悪性腫瘍(malignant tumor)

焦ったでー。

どうしたんですか?

ちょっと前の検診で要精査の判定が出てん。PSAが9.2や。そんで精査したんよ。その結果が昨日出てん。まぁ結果的に大丈夫やったんやけどな。始めての事やったからちょい焦ったな。初やで。造影MRI検査したの。普段は造影した画像はメチャ読んでるくせにな。今回ので患者側の気持ちが分かったわ。自分も1回検査受ける側で経験しておいた方がええで。

悪性腫瘍(malignant tumor)とは

今日は画像診断から1回離れて腫瘍についてレクチャーしてくで。

日頃の検査で癌疑いで検査する事も多いやろから、知識のベースとして知っておいてほしい概要的なものを話していくわ。ちなみに、これで全てOKって訳やあらへんで。あくまでの最低限の知識という位置づけや。ほないくで。まずは悪性腫瘍とはなんぞやからや。

悪性腫瘍:自律的に増殖を行い周囲への浸潤や転移を来たす腫瘍

普通、正常な細胞は新陳代謝が行われて古い細胞は脱落していくねけど、何らかの原因で異常細胞が出来る事があんねん。普通は自前の免疫機能でこの異常細胞は退治されんねんけど、その中でも生き延びてまうヤツがおんねん。その異常細胞で増殖リミッターが外れてるヤツが無限増殖して腫瘍形成して悪性腫瘍になんねん。

異常細胞やから正常な働きはせん細胞の集まりなんや。増殖リミッターが外れているから、1カ所に留まる事はあらへん。大きなるにつれて居場所を求めて血液なんかを利用して他の部位へ旅立っていくねん。まともに働かへんヤツらやから、これが全身に転移するといわゆる多臓器不全になってまうねんな。しかも成長スピードは大きさにで比例して早くなるで。一般的に異常細胞発生から1cm程度になるまで数年をが必要なのに対して、5cm以上なると転移も数ヶ月単位で起きてくんねん。せやから早期発見が超重要なんや。

腫瘍の分類

次に分類について話していくで。まずは概要からや。

腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍があんねん。これは聞いた事あるやろ。この違いは何かというと、良性腫瘍は異常細胞が膨張的に大きくなって周りに飛び火せん腫瘍で、悪性腫瘍は異常細胞が周りにしみ出る様に広がっていく腫瘍の事をいうねん。イメージでいうと、良性腫瘍は風船で、悪性腫瘍は水たまりみたいな感じやな。雨の時の水たまりって明確な境界線が無くて、周りにしみ出しながら大きくなっていく感じやん?伝わるかな、このイメージ。

ほんで悪性腫瘍には癌腫と肉腫に分けられんねん。癌腫とは上皮細胞に由来する悪性腫瘍なんや。じゃあ、上皮細胞は何やって話しやな。

・上皮細胞とは体表面を覆う「表皮」や臓器粘膜を構成する「上皮」、外分泌腺、内分泌腺を構成する「腺房細胞」、「腺細胞」などの総称である

簡単に言うと、何かを覆っている膜的なものと考えてもらえればOKや。皮膚や粘膜的な感じやな。次に肉腫やけど肉腫は非上皮組織、つまり間質細胞由来の悪性腫瘍なんや。間質細胞は上皮細胞の支持組織を構成する細胞の総称となっとる。つまりは軟部組織や筋組織、神経組織なんかやで。皮膚や粘膜面以下の組織やな。特徴を載せておくで。

種類由来増殖速度年齢転移
癌腫上皮細胞早い全年齢だが高齢者に多いリンパ行性
肉腫間質細胞癌腫よりも早い若年者に多い血行性

発生要因

  • 喫煙

これは言わずもがなやな。過去数十年のデータから肺癌との相関が明らかになってるで。ブリンクマン指数ってのがあって、喫煙本数/日×年数で計算すんねん。この数値が400以上なら肺癌発症高リスク群と言われてて、600以上は高危険群と言われてるわ。肺癌だけやなく、喉頭癌なんかの罹患リスクも上昇するで

https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2016/0831/index.html

  • 食事

これも良く知られた原因やな。塩分の過剰摂取や熱い状態での飲食が原因が関係してるで。熱い飲食は食道癌のリスクが関係してくるで。これはWHOの発癌リスク低減のための主要勧告の1つにもなってるんや。

https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/42665/WHO_TRS_916.pdf

  • 飲酒

これも言わずもがなやなやな。過度な飲酒は癌リスクを向上させるで。特に乳癌や大腸癌、肝臓癌への関係があるとされてんねん。

https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/269.html

https://monographs.iarc.who.int/wp-content/uploads/2018/06/mono96.pdf

  • 運動

世界がん研究基金のデータやと定期的な運動習慣がある人は大腸癌や乳癌、子宮体癌のリスクを下げる事が報告されてんねん。大腸癌については便通時間が関係していると言われてるで。運動する事で便通が良くなって、便の中にある発癌物質が早く体外に排出されるからやと考えられてるわ。ちなみに国立がん研究センターの研究報告でも、男性で大腸癌、肝癌、膵癌、女性で胃癌のリスクが低下する事が示されてるで。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18599492/

他にももっとあんねんけど、代表的なものはこんなとこかな。「禁煙」、「節酒」、「食生活」、「運動」、「適正体重」の5つを改善する事で癌や他の病気へのリスクが40%前後低下する事が国立がん研究センターの研究データから示されてんねん。生活習慣を改善するだけでこれだけ低下出来るは大きいで。

まとめ

今日は画像診断というよりは、悪性腫瘍とはという事を話したで。これはこの後の悪性腫瘍の画像診断においてベースとなる知識やから覚えておくんやで。

悪性細胞には上皮細胞由来と間質細胞由来があって、前者を癌腫(癌:carcinoma)、後者を肉腫(sarcoma)と呼ぶって事ですね。

今や癌に罹患する人は2人に1人の割合らしいからな。いずれ罹患するものだと思ってた方がいいかもしれんで。とは言っても、人間どこかしらで自分だけは的な考えがあんねん。でも現実は違うでって事を早めに気がつくのが大切やな。今回の精査でよー分かったわ。次からは画像診断に戻るからな。悪性腫瘍について勉強しておくんやで。

ほな、精進しいやー!