ただこの閾値を決めるのも決断力が必要になる事もあったりします。なので自分に決定権があるのに決めなかった場合は、評価をマイナスにする等の事も必要になるかもしれません。

実行力

最後は実行力です。どれだけ仮説力や全体俯瞰能力が高くても実行しなければ、絵に描いた餅で終わりますし、これまでそれなりにコストもかかっていますので、実行して何かしらの結果を出さなければなりません。

実行力をつけるポイントは、「やらざるを得ない環境を作る事」です。

人間は基本的にナマケモノなので、必要に迫られない限り変化を好まず現状維持を選択します。現状維持バイアスと言われるヤツですね。

また、夏休みの宿題を残り2~3日で終わらせた経験がある人は少なくないでしょう。これは締め切り効果という心理行動学が関係していますが、ポイントは提出期限という「リミット」がある事です。

これは学校の先生との約束とも言い替える事が出来ます。他人を巻き込むのがポイントで、自己を厳しく律せる人以外はどうしても妥協してしまいます。これが他人を巻き込む事で、やらざるを得ない環境にしてしまうのです。この時の他人は出来れば直属の上司がいいですね。上司であれば適度な関係性があってナアナアになりにくいです。好意を寄せている人がいれば、その人でもいいでしょう。話すきっかけも作れるし、結果を出せば自分の評価も上がるかもしれません。

このように、やらざるを得ない理由を作ってしまうのが良いです。逆に同僚だと破ったところで罰則も無いのであまり効果は無い事が多いですね。

リーダーシップを身につけるためには

今後、リーダーシップは誰しもが持つ必須のスキルになります。

日本は少子高齢化で国内の需要が縮小していくのは確定しています。つまり今後は海外にも目を向けなければなりませせん。外国人の部下や上司を持つ事もあるでしょう。その時にリーダーシップは必須の能力なのです。

今や言われた事だけをこなしていけば良い時代ではなくなりつつあります。AIの台頭によってルーチンワークと呼ばれる仕事は今後少なくなっていくという記事を何度も見た事があると思います。これには理由があって、実は人間がやるよりも機械にやってもらった方がコストが低いケースもあります。正社員で登用すれば少なくても年間数百万はかかります。そして1日8時間の労働時間制限があります。一方で機械は最初の導入コストさえ高いですが、それ以降はメンテ費用程度です。そして電源さえあれば24時間稼動してくれます。

そんな中でどんな仕事が残っていくか。それは何か新しい事を始めたり、バラバラのピースを纏める仕事なのではないでしょうか?機械には得意な事と不得意な事があります。得意な所で勝負しても勝ち目はほとんどありません。

ではリーダーシップを身に付けるにはどうしたらいいのでしょうか?それは、何でもいいから決めて実行してみましょう。

まず自分の身の周りにある事から決断してみる。新人や若手の内だと仕事上での決定権は無い事がほとんどだと思います。ただその中でもリーダーシップを発揮する場面は探せば多くあります。歓送別会の幹事や友達と行く旅行を企画してみたり、もっと身近な例だとパートナーとの食事をどこに行くかを考えてみる事など、相手がいて、お互いの要望があってそれを決める事が出来れば、それは立派なリーダーシップなのです。他人任せにするのではなく、自分で決める。

これが後々、部下を持った時やプロジェクトに携わった時に必要になってくると思うのです。

さぁ、決断して行動しましょう!